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家を残して借金減額!個人再生の住宅ローン特則とは?
「家だけは守りたい…」借金問題で追い詰められたあなたへ
「住宅ローンの返済だけでも大変なのに、カードローンやキャッシングの返済も重なって、もう限界かもしれない…」
「このままでは、家族との思い出が詰まったこの家を手放すしかないのだろうか…」
今、この記事を読んでいるあなたは、出口の見えない返済のプレッシャーと、大切な住まいを失うかもしれないという恐怖で、夜も眠れないほどの不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
家族の笑顔、子供たちの成長を見守ってきた柱の傷、何気ない日常の風景。そのすべてが詰まった我が家を、借金問題のために失うことなど、到底受け入れられるものではありません。
ご安心ください。その「家だけは何としても守りたい」という想いを、法的な手続きによって実現できる可能性があります。それが、個人再生の「住宅ローン特別条項(住宅ローン特則)」という制度です。
この記事では、債務整理分野に注力する弁護士が、住宅ローン特則とはどのような制度なのか、利用するための条件、そして実際にこの制度を使ってご自宅を守りながら生活を再建された方の事例まで、具体的かつ分かりやすく解説します。どうか一人で抱え込まず、解決への第一歩を一緒に踏み出しましょう。
住宅を残し借金を減らす「住宅ローン特別条項」とは?
「住宅ローン特別条項(住宅ローン特則)」とは、個人再生という手続きの中で利用できる、特別な制度です。この制度の核心は、「住宅ローンはこれまで通り(あるいは条件を見直して)返済を続け、それ以外の借金だけを大幅に減額してもらう」という点にあります。
通常、債務整理を行う際は「債権者平等の原則」といって、すべての借入先を平等に扱わなければなりません。しかし、それでは住宅ローンも整理対象となり、金融機関は抵当権を行使して家を競売にかけてしまいます。
それでは生活の基盤そのものが失われ、経済的な再起が困難になってしまいます。そこで、個人再生という手続きでは、住宅を守り、生活再建を促すという特別な目的のために、住宅ローンだけを別扱いにすることが認められているのです。

民事再生と個人再生の違いは?
よく「民事再生」と「個人再生」という言葉が混同されがちですが、両者は少し異なります。
民事再生は、経済的に苦しくなった法人(会社など)や個人が、裁判所の監督のもとで事業や生活の再建を図るための、広い意味での手続きです。企業が倒産を回避し、事業を継続しながら債務を整理する際にも利用されます。
一方、個人再生は、その民事再生の中でも、特に個人の債務者(特にサラリーマンなど)が利用しやすいように、手続きを簡略化した特別な制度です。裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残りの借金を原則3年(最長5年)で分割返済することで、生活の立て直しを目指します。この記事で解説する住宅ローン特別条項は、この「個人再生」手続きの中で利用できるものとご理解ください。
制度のメリット:家を守りながら生活再建を目指せる
住宅ローン特別条項を利用するメリットは、何よりもまず「家を守れる」という点に尽きますが、具体的には以下のような恩恵が期待できます。
- 自宅に住み続けられる:家族との生活を守り、お子様の転校などを避けることができます。
- 他の借金を大幅に減額できる:カードローンや消費者金融からの借入などを、法律上の最低弁済額や清算価値等のルールに従って大きく減額できる可能性があります。
- 滞納分も分割払いにできる:すでに住宅ローンを滞納してしまっている場合でも、その滞納分を再生計画の返済期間中に分割で支払う計画を立て、返済を再開できる可能性があります。
- 財産を維持できる:自己破産とは異なり、住宅以外の一定の財産(車や保険など)も手元に残せる場合があります。
制度のデメリット:ローン元本は減らない点に注意
非常にメリットの大きい制度ですが、注意すべき点もあります。メリットだけでなく、デメリットも誠実に理解しておくことが重要です。
- 住宅ローンの元本は減らない:この制度は、あくまで「他の借金」を減額するものです。住宅ローンそのものの残高が減るわけではありません。したがって、減額後の借金と住宅ローンを、今後3〜5年間にわたって安定して返済し続けられるか、慎重な資金計画が不可欠です。
- 信用情報機関に登録される:個人再生を行うと、信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に事故情報が登録されます。これにより、一定期間(5年~7年程度)は新たなローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることが難しくなります。これは個人再生に限らず、債務整理全般に共通するデメリットです。
【解決事例】住宅ローン特則で家を守り、生活を再建
ここで、実際に私が担当させていただいた、住宅ローン特則を利用してご自宅を守り、ご家族との生活を再建された方の事例をご紹介します。
ご相談に来られたのは、真面目な会社員のAさんでした。その表情は、「もうどうしたらいいか分からない」という不安と焦りで曇っていました。
お話を伺うと、3,000万円の住宅ローンとは別に、車のローンや生活費の補填で膨らんだカードローンが800万円に達しているとのこと。特に車のローンが大きな割合を占めており、もし自己破産を選択すれば「浪費」と判断され、借金の免除が認められない(免責不許可)可能性もある、非常に厳しい状況でした。
「妻と子供たちのために建てた家なんです。あの子たちを転校させるわけにはいかない。この家だけは、なんとか…」
Aさんのその言葉には、ご家族への深い愛情と、家を守りたいという切実な想いが込められていました。
自己破産では家は守れません。かといって、任意整理で800万円もの借金を返済していくのは現実的ではない。Aさんのご希望と状況を考えたとき、残された道はただ一つ、住宅ローン特別条項を利用した個人再生でした。
私たちは直ちに手続きに着手。裁判所に対して、Aさんの家計状況を詳細にまとめた資料を提出し、いかに生活が苦しいかを丁寧に、そして説得的に主張しました。
その結果、裁判所は私たちの主張を認め、Aさんの状況を「特別の事情がある」と判断してくれたのです。
最終的に、800万円あった借金は80%カットの160万円にまで大幅に減額。さらに、返済期間も原則の3年から4年間に延長することが認められました。これにより、月々の返済額は現実的な範囲に収まり、Aさんは住宅ローンを支払いながら、無理なく生活を再建する道筋を立てることができたのです。
手続きを終えたAさんの「先生、本当にありがとうございました。これでまた家族とこの家で暮らせます」という安堵の表情は、今でも忘れられません。この事例は、まさに住宅ローン特則が、追い詰められたご家族にとっての「希望の光」となり得ることを示しています。
住宅ローン特別条項を利用できる7つの必須条件
住宅ローン特則は非常に強力な制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。法律で定められたいくつかの条件をすべてクリアする必要があります。ご自身の状況が当てはまるか、一つずつ確認していきましょう。

