Archive for the ‘コラム’ Category
弁護士ドットコムにインタビューが掲載されました
先日、弁護士ドットコムに弁護士秀﨑のインタビュー記事が掲載されましたので、ご覧いただければ幸いです。
▼リンク先URL
https://www.bengo4.com/search/263821#interview
業務上過失致死傷罪と禁固刑について記事を監修しました。
ベンナ刑事事件のサイトで、以下の記事を監修しました。
業務上過失致死傷罪とは?成立要件や過失運転致死傷罪との違いも解説
https://keiji-pro.com/columns/454/
禁錮とはどんな刑?自宅で過ごせる?実際の生活、懲役刑との違いについて解説
https://keiji-pro.com/columns/455/
弁護士 秀﨑 康男
債務整理で弁護士規程違反 大手消費者金融が意見書
大手の消費者金融4社が、日本弁護士連合会に対し、債務整理の依頼を受けた弁護士が、面談や説明をせずに事件を処理することにより、依頼者に不利益が生じているとして、対応を求める意見書を提出したそうです。
日本弁護士連合会が定める「債務整理事件処理の規律を定める規程」によれば、債務整理を受任する弁護士は、依頼者と直接に会って面談し、事件処理の方針などを説明する義務があります。
この規程の趣旨は、弁護士が直接に依頼者と会って面談しなければ、正確な負債状況、家計状況などがわからず、その依頼者にとって適切な債務整理ができないおそれがあることにあります。
しかし、電話やウェブ面談などで法律相談をすませ、弁護士が依頼者と直接会うことなく、事件を受任している法律事務所が一定数あるようです。また、事務員に丸投げで、弁護士はほとんど何もしないといった法律事務所もあるようです。
法律事務所に行くことなく、債務整理ができるのは、依頼者にとってはメリットかもしれません。
しかしながら、上記のとおり、そもそも弁護士が依頼者と会わずに事件処理をすることは原則としては許されていませんし、債務整理の結果が、依頼者のためにならない可能性も十分にありますから、直接に面談してくれる法律事務所に行かれることをおすすめします。
当事務所では、もちろん、弁護士と直接に会ってご相談いただける体制を整えております。
ETCカードの貸し借りには注意
最近、高速道路の料金所で使用するETCカードを家族や友人から借りて使用したことにより、電子計算機使用詐欺罪で逮捕、起訴されるケースがニュースになっています。弁護側は、「家族間の貸し借りは多くの人がやっていることなので、それが罪に当たるとなれば社会は犯罪者であふれる」と反論しているようです。また、ETCカードを借りた人は、まさか犯罪になるとは思っていなかった事案も多いと思います。
しかし、クレジットカードの利用規約には、「名義人のみ使用できる」と規定されていることから、たとえ友人や家族であっても、形式的には利用規約違反に該当することになります。また、多くの人がやっているからといって、犯罪が成立しなくなるわけではありません。
たしかに、「犯罪になるとは思っていなかった」という主張は、詐欺罪の故意を否定しますので、故意がないとなれば詐欺罪は成立しません。しかし、利用規約においてカードの名義人以外の者の利用が禁止されていること自体は特段珍しいことではなく、一般的に、通常人であれば、「本人しか使えないカードである」ということは分かるはずだといえますから、「知らなかった」という主張は、なかなか認められません。結果として、詐欺の故意が認定される可能性が高いように思います。そのため、たとえ親族や友人であっても、ETCカードを含む、クレジットカードを貸し渡す行為は、詐欺罪に問われる可能性がありますので、ご注意ください。
儲け話には絶対に乗ってはいけない
福岡県警は24日、県内でのSNSを発端とする、投資詐欺、ロマンス詐欺の被害額は約8憶4400万円であると発表しました。県警によると、このうち投資詐欺の被害額は約7憶4000万円で、被害者に恋愛感情を抱かせ金銭をだまし取るロマンス詐欺の被害額は約1憶円とのことです。SNSを契機とする詐欺は、被害者の年代が幅広く、20代から50代が半分近くを占めているということです。
これまで数々の詐欺のご相談をお受けしてきましたが、「まさか自分が騙されるとは思わなかった」とおっしゃるご相談者さまは多いです。詐欺師はあの手この手を使い、巧妙にお金を騙し取ろうとしてきます。具体的には、偽物のアプリを使って、あたかも自身が投資したお金が運用されているように見せかけたり、少額の金額をあえて振り込みするなどして、実際に配当金がもらえると思わせようとしてきます。弁護士としては、SNSを利用する人は、「SNSでの儲け話はすべて詐欺」と考えていただきたいと思っております。
死刑執行の告知が当日言い渡されるのは合憲との判決について
先日、死刑執行の告知が、死刑執行日当日に言い渡されるのは、死刑囚の人権を侵害しており、違憲・違法であるとして、確定死刑囚が国を訴えた訴訟で、大阪地方裁判所は、合憲であるとの判断を示しました。「死刑囚の心情の安定を図り、自殺や暴動を回避する目的がある」というのが、国側の主張のようです。国側の主張も理解できますが、アメリカでは、死刑執行の30日以上前に告知している州もあり、執行日までに時間があったほうが、死刑囚のご家族も面会に行くなどして最後の別れに備えることができるので、難しい問題です。
死刑執行の現場では、執行の1~2時間前に告知がなされていますが、アンケートによれば、国民の約40%が、知らなかったとのことです。また、そのときの法務大臣の考えにより、執行したりしなかったりと判断が分かれているのも問題です。そもそも、死刑執行を命じる法務大臣は、判決確定の日から6か月以内にしなければならないと刑事訴訟法に定めがありますが、これも守られていません。
このように、死刑執行の実際の運用は、国民には不透明なところも多く、国会できちんと議論すべき問題の一つだと思います。