条件1:個人再生の手続き自体が利用できること
大前提として、住宅ローン特則は個人再生手続きの一部であるため、個人再生そのものの利用条件を満たしている必要があります。主な条件は以下の通りです。
- 将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みがあること
- 住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下であること
条件2:本人が所有し、居住している住宅であること
対象となるのは、あくまで申立人本人が所有し、実際に住んでいる家です。したがって、以下のようなケースは対象外となります。
- 投資用マンションや別荘
- 他人に貸している物件
- 親や配偶者など、他人名義の家
また、店舗兼住宅の場合は、建物の床面積の2分の1以上が居住用である必要があります。
条件3:住宅の購入やリフォームのためのローンであること
その名のとおり、「住宅ローン」であることが必要です。具体的には、住宅の建設や購入、またはリフォーム(増改築)のために組んだローンでなければなりません。
自宅を担保にお金を借りる「不動産担保ローン」であっても、その使い道が事業資金や生活費などであれば、この特則の対象にはなりません。
条件4:住宅に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
これは非常に重要で、失敗する原因としても多いポイントです。
住宅ローンを組むと、金融機関が必ずその住宅に抵当権を設定します。この抵当権のほかに、消費者金融や事業性の借入などのための抵当権(後順位抵当権)が設定されている場合、原則として住宅ローン特則は利用できません。
なぜなら、住宅ローンだけを優遇することは、他の抵当権を持つ債権者にとって著しく不利益となり、債権者平等の原則に反するからです。ご自身の不動産登記簿謄本を確認し、どのような抵当権がついているかを確認する必要があります。
条件5:保証会社の代位弁済から6ヶ月以内であること
住宅ローンの返済を長期間(通常3~6ヶ月)滞納すると、保証会社があなたに代わって金融機関に残りのローンを一括で返済します。これを「代位弁済」といいます。
代位弁済が行われると、債権者が銀行から保証会社に移り、保証会社から一括請求を受けることになります。この代位弁済から6ヶ月が経過してしまうと、住宅ローン特則は利用できなくなります。
保証会社から「代位弁済通知」が届いたら、残された時間はわずかです。一刻も早く弁護士にご相談ください。
条件6:アンダーローンではないか(清算価値保障の原則)
少し専門的になりますが、「清算価値保障の原則」というルールがあります。これは、「個人再生で返済する総額は、もし自己破産した場合に債権者に配当される財産の総額(清算価値)を下回ってはいけない」というものです。
もし、住宅の価値が住宅ローンの残高を上回っている状態(アンダーローン)の場合、その差額分があなたの財産(清算価値)とみなされます。その結果、個人再生での返済額が大幅に増えてしまい、制度を利用するメリットがなくなってしまう可能性があります。
ただし、多くの場合、住宅の価値はローン残高を下回る「オーバーローン」の状態ですので、過度に心配する必要はありません。
条件7:ペアローンや共有名義の場合は注意が必要
ご夫婦でペアローンを組んでいたり、不動産が共有名義になっていたりする場合、手続きは複雑になります。
例えば、夫だけが個人再生を申し立てても、妻の返済義務はなくなりません。また、共有持分が財産とみなされ、清算価値に影響を与える可能性もあります。
このようなケースでは、夫婦同時に手続きを行うなど、個別の状況に応じた専門的な判断が不可欠です。必ず弁護士に相談し、最適な解決策を検討する必要があります。
【重要】住宅ローン特別条項が使えない・失敗するケースと回避策
せっかく家を守るために手続きを決意しても、思わぬ落とし穴で失敗してしまうことがあります。ここでは、よくある失敗ケースと、それを避けるための対策を解説します。最悪の場合、自己破産しか選択肢がなくなる可能性もあるため、しっかりとご確認ください。
ケース1:税金やマンション管理費を滞納している
固定資産税や住民税といった税金、またマンションの管理費や修繕積立金などは、個人再生の手続きを行っても減額されません。これらを滞納していると、役所や管理組合から給与や不動産を差し押さえられるリスクがあります。
不動産の差押えや滞納状況の内容によっては手続に影響するため、早めの対応が重要です。
【回避策】
弁護士に依頼する前に、役所の窓口や管理組合に相談し、分納の交渉を行いましょう。誠実に支払う意思を示すことが重要です。
ケース2:再生計画案が認可されない
裁判所に申し立てた後、今後の返済計画(再生計画案)を提出します。しかし、以下のような場合、裁判所から認可されず、手続きが失敗に終わることがあります。
- 計画に無理があり、返済を継続できる見込みがないと判断された
- 財産を隠していたなど、不誠実な対応があった
- 債権者の書面決議で、反対が多数を占めた(給与所得者等再生の場合を除く)
【回避策】
弁護士と綿密に打ち合わせを行い、家計の状況を正直に伝え、実現可能な返済計画を立てることが最も重要です。財産隠しなどは絶対にしてはいけません。
ケース3:認可後に返済が続けられなくなった
無事に再生計画が認可されても、そこで終わりではありません。計画通りに3〜5年間、返済を続ける必要があります。
しかし、病気や失業などで収入が減少し、返済が困難になるケースもあります。返済が滞ってしまうと、債権者の申立てにより再生計画が取り消され、減額される前の借金に戻ってしまい、最終的に家を手放さざるを得なくなる可能性があります。
【回避策】
万が一返済が困難になった場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。「再生計画の変更」を申し立てて返済期間を延長してもらったり、一定の条件を満たせば残りの返済が免除される「ハードシップ免責」という救済制度もあります。返済が苦しくなったら、すぐに手続きを依頼した弁護士に相談してください。
手続きの流れと期間の目安
実際に弁護士に相談してから、住宅ローン特則を利用した個人再生が完了するまでの大まかな流れと期間の目安は以下の通りです。事案によって期間は変動しますが、全体で半年から1年程度かかるのが一般的です。
- 弁護士へ相談・依頼(相談当日)
まずは弁護士に現状を相談し、住宅ローン特則が利用できるか、最適な解決策は何かを一緒に検討します。 - 受任通知の発送(依頼後すぐ)
弁護士が各債権者に「受任通知」を送付します。通知後は、債権者からの直接の督促・取立てが原則として止まり、精神的な負担が軽減されます。 - 申立て準備(約3~6ヶ月)
裁判所に提出する必要書類(家計簿、財産目録、債権者リストなど)を収集・作成します。この期間が最も重要であり、弁護士が全面的にサポートします。 - 裁判所へ申立て
書類が揃い次第、管轄の地方裁判所に個人再生の申立てを行います。 - 再生計画案の提出(申立てから約4~5ヶ月後)
裁判所の指示に従い、今後どのように返済していくかの計画案を作成し、提出します。 - 認可決定(申立てから約6ヶ月後)
裁判所が再生計画案を審査し、問題がなければ認可決定が下されます。 - 返済開始(認可決定の翌月から)
認可された再生計画に基づき、減額された借金の返済を3~5年かけて行っていきます。住宅ローンの返済も再開します。
まとめ:家を守るための第一歩は、専門家への相談です
この記事では、個人再生の住宅ローン特別条項について、その仕組みから利用条件、成功事例、そして失敗を避けるための注意点まで詳しく解説してきました。
住宅ローン特則は、返済困難に陥った際に、大切なご自宅とご家族の生活を守りながら経済的な再起を図るための、非常に有効な法的手段です。
しかし、ご覧いただいたように、その利用条件は複雑で、一つでも満たせない項目があれば利用することはできません。また、保証会社の代位弁済のように時間的な制約もあり、自己判断で「まだ大丈夫」と考えているうちに手遅れになってしまうケースも少なくありません。
借金の問題は、一人で抱え込んでいるだけでは状況が改善しにくいことがあります。不安で押しつぶされそうになっている場合は、専門家である弁護士に相談することが、解決に向けた有力な選択肢の一つになります。
私たちは、あなたの「家を守りたい」という想いに寄り添い、状況に応じた対応を検討します。まずはあなたの状況をお聞かせください。そこから、選択肢が見えてくることがあります。
相続放棄とは?弁護士が3つの選択肢と期限超過後の対処法を解説
相続方法は3種類|放棄・単純承認・限定承認のどれを選ぶべきか
大切なご家族が亡くなられた後、残された財産をどのように引き継ぐか、すなわち「相続」の方法を選択することは、相続人にとって非常に重要な決断です。特に、故人に借金などのマイナスの財産がある場合、その選択は将来の生活に大きな影響を及ぼしかねません。
相続の方法には、大きく分けて「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つの選択肢があります。どの方法がご自身の状況にとって最適なのか、それぞれの特徴を正しく理解し、冷静に判断することが求められます。
この記事では、相続問題、特に故人の債務でお悩みの方のために、弁護士の視点から3つの相続方法の違いと、それぞれのメリット・デメリット、そして選択の基準について分かりやすく解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な一歩を踏み出すための指針としてお役立てください。
単純承認|プラスもマイナスも全ての財産を相続する
単純承認とは、亡くなられた方(被相続人)の預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて無条件に引き継ぐ方法です。これは最も一般的な相続の形で、特別な手続きは必要ありません。
相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に「相続放棄」も「限定承認」も行わなかった場合、法律上、単純承認をしたものとみなされます。また、後述する「法定単純承認」に該当する行為があった場合も同様です。
- メリット: 手続きが不要で、最もシンプルです。
- デメリット: 故人の借金や保証債務など、予期せぬマイナスの財産もすべて背負うことになります。
- 選択すべきケース: 借金がないことが明らかで、プラスの財産がマイナスの財産を大幅に上回っている場合。
限定承認|プラス財産の範囲内でマイナス財産を相続する
限定承認は、相続するプラスの財産の範囲内で、故人の借金などのマイナスの財産を返済するという、いわば「条件付き」で相続する方法です。
例えば、故人に500万円の預金と800万円の借金があった場合、限定承認をすれば、相続した500万円の預金から返済すればよく、残りの300万円の借金を相続人が自己資金で支払う義務はありません。もし財産が残れば、それは相続できます。
- メリット: 予期せぬ多額の借金から身を守りつつ、もし財産が残れば引き継ぐことができます。限定承認では清算手続の中で相続財産を売却(原則として競売)する必要が生じることがあります。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額に従いその価額を弁済して競売を止め、結果として特定の財産(自宅等)を取得できる可能性があります(民法932条ただし書)。
- デメリット: 手続きが非常に複雑で、家庭裁判所への申立てが必要です。また、相続人全員が共同で行わなければならず、一人でも反対者がいると利用できません。
- 選択すべきケース: 借金の額が不明確で、プラスの財産とどちらが多いか分からない場合や、特定の財産を残したい場合。
相続放棄|全ての財産を相続しない
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も一切の権利と義務を放棄する方法です。家庭裁判所に申立てを行い、受理されることで、その人は法的に「初めから相続人ではなかった」とみなされます。
これにより、故人が遺した多額の借金や保証債務の返済義務から完全に免れることができます。
- メリット: 故人の借金を一切引き継がなくて済むため、債務超過の場合には最も確実で強力な解決策です。
- デメリット: 預貯金や不動産など、価値のあるプラスの財産もすべて手放すことになります。一度相続放棄が受理されると、原則として撤回はできません。
- 選択すべきケース: 借金の額がプラスの財産を明らかに上回っている(債務超過)場合。
【比較表】3つの相続方法のメリット・デメリットと選択基準
これまで解説した3つの相続方法の特徴を、以下の表にまとめました。ご自身の状況と照らし合わせ、どの選択肢が最も適しているか検討するための参考にしてください。

| 項目 | 単純承認 | 限定承認 | 相続放棄 |
|---|---|---|---|
| 相続内容 | 全ての財産(プラスもマイナスも)を無制限に引き継ぐ | プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐ | 全ての財産(プラスもマイナスも)を引き継がない |
| メリット | 手続きが不要 | プラス財産の範囲で返済すればよい。財産が残る可能性もある。 | 借金の返済義務から完全に免れる |
| デメリット | 予期せぬ借金も全て背負う | 手続きが非常に複雑。相続人全員の合意が必要。 | プラスの財産も全て手放す。原則撤回不可。 |
| 手続き | 原則不要 | 3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立て(相続人全員で) | 3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立て |
| 選択すべきケース | プラスの財産が明らかに多い場合 | 財産状況が不明確な場合。特定の財産を残したい場合。 | マイナスの財産が明らかに多い場合 |
相続放棄の期限は3ヶ月|熟慮期間を過ぎた後の債務発覚
相続放棄や限定承認を選択する場合、非常に重要なのが「3ヶ月」という期限です。この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、この間に3つの選択肢の中からどれを選ぶかを決め、家庭裁判所での手続きを行わなければなりません。
しかし、「いつから3ヶ月なのか」「もし過ぎてしまったらもう手遅れなのか」という点は、多くの方が不安に思われるところでしょう。特に、故人が亡くなってしばらく経ってから、突然督促状が届き、借金の存在を知るケースは少なくありません。ここでは、その期限の考え方と、万が一過ぎてしまった場合の対処法について解説します。
熟慮期間の起算点「相続の開始があったことを知った時」とは?
法律(民法915条1項)では、熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算すると定められています。これは、単に「被相続人が亡くなった日」とは限りません。
判例上、起算点(「自己のために相続の開始があったことを知った時」)は、原則として①被相続人が死亡した事実(相続開始原因事実)と、②それにより自分が法律上の相続人となった事実を知った時と解されています。もっとも、相続財産が全くないと信じるについて相当な理由がある等の例外的事情がある場合には、相続財産の全部又は一部の存在を認識した時(又は通常認識し得た時)から起算すると判断されることがあります。
- 被相続人が死亡したという事実
- 自分が法律上の相続人になったという事実
- (※例外的に、相続財産が全くないと信じるについて相当な理由がある等の事情がある場合には)相続財産の全部又は一部の存在を認識した時(又は通常認識し得た時)
例えば、長年疎遠だった親族が亡くなった場合、死亡の事実を知った日が起算点になる可能性があります。また、先順位の相続人が相続放棄をした結果、自分が相続人になった場合は、その事実を知った時が起算点となります。
重要なのは、画一的に「死亡日から3ヶ月」と決まっているわけではなく、個別の事情に応じて起算点が判断されるという点です。この解釈が、期限後に債務が発覚した場合の救済につながるのです。
参照: 民法 | e-Gov 法令検索
期限後に債務が発覚した場合でも相続放棄できるケース
では、熟慮期間である3ヶ月を過ぎてから借金が発覚した場合、もう相続放棄はできないのでしょうか。結論から言えば、諦めるのはまだ早いです。裁判所は、一定の条件下で期限後の相続放棄を認めることがあります。
最高裁判所の判例では、以下の要件を満たす場合には、熟慮期間の起算点を「相続人が借金などの相続財産の存在を認識した時、または通常認識し得た時」からと解釈し、期限後の申立てを認める傾向にあります。
相続人が、相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、そのように信じるについて相当な理由がある場合
つまり、「故人には借金はおろか、財産は全くないと信じていたし、そう信じるのも無理はない状況だった」ということを裁判所に説得的に主張・立証できれば、借金の存在を知った時から3ヶ月以内であれば、相続放棄が認められる可能性があるのです。
ただし、この「相当な理由」があったかどうかは、個別の事情に基づき厳格に判断されます。単に「知らなかった」だけでは不十分で、なぜ知ることができなかったのか、その経緯を法的に構成して説明する必要があります。
【解決事例】死後半年で発覚した多額の借金も相続放棄に成功
ここで、当事務所が実際に解決した事例をご紹介します。これは、多くの方が直面しうる状況であり、弁護士にご相談いただくことの重要性を示すものです。

ご相談の状況
ある日、ご相談者様は突然お父様を亡くされました。遺品を整理したものの、預貯金などのめぼしい財産は見当たりませんでした。ところが、お父様が亡くなられてから半年ほど経った頃、消費者金融やカード会社から次々と督促状が届き始めたのです。さらには電話での催促も始まり、「相続人であるあなたには返済義務がある」と強く迫られ、ご相談者様は心身ともに追い詰められてしまいました。
弁護士の対応と結果
ご依頼を受けた私は、まず、お父様宛に届いた請求書の内容を精査し、相続放棄の手続きを進めることが最善の解決策であるとご提案しました。問題は、すでに亡くなられてから3ヶ月以上が経過している点です。
そこで私は、家庭裁判所への相続放棄の申立てと共に、「なぜ3ヶ月以内に手続きができなかったのか」を詳細に説明する上申書(事情説明書)を作成しました。具体的には、「生前の故人の生活状況から、ご相談者様が財産も債務もないと信じるのは当然であったこと」「債権者からの通知で初めて債務の存在を知ったこと」などを、証拠と共に説得的に主張しました。
その結果、裁判所はこちらの主張を認め、無事に相続放棄の申立てが受理されたのです。その後、私が各債権者に対して「相続放棄受理証明書」を提示し、ご相談者様に返済義務がないことを法的に説明したことで、督促が収まったケースがあります。
この事例のように、期限を過ぎてしまったと諦めてしまう前に、専門家である弁護士にご相談いただくことで、道が開ける可能性があります。
注意!意図せず相続してしまう「法定単純承認」とは
相続放棄を検討している方が、最も注意しなければならない落とし穴の一つが「法定単純承認」です。これは、相続人が特定の行為をすることで、本人の意思とは関係なく「単純承認したもの」と法律上みなされてしまう制度です。
もし法定単純承認が成立してしまうと、たとえ3ヶ月の熟慮期間内であっても、後から相続放棄をすることはできなくなります。つまり、故人の借金をすべて背負うことが確定してしまうのです。どのような行為が該当するのか、具体的に見ていきましょう。
相続財産の「処分」にあたる行為の具体例
法定単純承認が成立する最も典型的なケースが、「相続財産の全部または一部を処分したとき」です。ここでいう「処分」とは、財産の現状や性質を変える行為を指します。相続人の方が良かれと思ってやりがちな行為も含まれるため、注意が必要です。
- 故人の預貯金を引き出して自分のために使う(生活費や自身の借金返済など)
- 故人名義の不動産を売却したり、自分の名義に変更したりする
- 故人名義の株式や自動車を売却する
- 遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めてしまう
- 故人が受け取るはずだった賃料や売掛金などを取り立て、自分のものにする
- 価値のある遺品(骨董品、貴金属など)を形見分けとして分配・売却する
これらの行為は、相続財産を自分のものとして扱う意思表示とみなされ、相続を承認したと判断されるリスクが非常に高いです。相続放棄を少しでも考えているのであれば、故人の財産には絶対に手を付けないようにしてください。
例外的に許される行為|葬儀費用の支払いや保存行為
一方で、相続財産に関わる全ての行為が禁止されているわけではありません。法定単純承認にはあたらないと解釈される可能性が高い行為もあります。
- 葬儀費用の支払い: 社会的儀礼として相当な範囲内で、故人の預金から葬儀費用を支払うことは、判例上も認められる傾向にあります。ただし、あまりに豪華な葬儀で多額の費用を支出した場合は、処分行為とみなされるリスクがあります。
- 保存行為: 財産の価値を現状のまま維持するための行為は、処分にはあたりません。例えば、壊れそうな家屋を修繕したり、腐りやすい食品を廃棄したりする行為がこれに該当します。
- 故人の未払いの税金や医療費の支払い: 故人の財産から、その債務(税金や医療費など)を支払う行為も、財産を不当に減少させるものではないため、許容される場合があります。
ただし、これらの行為が「許される範囲」かどうかは、非常に専門的な判断を要します。自己判断で行動してしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。どうすべきか迷った場合は、行動を起こす前に必ず弁護士にご相談ください。
相続放棄を弁護士に依頼するメリット|手続きと相談の価値
相続放棄は、ご自身で手続きを行うことも不可能ではありません。しかし、ここまで解説してきたように、期限の判断や法定単純承認のリスクなど、専門的な知識がなければ思わぬ落とし穴にはまってしまう危険性が潜んでいます。
なぜ、この複雑な手続きを弁護士に依頼すべきなのか。それは単に「手間が省ける」というだけではありません。依頼者の方の未来を守るための、専門家ならではの価値があるからです。
そもそも相続放棄が最善か、的確な状況判断をしてもらえる
弁護士の最初の役割は、手続きの代行ではありません。ご相談者様のお話を丁寧にお伺いし、故人の財産状況を調査した上で、「本当に相続放棄が最善の選択肢なのか」を法的な観点から総合的に判断することです。
もしかしたら、限定承認の方がメリットが大きいかもしれません。あるいは、相続した上で、弁護士の専門分野である債務整理という手法を使って借金を整理した方が、結果的に多くの財産を手元に残せるケースもあります。私たちは、あらゆる可能性を検討し、ご依頼者様にとって最も有利な解決策をご提案します。
複雑な書類作成と裁判所への手続きを全て代行してもらえる
相続放棄の手続きには、申述書の作成のほか、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本など、膨大な書類の収集が必要です。これらの書類を不備なく集めるだけでも、大変な時間と労力がかかります。
弁護士にご依頼いただければ、これらの煩雑な書類の収集・作成から、家庭裁判所への申立てまで、すべての手続きを正確かつ迅速に代行します。特に、3ヶ月の期限を超過してしまったケースでは、裁判所を納得させるための「上申書(事情説明書)」の作成が極めて重要になります。法的な知識と経験に基づき、説得力のある書類を作成できるのは、弁護士ならではの強みです。 
債権者からの督促窓口となり、精神的負担を解放する
故人に借金がある場合、相続人の方のもとへ債権者から厳しい督促の連絡が来ることがあります。これは非常に大きな精神的ストレスとなります。
弁護士が受任した場合、債権者へ受任通知を送付し、以後の連絡窓口を弁護士に一本化する対応を行います。債権者の種別(貸金業者等)や事案によっては、法律上・実務上、ご本人への直接連絡が制限されることがあり、精神的負担の軽減につながります。私たちは、依頼者を守る「盾」となり、精神的なプレッシャーから解放された環境で、安心して手続きの完了をお待ちいただけるよう全力でサポートします。これは、当事務所が掲げる「攻めの弁護」の姿勢そのものです。
弁護士と司法書士の違いは「代理権」の有無
相続放棄の手続きは、司法書士に依頼することも可能です。しかし、弁護士と司法書士では、その権限に大きな違いがあります。
司法書士は、相続放棄では主に申述書などの書類作成・提出代行を担うことが多く、家庭裁判所からの照会への回答等は原則として申述人本人が行います。一方で、司法書士には(認定を受けた場合に)簡易裁判所の一定の手続で代理業務が認められる制度もあります。相続放棄でどこまで対応できるかは、依頼先と手続内容により異なるため事前確認が必要です。
一方、弁護士は完全な「代理人」として、ご依頼者様に代わってすべての法的手続きを行う権限を持っています。裁判所からの問い合わせへの対応、債権者との交渉、万が一の訴訟に発展した場合の対応まで、あらゆる事態に包括的に対応できます。手続の難易度や債権者対応の必要性、費用感等を踏まえ、弁護士への依頼が適している場合があります。
まとめ|相続放棄でお悩みなら福岡フォワード法律事務所へ
この記事では、相続における3つの選択肢(単純承認・限定承認・相続放棄)、特に相続放棄について、その期限や注意点、そして専門家である弁護士に依頼するメリットを解説しました。
- 相続方法には3つの選択肢があり、財産状況に応じて慎重に選ぶ必要があること。
- 相続放棄には「3ヶ月」という期限があるが、期限後に借金が発覚した場合でも諦めずに専門家に相談すべきであること。
- 意図せず相続を承認してしまう「法定単純承認」という大きなリスクがあるため、故人の財産の取り扱いには細心の注意が必要なこと。
- 複雑な手続きや法的な判断が求められる相続放棄は、包括的な代理権を持つ弁護士に任せるのが最も確実で安心であること。
相続問題、特に予期せぬ借金の問題は、法律の知識がないまま一人で抱え込んでしまうと、精神的にも追い詰められ、誤った判断をしてしまいがちです。
福岡フォワード法律事務所は、「弁護士はサービス業」という理念のもと、敷居を低くし、どなたでも安心してご相談いただける体制を整えています。困難な状況に陥ったご依頼者様が、未来へ向かって再び力強く一歩を踏み出せるよう、私たちが「フォワード」として全力で道を切り開きます。
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不貞慰謝料は自己破産で免責される?弁護士が裁判例と条件を解説
不貞慰謝料は自己破産で免責される?原則と例外を解説
「不貞行為の慰謝料を請求されたが、とても支払える金額ではない…自己破産すれば支払い義務はなくなるのだろうか?」
「慰謝料を請求している相手が自己破産すると言っている。もう泣き寝入りするしかないのか…」
不貞慰謝料という重い責任と、自己破産という人生の大きな決断。この二つが交錯する時、多くの方が深い不安と混乱に陥ります。法的な結論がどうなるのか、見通しが立たない状況は非常にお辛いことでしょう。
結論から申し上げますと、不貞慰謝料は、自己破産手続きによって支払い義務が免除(免責)される可能性があります。しかし、すべてのケースで免責が認められるわけではなく、例外的に支払い義務が残り続けるケースも存在します。
この記事では、不貞慰謝料と自己破産の問題に直面している方のために、どのような場合に免責され、どのような場合に免責されないのか、その判断の鍵を握る法律の条文や実際の裁判例を基に、弁護士が分かりやすく解説します。
自己破産における「免責」とは?
まず、自己破産と「免責」の基本的な関係についてご説明します。自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、所有している財産を清算する代わりに、借金などの支払い義務を原則として免除してもらう手続きです。
裁判所での手続きが無事に終わると、「免責許可決定」が下されます。この決定が確定することにより、税金など一部の例外を除いて、抱えていたほとんどの債務の支払い義務から解放され、経済的な再スタートを切ることが可能になります。不貞慰謝料も金銭的な支払い義務(債務)の一種であるため、この免責の対象となるかが問題となります。自己破産は最終手段ですが、経済的再生を図るための債務整理の一つの方法として法律で認められた制度です。
例外的に支払い義務が残る「非免責債権」
自己破産をすれば全ての支払い義務がなくなるわけではありません。破産法では、政策的な理由などから、免責許可決定が出ても支払い義務が免除されない債権が定められており、これを「非免責債権」と呼びます。
非免責債権の代表的なものには、以下のようなものがあります。
- 税金、社会保険料
- 養育費、婚姻費用
- 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
- 故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
- 罰金など
不貞慰謝料が自己破産で免責されるかどうかは、主にこの「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当するか否かが争点となります。ただし、債権者名簿への記載漏れなど、別の理由で免責の効力が及ばない可能性(破産法253条1項6号など)もあるため、個別の事情を正確に確認することが重要です。
【条文解説】破産法253条1項2号が免責の鍵を握る
不貞慰謝料が非免責債権となるか否かを判断する上で、最も重要な条文が「破産法253条1項2号」です。まずは条文そのものを見てみましょう。
第二百五十三条 免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
(中略)
二 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権e-Gov法令検索 平成十六年法律第七十五号 破産法
この条文にある「悪意で加えた不法行為」に不貞行為が該当すると判断されれば、慰謝料は非免責債権となり、自己破産後も支払い義務が残ります。逆に、該当しないと判断されれば、免責の対象となり支払い義務はなくなります。
条文が定める「悪意で加えた不法行為」とは?
ここで非常に重要なのが、「悪意」という言葉の法的な意味です。私たちは日常的に「悪意」を「悪いことだと知っている」「わざと」といった意味で使いますが、破産法における「悪意」は、それよりもさらに限定された、「相手を積極的に害する意思(害意)」を指すと解釈されています。
つまり、単に「不貞行為が相手の配偶者を傷つけるだろう」と認識しているだけでは足りず、「相手の夫婦関係を破綻させてやろう」「精神的に追い詰めてやろう」といった、積極的な加害の意思がなければ、この条文の「悪意」には該当しない、というのが裁判例における一般的な考え方です。

通常の不貞行為は「悪意」に当たらないのが一般的
上記の「悪意(害意)」の解釈に基づくと、ほとんどの不貞行為は、恋愛感情などから発生するものであり、「相手の配偶者を積極的に害する目的」で行われるわけではありません。
もちろん、不貞行為が結果的に相手の配偶者を深く傷つけ、夫婦関係を破綻させることは十分にあり得ます。しかし、それはあくまで「結果」であり、行為の動機として「積極的な害意」があったとまでは言えないケースが大多数です。そのため、裁判例では、悪意(害意)を否定し免責の対象とする判断が多い一方、個別事情次第で非免責と評価され得るため、事案ごとの検討が必要というのが実務上の一般的な見解です。
不貞慰謝料の免責に関する重要裁判例
法律の解釈が実際の裁判でどのように適用されてきたのか、具体的な裁判例を見ることで理解はさらに深まります。ここでは、不貞慰謝料の免責に関するリーディングケース(指針となる判例)をご紹介します。
原則免責とした裁判例(東京地裁平成15年7月31日)
この問題について論じる際に、多くの専門家が引用するのがこの裁判例です。この事案で裁判所は、以下のような判断を示し、不貞慰謝料請求権は免責されると結論付けました。
同判決は、破産法上の「悪意」を単なる加害の認識だけでなく「積極的な害意」と解釈した上で、不貞行為が相手方配偶者を傷つけることを予見していたとしても、それだけでは直ちに積極的な害意があったとは認められない、と判断しました。
要するに、「不貞行為が配偶者を傷つけることは分かっていたはずだ」というだけでは、破産法が定める「積極的な害意」とは言えず、非免責債権には当たらない、という考え方です。この判例は、その後の多くの裁判や実務において、基本的な判断基準として大きな影響を与えています。
「害意」が認定され非免責となる悪質なケースとは
では、逆にどのようなケースであれば「害意」が認定され、慰謝料が非免責債権となる可能性があるのでしょうか。それは、単なる恋愛感情のもつれという範疇を著しく超える、極めて悪質なケースに限られると考えられます。
具体的には、以下のような事情が認められる場合です。
- 夫婦関係を破綻させることを主たる目的として、意図的に不貞行為に及んだ場合
(例:夫婦の一方からそそのかされ、離婚させる目的で不貞の協力者となった) - 配偶者に対する嫌がらせや報復目的で、執拗に不貞行為を繰り返した場合
(例:見せつけるように不貞の事実を告げたり、SNSで挑発したりする) - 不貞行為の態様が著しく反社会的・背徳的である場合
(例:夫婦の自宅で常習的に不貞を繰り返すなど、配偶者の人格を著しく踏みにじる行為)
このように、不貞行為の動機や態様において、配偶者に対する積極的な攻撃性や加害の意思(害意)が客観的な証拠から明らかであると裁判所が判断した場合に限り、例外的に非免責債権となる可能性があります。

【立場別】不貞相手の自己破産にどう対応すべきか
ここまで解説してきた法律知識を踏まえ、あなたが置かれている立場別に、今後どのように対応すべきかを見ていきましょう。
慰謝料を請求された側の対応策
不貞慰謝料の支払いが経済的に困難で、自己破産を検討せざるを得ない状況にある方は、決して一人で抱え込まないでください。自己破産は、人生を再スタートさせるための正当な権利です。
弁護士に依頼することで、裁判所への申し立て手続きをスムーズに進め、免責許可決定を得られる可能性を高めることができます。特に、慰謝料が非免責債権に当たらないことを裁判所に説得的に主張するためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。
【解決事例】不貞慰謝料の判決後に自己破産し、免責が認められたケース
ご相談者様は、既婚男性と不貞関係となり、その妻から慰謝料を請求されました。交渉がまとまらず訴訟に発展しましたが、ご相談者様が裁判に対応しなかったため、300万円の支払いを命じる判決が下されてしまいました。
判決後、相手方からの督促を受け、とても支払えないと当事務所にご相談に来られました。私はご相談者様の家計状況を詳細に伺い、支払い継続は不可能であると判断。自己破産手続きを進めることを決意しました。
裁判所への申し立てでは、本件の不貞行為が「夫婦関係を積極的に害する目的」で行われたものではないことを丁寧に主張しました。結果、裁判所は我々の主張を認め、手続きは同時廃止(配当可能な財産がない場合などに、破産手続開始と同時に手続が廃止され、破産管財人による換価・配当手続が行われない手続き)で進み、無事に免責許可決定が下りました。ご相談者様は、慰謝料の支払い義務から解放され、新たな一歩を踏み出すことができました。
また、状況によっては自己破産以外の方法、例えば任意整理によって月々の支払額を減額し、生活を再建できる可能性もあります。高額な不貞慰謝料を請求されてお困りでしたら、まずは専門家にご相談ください。
慰謝料を請求する側の対応策
慰謝料を請求している相手が自己破産を検討している、あるいは既に申し立ててしまった場合、あなたにとっては非常に厳しい状況と言わざるを得ません。原則として、慰謝料は免責されてしまう可能性が高いからです。
しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。もし相手の不貞行為に、先ほど例示したような「積極的な害意」があったと立証できるのであれば、破産手続きの中で「この慰謝料は非免責債権である」と裁判所に意見を述べることができます(免責に関する意見申述)。
ただし、これを認めてもらうハードルは非常に高いのが現実です。感情的な主張だけでは足りず、相手の害意を示す客観的な証拠(メール、LINEのやり取り、音声データなど)が必要不可欠です。弁護士に相談いただければ、お手元の証拠から「害意」の立証が可能か、現実的な回収可能性はどの程度あるのかを冷静に分析し、泣き寝入りせずに済むよう、最善の戦略を共に考えます。
不貞慰謝料と自己破産でお悩みなら福岡フォワード法律事務所へ
不貞慰謝料と自己破産の問題は、男女問題と債務整理という、いずれも高度な専門知識を要する分野が複雑に絡み合っています。法律の知識なくして、ご自身だけで最適な判断を下すことは極めて困難です。
このような困難な状況に置かれたときこそ、私たち弁護士の出番です。福岡フォワード法律事務所は、依頼者の未来を切り拓く「攻めの弁護」で、あなたの再スタートを全力でサポートします。
もしお困りでしたら、当事務所の無料相談をご利用ください。
あなたの状況に合わせた最善の解決策を提案します
慰謝料を請求されたのか、それとも請求しているのか。経済状況はどうなっているのか。どのような証拠があるのか。一人ひとり状況は全く異なります。
私たちは、マニュアル通りの対応はいたしません。まずはお話をじっくりと伺い、あなたの状況とご希望を正確に把握した上で、自己破産、任意整理、あるいは相手方との交渉など、考えられるあらゆる選択肢の中から、あなたにとって最善の解決策をオーダーメイドでご提案します。担当弁護士が最初から最後まで直接担当し、密なコミュニケーションを取りながら、あなたの不安に寄り添い続けます。
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私たちは「弁護士はサービス業」であると考えています。土日祝日や夜間(21時まで)のご相談、LINEでのご相談にも柔軟に対応しておりますので、まずはお気持ちをお聞かせください。あなたが一歩前に進むための力になります。
自己破産できない理由とは?【弁護士が対策を解説】
「自己破産できない」と諦めるのはまだ早いかもしれません
「ギャンブルで借金を作ってしまった…」「ブランド品を買いすぎて返済が苦しい…」
借金の返済に追われる毎日の中で、自己破産という言葉が頭をよぎっても、「自分の場合は、借金の理由が悪いから自己破産なんてできないだろう」と、一人で抱え込んでいませんか?
インターネットで調べると、「免責不許可事由」「管財事件」といった難しい言葉が並び、ますます不安が募ってしまうかもしれません。
でも、どうか諦めないでください。その不安、私たちが一緒に解消します。
この記事では、自己破産が難しいとされる理由や、手続きの仕組みについて、法律の専門家である弁護士が、分かりやすく、丁寧にかみ砕いて解説します。この記事を読み終える頃には、あなたが漠然と抱えている不安が具体的な知識に変わり、次にとるべき行動がはっきりと見えているはずです。
弁護士は、決してあなたを責めるためにいるのではありません。あなたの味方として、未来へ一歩踏み出すためのお手伝いをするのが私たちの仕事です。一人で悩まず、まずはこの記事をゆっくりと読み進めてみてください。
自己破産で借金がなくならない「免責不許可事由」とは?
自己破産をしても借金の支払義務がなくならない(免責されない)ケースは、法律で定められています。これを「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」と呼びます。多くの方が「自分は自己破産できないかもしれない」と不安に思う原因は、この免責不許可事由に心当たりがあるからではないでしょうか。
まずは、どのような行為が免責不許可事由にあたるのか、ご自身の状況と照らし合わせながら具体的に見ていきましょう。法律の条文(破産法第252条1項)を基に、代表的なものを解説します。
代表的な11の免責不許可事由をわかりやすく解説
免責不許可事には、主に以下の11のケースが定められています。
- 財産を隠したり、壊したり、価値を不当に下げたりする行為
(例:自己破産するからと、車を不当に安く友人に売却する、預金口座の存在を隠す) - 不当な債務負担行為
(例:破産手続きの開始を遅らせる目的で、クレジットカードのショッピング枠を現金化する) - 特定の債権者にだけ返済する行為(偏頗弁済:へんぱべんさい)
(例:友人からの借金だけを優先して返し、他の貸金業者への返済を止める) - 浪費やギャンブルによって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりする行為
(例:収入に見合わない高額なブランド品の購入、パチンコや競馬、FX投資などにのめり込み多額の借金をする) - 詐術を用いた信用取引
(例:返済能力がないことを隠して(嘘をついて)お金を借りる) - 帳簿等を隠したり、偽造したりする行為(個人事業主や法人の場合)
(例:財産状況を分からなくするために、帳簿や書類を隠す、嘘の記載をする) - 虚偽の債権者名簿を裁判所に提出する行為
(例:一部の債権者を意図的に隠して裁判所に書類を提出する) - 裁判所の調査に協力しない、または虚偽の説明をする行為
(例:裁判所や破産管財人からの質問に答えなかったり、嘘の説明をしたりする) - 破産管財人の職務を妨害する行為
(例:破産管財人が行う財産の調査や管理を邪魔する) - 過去7年以内に免責許可決定が確定した場合等(給与所得者等再生の再生計画認可決定の確定、ハードシップ免責等を含む)
(例:以前に自己破産や給与所得者等再生で借金の免除を受けてから7年が経過していない) - 破産法上の義務に違反する行為
(例:破産手続き中に裁判所の許可なく引っ越しをするなど、法律で定められた義務を守らない)
特にご相談が多いのは、4番目の「浪費やギャンブル」や3番目の「特定の債権者への返済」です。これらの行為に心当たりがあると、「もうダメだ」と思ってしまうかもしれません。しかし、重要なのはここからです。
【重要】免責不許可事由があると「管財事件」になりやすい
免責不許可事由に該当する可能性がある場合、自己破産の手続きは「管財事件(かんざいじけん)」という、より複雑な手続きに進む可能性が高くなります。
なぜなら、裁判所は「本当にこの人を免責させてよいのか?」を慎重に判断する必要があるからです。例えば、ギャンブルが原因で借金をした場合、その内容や金額、現在の反省状況などを詳しく調査しなければなりません。また、財産を隠していないか、特定の債権者だけを優遇していないかなども、公平性を保つためにチェックする必要があります。
この調査を裁判所に代わって行うのが「破産管財人(はさんかんざいにん)」という弁護士です。そして、この破産管財人が選任される手続きが「管財事件」なのです。
免責不許可事由の存在は、手続きが少し複雑になるサインと捉えておきましょう。そして、だからこそ、手続きをスムーズに進め、最終的な免責を得るために、あなたの代理人となる弁護士のサポートが極めて重要になります。
諦めないで!多くのケースで免責が認められる「裁量免責」

「免責不許可事由に当てはまるから、やっぱり自己破産は無理なんだ…」
そう感じた方も、どうか希望を捨てないでください。実は、免責不許可事由があったとしても、最終的に裁判所の判断で免責が認められるケースがほとんどなのです。これを「裁量免責(さいりょうめんせき)」といいます。
裁判所は、免責不許可事由に該当する事実があったとしても、その行為の程度や、本人が真摯に反省しているか、経済的に立ち直ろうと努力しているかなど、様々な事情を総合的に考慮して、「今回は免責を認めて、再出発のチャンスを与えよう」と判断してくれるのです。
実際に、日本弁護士連合会の調査でも、自己破産を申し立てた個人のうち、免責が許可されなかったケースはごくわずかです。つまり、免責不許可事由があったとしても、多くの方が裁量免責によって救済されているのが現実なのです。
裁判所は何を見る?裁量免責を得るための3つの重要ポイント
では、裁判所はどのような点を見て裁量免責を判断するのでしょうか。私たちが実務で特に重要だと考えているのは、以下の3つのポイントです。
- 借金理由への真摯な反省
なぜ借金をしてしまったのか、その原因と向き合い、心から反省している姿勢を示すことが何よりも大切です。弁護士と相談しながら、反省の気持ちを具体的に文章にまとめた「反省文」を作成し、裁判所に提出することもあります。 - 手続きへの誠実な協力
裁判所や破産管財人からの調査には、正直かつ誠実に協力する義務があります。財産について嘘をついたり、質問に答えなかったりすると、「反省していない」と見なされ、心証を大きく損なう可能性があります。弁護士が間に入ることで、どのような情報を提供すべきか、どのように説明すべきかを的確にアドバイスできます。 - 経済的更生の意欲と計画性
「もう二度と借金はしません」という意欲を、具体的な行動で示すことが重要です。例えば、毎月の収入と支出を記録した家計簿を作成し、きちんと家計管理ができることをアピールします。これにより、裁判所は「この人なら、免責をすればきちんと生活を立て直せるだろう」と判断しやすくなります。
これらのポイントを押さえ、誠実な対応を積み重ねていくことが、裁量免責への一番の近道です。
【解決事例】FX投資で多額の借金…誠実な対応で免責を勝ち取ったケース
ここで、当事務所が実際に担当した事例をご紹介します。この事例は、まさに「免責不許可事由があっても、諦めずに誠実に対応すれば道は開ける」ことを示しています。
ご相談に来られたAさんは、長年にわたりFX投資にのめり込み、借金の総額は1000万円近くに膨れ上がっていました。生活費のための借り入れもありましたが、借金の大部分はFX投資によるものでした。
投資やギャンブルによる借金は、典型的な免責不許可事由です。正直、簡単な道のりではありませんでした。しかし、Aさんには「人生をやり直したい」という強い意志がありました。私たちは、Aさんのその想いを裁判所に届けるため、二人三脚で準備を進めました。
まず、Aさんがどれだけ深く反省しているかを示すため、詳細な反省文を作成し、裁判所に提出しました。なぜFXに手を出してしまったのか、家族にどれだけ迷惑をかけたか、そして「現在は一切FXをやっておらず、今後も絶対に手を出さない」という固い決意を、自分の言葉で綴ってもらいました。
次に、経済的な更生能力を示すため、毎月の家計表を正確に作成し、収入の範囲内で質素に生活していることを証明しました。これは、単に数字を並べるだけでなく、「もうお金の管理は大丈夫です」という裁判所へのメッセージになります。
そして、管財事件になりましたが、破産管財人からの調査や面談での質問には、どんなに厳しいことを聞かれても、決して嘘をつかず、誠実に正直に回答するよう徹底しました。
こうしたAさんの真摯な姿勢が裁判所に評価され、最終的に無事、免責を得ることができたのです。免責が決定した時のAさんの安堵した表情は、今でも忘れられません。これは、弁護士と依頼者が一体となって、最後まで諦めずに戦った結果でした。
手続きはどう違う?「同時廃止」と「管財事件」の分岐点
自己破産の手続きには、大きく分けて「同時廃止(どうじはいし)」と「管財事件(かんざいじけん)」の2種類があります。先ほど、免責不許可事由があると管財事件になりやすいと説明しましたが、この2つの手続きは具体的に何が違うのでしょうか。ご自身の負担に直結する重要なポイントなので、しっかり理解しておきましょう。
【費用・期間で比較】同時廃止と管財事件のメリット・デメリット
一番の違いは、費用と期間です。一言でいうと、同時廃止の方が依頼者の負担は圧倒的に軽くなります。

| 同時廃止 | 管財事件(少額管財) | |
|---|---|---|
| 費用(裁判所への予納金) | 約1万円~3万円 | 約20万円~ |
| 手続き期間の目安 | 約3ヶ月~6ヶ月 | 約6ヶ月~1年 |
| 手続きの複雑さ | 比較的簡易 | 破産管財人による調査があり、複雑 |
| メリット | 費用が安く、期間も短い | 免責不許可事由が疑われる場合でも、管財事件で事情が調査され、裁判所が諸事情を踏まえて裁量免責を認めることがあります |
| デメリット | 免責不許可事由があると利用しにくい | 費用が高く、期間も長い |
※費用や期間は、事案や裁判所によって異なります。少額管財とは、通常の管財事件よりも費用を抑えた運用です。多くの個人の管財事件はこの少額管財で行われます。
表を見てわかる通り、管財事件になると裁判所に納める予納金が最低でも20万円以上必要になり、手続き期間も長くなります。この予納金は弁護士費用とは別に用意しなければならないため、大きな負担となります。
あなたがどちらになるかの判断基準は「財産」と「借金の理由」
では、どのような基準で同時廃止と管財事件に振り分けられるのでしょうか。主な判断基準は以下の2つです。
- 一定以上の財産があるか
破産手続きは、本来、債務者の財産をお金に換えて債権者に公平に分配する手続きです。そのため、債権者に分配できるほどの財産(裁判所の運用によって異なりますが、例えば福岡地裁などでは、評価額20万円以上の個別の財産がないことが同時廃止の一つの目安とされています)がある場合は、その財産を調査・管理・換価する破産管財人が必要となるため、管財事件になります。逆に、めぼしい財産がなければ、分配する手続き自体が不要なため、手続きを廃止する「同時廃止」となります。 - 免責不許可事由があるか
この記事で繰り返し説明している通り、浪費やギャンブルといった免責不許可事由の疑いがある場合は、その内容を詳しく調査する必要があるため、管財事件になる可能性が非常に高くなります。
つまり、「特に財産もなく、借金の理由もやむを得ないもの(生活苦や病気など)」であれば同時廃止に、「財産があるか、または借金の理由に問題がある」場合は管財事件になる、と考えると分かりやすいでしょう。
自己破産が難しい場合の他の選択肢と、弁護士に相談する意味
ここまで読んで、「やはり自分は自己破産が難しいかもしれない」「管財事件の費用は用意できそうにない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、借金問題を解決する方法は自己破産だけではありません。
万が一のケースも想定し、他の選択肢と、それでもなお弁護士に相談するべき理由についてお伝えします。
任意整理・個人再生という解決策
自己破産以外にも、主に「任意整理」と「個人再生」という手続きがあります。これらの債務整理の種類と方法を知っておくことで、よりご自身の状況に合った解決策を見つけることができます。
- 任意整理:裁判所を通さず、弁護士が貸金業者と直接交渉し、将来の利息をカットしてもらったり、返済期間を延ばしてもらったりして、毎月の返済額を減らす手続きです。比較的借金が少なく、安定した収入がある方に向いています。
- 個人再生:裁判所に申し立て、借金を法律で定められた最低弁済額まで減額し(減額幅は負債額・財産・可処分所得等により異なり、最大で10分の1程度になる場合があります)、残りを原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。住宅ローンが残っていても家を手放さずに済む可能性があるなど、大きなメリットがあります。
どの手続きがあなたにとって最適なのかは、借金の総額、収入、財産の状況、そして何より「どうやって生活を再建していきたいか」によって変わってきます。
なぜ弁護士が必要?依頼する3つの大きなメリット
どのような手続きを選ぶにせよ、借金問題の解決のために弁護士に依頼すると、書類作成や裁判所対応の負担を減らし、手続きを適切に進めやすくなる場合があります。弁護士に依頼することには、主に3つの大きなメリットがあります。
- あなたに最適な解決策を提案できる
自己破産、個人再生、任意整理。それぞれのメリット・デメリットを熟知した弁護士が、あなたの状況を丁寧にお聞きし、法律の専門家として最善の道筋を示します。一人で悩んで誤った判断をしてしまうリスクを避けることができます。 - 裁量免責を得るための強力な味方になる
特に自己破産で裁量免責を目指す場合、弁護士の役割は絶大です。裁判所や破産管財人を説得するための的確な主張や資料の準備、面談への同席など、あなたの代理人として全面的にサポートします。これは、ご自身で手続きを行う場合には決して得られない大きなアドバンテージです。 - 今すぐ督促が止まり、心の平穏を取り戻せる
弁護士に依頼すると、弁護士から貸金業者(消費者金融・クレジットカード会社等)に「受任通知」という手紙が送られます。この通知が貸金業者に到達すると、貸金業法等の定めにより、正当な理由なくあなたへ直接取り立てをすることが制限されます(※債権者の種類により扱いは異なります)。鳴りやまない電話や郵便物から解放され、落ち着いて生活再建に集中できる環境を手に入れることができます。

福岡フォワード法律事務所は、依頼者の方に寄り添い、共に戦うことを信条としています。あなたの不安を安心に変え、未来へ前進するためのお手伝いをさせてください。
まとめ|一人で悩まず、まずは福岡フォワード法律事務所へご相談ください
この記事では、自己破産ができないとされる「免責不許可事由」や、手続きの種類、そしてそれでも諦める必要がない理由について解説してきました。
大切なポイントをもう一度振り返ります。
- 浪費やギャンブルなどの「免責不許可事由」があっても、「裁量免責」によって自己破産が認められる可能性は十分にあります。
- 免責不許可事由があると、費用や期間の負担が大きい「管財事件」になりやすいですが、誠実な対応で乗り越えることが可能です。
- 自己破産が難しい場合でも、「任意整理」や「個人再生」といった他の解決策があります。
- どの手続きを選ぶにせよ、弁護士に相談することで、督促が止まり、あなたに最適な解決策を見つけ、有利に手続きを進めることができます。
借金の問題は、一人で抱え込んでいると、出口のないトンネルのように感じてしまうかもしれません。しかし、必ず解決の道はあります。その第一歩は、専門家に相談するという、ほんの少しの勇気です。
福岡フォワード法律事務所では、土日祝日・夜間(21時まで)の相談にも対応しており、LINEでのご相談も可能です。「こんなことを相談していいのだろうか」などと悩む必要はありません。あなたのそのお悩みを、まずは私たちにお聞かせください。全力で、あなたの再出発をサポートします。
【参照】
2023年破産事件及び個人再生事件記録調査 (PDFファイル;6.5MB)
債務整理の種類と方法|自己破産を回避し生活再建する道筋
返済に追われる毎日…もう無理だと諦めていませんか?
「また返済日が来てしまった…」「今月はどうやって乗り切ろう…」
鳴りやまない督促の電話におびえ、返済のために別の場所から借り入れをする…。そんな苦しい毎日を送っていませんか?
出口の見えないトンネルの中で、「もう自分は終わりかもしれない」「誰にも相談できない」と、たった一人で絶望的な気持ちを抱えていらっしゃるかもしれません。
でも、どうか諦めないでください。その苦しみから抜け出し、穏やかな生活を取り戻すための道は、きちんと用意されています。この記事は、単に手続きを説明するものではありません。あなたが今の苦境を乗り越え、未来へ一歩踏み出すための、具体的な道筋を示すためにあります。
一人で抱え込まず、まずは少しだけ、肩の力を抜いて読み進めてみてください。きっと、あなたにとっての希望の光が見つかるはずです。
債務整理とは?3つの方法で借金問題を解決する
「債務整理」と聞くと、何か特別な、後ろめたいことのように感じてしまうかもしれません。しかし、全くそんなことはありません。債務整理は、借金で苦しむ人を救うための正当な生活再建のための手続きです。
借金の状況やあなたの希望に応じて、主に3つの方法があります。まずはそれぞれの特徴を大まかに掴んでいきましょう。

任意整理:裁判所を通さず話し合いで返済負担を軽くする
任意整理は、弁護士があなたの代理人となって、お金を借りている会社(債権者)と直接交渉し、将来発生するはずだった利息(将来利息)をカットしてもらい、無理のない返済計画(通常3年~5年の分割払い)を立て直す方法です。
裁判所を通さないため、手続きが比較的スピーディーで柔軟なのが大きな特徴です。例えば、「保証人がついている借金だけは対象から外したい」「このクレジットカードは残したい」といったご希望にも、交渉次第で応えられる可能性があります。
多くのご相談者様がこの任意整理によって、月々の返済額を大幅に減らし、生活を立て直すきっかけを掴んでいます。ただし、債権者との交渉は専門的な知識と経験が不可欠です。弁護士に依頼することで、交渉を有利に進め、より良い条件での和解を目指すことができます。
個人再生:家を残しながら借金を大幅に減額する
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金の元本そのものを大幅に減額(例えば5分の1~10分の1程度)してもらい、その減額された金額を原則3年で分割返済していく手続きです。
最大のメリットは、「住宅ローン特則」という制度を利用することで、住宅ローン返済中のマイホームを手放さずに、他の借金だけを大幅に減らせる点にあります。「家族との思い出が詰まった家だけは守りたい」と強く願う方にとって、非常に有効な選択肢となります。
任意整理では返済が難しいけれど、自己破産はしたくない、という状況の方に適しています。ただし、手続きが複雑で、安定した収入が見込めることが条件となるなど、利用するにはいくつかの要件を満たす必要があります。
自己破産:返済義務を免除してもらい、生活をリセットする
自己破産は、裁判所に申し立て、支払い不能であることを認めてもらうことで、原則として全ての借金の返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。
「自己破産」という言葉の響きから、「人生の終わり」といったネガティブなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。「自己破産では、原則として一定の価値がある財産は処分対象になります(判断基準は財産の種類や裁判所の運用等により異なります)。一方で、99万円以下の現金や生活に必要な家財などは『自由財産』として手元に残せる場合があります。また、自己破産をしても戸籍・住民票に記載されず、選挙権に影響はありません。」
自己破産は、決して終わりではありません。借金の呪縛から完全に解放され、経済的にゼロから人生を再スタートさせるための、前向きな制度なのです。どうしても返済の目処が立たない場合に、最後の、そして最も強力なセーフティーネットとして用意されています。
【状況別】あなたに最適な債務整理の選び方
「自分にはどの方法が合っているんだろう?」と迷われるのは当然です。ここでは、あなたの状況に合わせて最適な手続きを見つけるためのヒントをご紹介します。
フローチャートで診断!あなたに合う方法はどれ?
いくつかの簡単な質問に答えるだけで、あなたに合った債務整理の方向性が見えてきます。まずは気軽にチェックしてみてください。

ケーススタディ:こんな場合はどの方法がベスト?
より具体的にイメージできるよう、実際の相談に近いケーススタディを見ていきましょう。
【ケース1】30代・独身・会社員 / 借金総額300万円
クレジットカードのリボ払いや消費者金融からの借入が複数あり、月々の返済が約10万円に。利息を払うだけで精一杯で元本がなかなか減らない状況。
→ 最適なのは「任意整理」
弁護士が介入し、各社と交渉。将来利息を全てカットし、5年(60回)の分割払いで和解。月々の返済額が約10万円から約5万円に半減し、完済の目処が立ちました。
【ケース2】40代・妻子あり・会社員 / 借金総額800万円(住宅ローン除く)
子供の教育費や車のローンなどが重なり、住宅ローンとは別に借金が膨らんでしまった。マイホームだけは手放したくないと強く希望。
→ 最適なのは「個人再生」
住宅ローン特則を利用し、マイホームはそのまま維持。800万円の借金が5分の1の160万円にまで減額され、これを3年間で分割返済(月々約4.5万円)していく計画が認可されました。
【ケース3】50代・自営業 / 借金総額1200万円
事業の運転資金のために借り入れを繰り返したが、売上が回復せず返済不能に。めぼしい資産もなく、返済を続けていく収入の見込みが立たない。
→ 最適なのは「自己破産」
裁判所に申し立て、免責許可決定を受けることができました。これにより、1200万円の返済義務が全て免除され、心機一転、新たな生活をスタートさせることができました。
自己破産は避けたい…任意整理で生活再建できた解決事例
「自分の借金額では、もう自己破産しかないかもしれない…」
そう思い詰めて、当事務所の扉を叩かれる方は少なくありません。しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。実際に、自己破産を回避し、見事に生活を立て直されたご依頼者様の事例をご紹介します。

ご相談に来られたのは、7社から合計500万円もの借金を抱え、毎月の返済額が20万円を超えてしまっていた方でした。お話をお伺いすると、「自己破産だけは、どうしても避けたいんです」という切実な想いがひしひしと伝わってきました。
正直に申し上げて、この負債状況は、一見すると自己破産を選択せざるを得ない厳しいケースでした。しかし、私は諦めませんでした。ご依頼者様の「返していきたい」という強い意志に応えたい、その一心で、私はすぐに各カード会社の交渉実績や過去の和解条件を徹底的に分析しました。
すると、光が見えてきたのです。借入先の大半が、粘り強く交渉すれば長期の分割払いに応じてくれる可能性がある会社だったのです。「これなら、任意整理でいけるかもしれない!」と確信しました。
私はすぐさま各社に連絡を取り、ご依頼者様の窮状と「なんとか返済していきたい」という誠実な想いを、私の言葉で熱心に訴えました。丁寧な交渉を粘り強く重ねた結果、全ての会社との和解が成立。あれほど苦しんでいた月々の返済額を、合計7万円まで減額することができたのです。
和解内容をご報告した時の、ご依頼者様の安堵と喜びに満ちた表情は、今でも忘れられません。このように、一見すると自己破産しかないように思える状況でも、弁護士の交渉力と経験次第で、任意整理によって自己破産を回避できる可能性は十分にあるのです。
債務整理の前に知っておきたい共通のデメリットと注意点
債務整理は強力な解決策ですが、良い面ばかりではありません。後悔のない選択をするために、共通するデメリットや注意点についても正しく理解しておきましょう。
信用情報に載るとどうなる?
債務整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。

信用情報に事故情報が登録される期間は、信用情報機関や登録内容によって異なりますが、一般に「契約終了(完済)後おおむね5年以内」が目安です(分割返済で完済が遅れると、その分だけ影響が長期化します)。主に以下のような影響があります。
- クレジットカードの新規作成や利用ができなくなる可能性がある
- 新たなローン(住宅ローン、自動車ローン、キャッシング等)が組めなくなる可能性がる
- 他人の借金の保証人になれなくなる可能性がある
生活に不便を感じる面はありますが、永遠に続くわけではありません。期間が経過すれば、再びカードを作ったりローンを組んだりすることも可能です。また、この期間中は現金払いを基本とし、デビットカードやスマートフォンの決済サービスなどを活用することで、工夫次第で大きな支障なく生活を送ることができます。むしろ、「借金ができない期間」と前向きに捉え、家計を見直す良い機会にすることも大切です。
家族や会社に知られてしまう可能性はある?
「家族や職場にだけは絶対に知られたくない」というご不安は、非常によく分かります。
- 家族について
任意整理は、裁判所を通さず債権者と直接交渉するため、ご家族に知られる可能性は最も低い手続きです。弁護士にご依頼いただければ、全ての連絡は事務所が窓口となり、ご自宅に書類が届くことも基本的にありません。
一方、個人再生や自己破産は、裁判所に提出する書類(家計簿など)の準備でご家族の協力が必要になるので、内緒で進めるのは難しいのが実情です。 - 勤務先について
債務整理をしたこと自体が勤務先に通知されることは、原則としてありません。したがって、ご自身から話さない限り、会社に知られる可能性は極めて低いです。債務整理をしたことだけを理由に直ちに解雇が有効になるとは限りません。解雇は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要とされ、これを欠く解雇は無効となります(労働契約法16条)。
勇気を出して、まずは弁護士に相談という一歩を
ここまで読み進めてくださり、ありがとうございます。
債務整理には様々な方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあることをご理解いただけたかと思います。しかし、一番大切なのは、「あなたにとって」どの方法がベストなのかを、専門家と一緒に見つけ出すことです。
一人で悩み続けていても、残念ながら状況は日に日に悪化し、利息は膨らんでいくだけです。どうか、これ以上一人で抱え込まないでください。私たち弁護士は、あなたの状況を責めることなく、全力であなたの味方になります。
福岡フォワード法律事務所は、「弁護士はサービス業」であると考え、どこよりも相談しやすい法律事務所を目指しています。
- 弁護士自身が最初から最後まで直接対応します。
- 土日祝日・夜間(21時まで)のご相談も可能です。
- ご依頼者様には、弁護士直通の連絡先(電話・LINE等)をご案内し、可能な限り迅速に折り返し・対応できる体制を整えています。
(債務整理のご相談は何度でも無料です。)まずあなたのお話をじっくりお伺いし、解決策のご提案や、手続きにかかる費用の見積もりをご提示します。相談したからといって、無理に依頼を勧めることは決してありません。
勇気を出して相談することが、状況を整理し、解決に向けて前に進むための大切な第一歩になります。
不貞慰謝料を減額できる?意に沿わない性交渉など5つのケース
もしかして減額できる?不貞慰謝料を請求された時の確認点
ある日突然、不貞行為(不倫・浮気)の慰謝料を請求する内容証明郵便が届いたら、誰でも冷静ではいられないでしょう。「どうしよう、人生が終わってしまう…」「言われるがままに支払うしかないのか…」と、パニックになってしまうのも無理はありません。
しかし、どうか落ち着いてください。請求された金額を、すぐに全額支払わなければならないと決まったわけではありません。特に、あなたとお相手との関係が「意に沿わないもの」であった場合など、事情によっては慰謝料を大幅に減額できる、あるいは支払う必要がなくなる可能性も十分にあります。
この記事では、不貞慰謝料の減額が認められる可能性のある5つのケース、特に「意に沿わない性交渉」がなぜ減額につながるのか、そして実際に減額を勝ち取るための交渉の進め方について、弁護士が分かりやすく解説します。
高額な慰謝料請求に一人で悩まないでください。この記事を読めば、あなたが今何をすべきか、そして未来への一歩を踏み出すための道筋が見えてくるはずです。

不貞慰謝料が減額・免除される5つのケース
不貞慰謝料が請求されるのは、不貞行為が「不法行為」にあたり、それによって夫婦関係の平和という法的な利益が侵害された、と考えられるためです。しかし、状況によっては、この「不法行為」が成立しなかったり、影響が小さかったりする場合があります。ここでは、慰謝料が減額または免除される代表的な5つのケースを見ていきましょう。
ケース1:意に沿わない性交渉だった(心理的強制・セクハラ)
本記事で最もお伝えしたい重要なケースです。不貞行為が、あなたの自由な意思に基づいたものではなかった場合、慰謝料が大幅に減額、または免除される可能性があります。
不法行為が成立するためには、加害者に「故意・過失」があったことが必要です。しかし、以下のような状況では、この「故意(わざと)」の部分が否定される、あるいは非常に弱いと判断されることがあるのです。
- 職場の上司や取引先の担当者など、力関係で逆らえない相手から強引に関係を迫られた。
- 「断ったら仕事で不利益な扱いをする」などと脅され、断ることができなかった。
- 日常的なセクハラや精神的な圧迫を受けており、正常な判断ができない状態だった。
このようなケースは、もはや恋愛関係ではなく、セクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)の問題です。「断れなかった自分も悪い」とご自身を責める必要はありません。法的には、あなたの「意思の自由」が侵害された結果であり、慰謝料を支払う義務がない、または著しく減額されるべき状況といえる可能性があります。
ケース2:相手が既婚者だと知らなかった(過失がない)
不貞行為の相手が、既婚者であることを隠してあなたと交際していた場合も、「故意・過失」が否定される典型的な例です。
例えば、以下のような状況です。
- マッチングアプリで「独身」と偽っていた。
- 「妻とはとっくに別れた」と嘘をつかれていた。
- 一人暮らしをしており、既婚者だと疑う余地がなかった。
ただし、「知らなかった」と主張するだけでは不十分です。「知らなかったことについて、あなたに落ち度(過失)がない」ことまで必要になります。例えば、相手の言動に不審な点があったにもかかわらず確認を怠った場合などは、過失があったと判断される可能性もあります。相手が独身だと信じさせるための具体的な言動の証拠(メッセージなど)が重要になります。
ケース3:不貞前から夫婦関係が破綻していた
不貞慰謝料は、不貞行為によって「平穏な婚姻共同生活」が壊されたことに対する償いです。ということは、あなたがお相手と関係を持つ以前から、すでにお相手の夫婦関係が壊れていた(破綻していた)場合、守られるべき「平穏な婚姻生活」が存在しないため、慰謝料は発生しないか、大幅に減額されることになります。
裁判で「破綻」が認められやすいのは、以下のような客観的な事実がある場合です。
- 長期間にわたって別居している。
- 夫婦間で離婚調停や離婚訴訟が進められている。
- 家庭内別居状態が続き、夫婦としての実態(会話や性交渉など)が全くない。
ただし、「夫婦喧嘩が絶えなかった」「相手から『離婚したい』と聞いていた」という程度では、法的に「破綻」と認められないケースも多いため、専門的な判断が必要です。
ケース4:請求額が慰謝料の相場より著しく高い
慰謝料を請求する側は、精神的な苦痛から感情的になり、法的な相場を大きく超える金額を請求してくることがあります。しかし、請求されたからといって、その全額を支払う義務はありません。
不貞慰謝料の裁判上の相場は、様々な事情を考慮して決まりますが、おおよその目安は以下の通りです。
| 状況 | 慰謝料の相場 |
|---|---|
| 不貞が原因で離婚した場合 | 100万円~300万円程度 |
| 離婚はしないが、夫婦関係が悪化した場合 | 50万円~100万円程度 |
請求額がこの相場から著しくかけ離れている場合は、その点を指摘し、適切な金額への減額を交渉することが可能です。

ケース5:その他(不貞期間が短い、社会的制裁など)
上記のケース以外にも、以下のような事情は慰謝料の減額事由として考慮される可能性があります。
- 不貞の期間・頻度: 肉体関係が一度きりだった、交際期間が数週間程度と非常に短いなど。
- 謝罪や反省の態度: 誠心誠意、謝罪の気持ちを伝えている。
- 社会的制裁の有無: 不貞が原因で会社を退職せざるを得なくなったなど、すでに社会的制裁を受けている。
- 相手からの積極的な誘い: 不貞の相手側が主導して関係が始まった。
これらの事情を一つひとつ丁寧に主張していくことで、最終的な支払額を減らせる可能性があります。諦めずに、ご自身の状況で主張できることがないか、しっかりと検討することが大切です。
【弁護士の解決事例】意に沿わない関係で慰謝料0円を達成
ここで、当事務所が実際に取り扱った事例をご紹介します。この事例は、「意に沿わない関係」がいかに慰謝料減額において重要なポイントとなるかを示しています。
ご相談に来られたのは、300万円もの不貞慰謝料を請求されてしまった女性でした。彼女の表情は憔悴しきっており、「もうどうしていいか分からない」と、か細い声で話し始めました。
詳しくお話を伺うと、不貞相手は職場の上司。その上司は、職務上の立場を利用して、執拗に彼女に迫ってきたのです。「言うことを聞かなければ、このプロジェクトから外す」といった趣旨の発言もあり、彼女は断れば自分のキャリアが閉ざされてしまうという恐怖から、やむなく関係に応じてしまったとのことでした。
これは、単なる不貞行為ではありません。職場における力関係を背景とした、悪質なセクハラ事案です。彼女の心は、罪悪感よりも、恐怖と理不尽さで深く傷ついていました。
私は、この点を交渉の最大の軸に据えました。相手方の弁護士に対し、「これは自由な意思に基づく関係ではなく、依頼者の意思が著しく抑圧された状況下で行われたものである。したがって、不法行為の成立要件である『故意』は認められない」と強く主張しました。
最初は強気だった相手方も、こちらが具体的な状況を詳細に指摘し、セクハラとしての責任追及も辞さない姿勢を示すと、徐々に態度を軟化させていきました。最終的に、当事務所の交渉の結果、依頼者様が慰謝料を支払うことなく解決に至りました(事案により結果は異なります)。解決の報告をした時の、彼女の心からの安堵の表情は、今でも忘れられません。
このように、意に沿わない性交渉であったケースでは、慰謝料を大幅に減額、あるいはゼロにできる可能性があるのです。

慰謝料減額を成功させる交渉の進め方と注意点
では、実際に慰謝料の減額を求める場合、どのように行動すればよいのでしょうか。正しいステップを踏むことが、有利な解決への鍵となります。
ステップ1:請求内容を正確に把握する
多くの場合、慰謝料請求は「内容証明郵便」という書式で送られてきます。物々しい書面に驚き、すぐに電話をかけたり、返事を書いたりしたくなる気持ちは分かりますが、まずは冷静に書面の内容を隅々まで確認しましょう。
- 誰が、誰に請求しているのか(請求者の氏名、代理人弁護士の有無)
- いくらを請求しているのか(請求金額)
- いつまでに支払うよう求めているのか(支払期限)
- どのような事実を根拠に請求しているのか(不貞行為の日時、場所など)
相手の主張を正確に把握することが、反論の第一歩です。この段階で、感情的に相手を非難したり、焦って要求を飲んだりすることは絶対に避けてください。
ステップ2:減額を主張できる証拠を集める
交渉を有利に進めるためには、客観的な証拠が何よりも重要です。特に「意に沿わない関係だった」という主張は、デリケートな問題だけに、証拠の有無が結果を大きく左右します。
以下のようなものが証拠となり得ます。
- 相手からの執拗な誘いや、強要を示すメッセージ: LINE、メール、SNSのDMなど。
- 通話の録音: 相手が威圧的な言動をしている部分など。
- 第三者の証言: 職場の同僚など、相手のセクハラ行為を見聞きしていた人の証言。
- 専門機関への相談記録: 会社のコンプライアンス窓口や、公的な相談機関に相談していた場合の記録。
証拠は、感情的になって消去してしまわないよう、慎重に保全してください。スマートフォン上のやり取りは、スクリーンショットを撮っておくのが確実です。
ステップ3:弁護士に相談し、交渉を依頼する
減額事由があり、証拠も集められそうな場合でも、ご自身で相手方と直接交渉することはおすすめできません。
特に「意に沿わない関係だった」という主張は、相手から「合意の上だったはずだ」と強い反発を受けることが予想されます。当事者同士では、感情的な言い争いになり、話がこじれてしまうケースがほとんどです。
法律の専門家である弁護士が代理人として間に入ることで、以下のようなメリットがあります。
- 精神的負担の軽減: 相手方と直接顔を合わせたり、連絡を取ったりする必要がなくなります。
- 冷静かつ論理的な交渉: 法的な根拠に基づき、冷静に減額を主張できます。
- 適切な解決金の提示: 裁判になった場合の見通しを踏まえ、現実的な落としどころを探ることができます。
専門家に任せることで、あなたは平穏な日常を取り戻すことに集中できるのです。

不貞慰謝料の減額交渉でやってはいけない3つのこと
慰謝料を請求されて動揺している時ほど、誤った対応をしてしまいがちです。ここでは、あなたの立場を不利にしてしまう「やってはいけないNG行動」を3つご紹介します。
NG1:請求を無視・放置する
「怖いから」「どうせ払えないから」といって請求を無視し続けるのは、最も危険な対応です。相手方は、あなたが支払う意思がないと判断し、裁判(訴訟)を起こす可能性が高まります。
裁判所から訴状が届いても無視していると、相手の主張が全面的に認められた判決が出てしまい、預貯金や給与などを差し押さえられる「強制執行」という手続きに進むおそれがあります。事態を悪化させないためにも、請求には必ず何らかの対応をする必要があります。
NG2:焦って念書や合意書にサインする
「この場を早く収めたい」という一心で、相手が提示する念書や合意書に安易にサインをしてはいけません。一度書面に署名・押印してしまうと、その内容に法的な拘束力が生じ、後から「やっぱり減額してほしい」と主張することは極めて困難になります。
相手から何らかの書面へのサインを求められた場合は、「弁護士に相談してからでないとサインできません」と伝え、必ず専門家のチェックを受けてください。
NG3:感情的に相手を煽る・嘘をつく
請求に対して腹が立つ気持ちは理解できますが、感情的に相手を罵倒したり、事実を捻じ曲げて嘘の反論をしたりすることは、百害あって一利なしです。相手の感情を逆なでし、態度を硬化させてしまうだけで、交渉での解決が遠のいてしまいます。
また、もし裁判になった場合、嘘の主張は簡単に見破られ、裁判官からの心証を著しく悪くします。その結果、あなたにとって不利な判決が下されるリスクが高まります。交渉はあくまでも冷静に、誠実な態度で臨むことが大切です。
慰謝料減額は弁護士へ。福岡フォワード法律事務所が全力でサポート
不貞慰謝料を請求され、特にその背景に「意に沿わない関係」というデリケートな問題が隠されている場合、その精神的なご負担は計り知れません。一人で抱え込み、誰にも相談できずに苦しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
慰謝料の減額交渉は、法律の知識はもちろん、相手の心理を読み解き、有利な事実を的確に主張する高度な交渉術が求められます。ご自身で対応するには、あまりにも荷が重いと感じるのが当然です。そんな時こそ、私たち弁護士を頼ってください。
福岡フォワード法律事務所は、「弁護士はサービス業」という信念のもと、相談者様が話しやすい親しみやすい雰囲気作りを何よりも大切にしています。事務所名に込めた「フォワード(FW)」の想いの通り、あなたを守るため、そしてあなたが前へ進むために、私は法的に可能な範囲で最善の解決を目指し、的確に対応します。
高額な慰謝料請求に、言われるがまま応じる必要はありません。あなたのそのお悩み、まずは私に聞かせてください。夜間や土日のご相談も、事前のご予約により柔軟に対応しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。あなたの未来のために、私が最善の道を切り開きます。
【事務所情報】
事務所名:福岡フォワード法律事務所
所属弁護士会:福岡県弁護士会
代表弁護士:秀﨑 康男(ひでさき やすお)
所在地:福岡県福岡市中央区赤坂1丁目5番22号 赤坂えがしらビル4階
不貞慰謝料の算定方法|相場と増減要素を裁判例と共に解説
不貞慰謝料に決まった計算式はない【相場と考え方を解説】
「配偶者に不倫をされた。一体いくら慰謝料を請求できるのだろう…」「不倫相手から慰謝料を請求されているけれど、この金額は妥当なのだろうか?」
パートナーの不貞行為が発覚したとき、多くの方が怒りや悲しみと同時に、慰謝料という金銭的な問題に直面し、混乱してしまうのは当然のことです。インターネットで検索すると「慰謝料計算シミュレーター」のようなツールも見つかりますが、実は、不貞慰謝料には法律で定められた明確な計算式というものは存在しません。
慰謝料の金額は、画一的な計算で決まるのではなく、一つひとつのケースの個別具体的な事情を考慮して、最終的に裁判所が判断します。だからこそ、過去の裁判例から導き出される「相場」と、金額が変動する「要素」を正しく理解することが、適正な慰謝料を獲得(あるいは支払う)ための第一歩となるのです。
この記事では、不貞慰謝料問題に数多く携わってきた弁護士が、慰謝料の算定における基本的な考え方から、金額を左右する重要な要素、そして実際の裁判例まで、分かりやすく解説していきます。
慰謝料の相場は離婚するか否かで大きく変わる
不貞慰謝料の金額を考える上で、最も大きな分かれ道となるのが、不貞行為が原因で婚姻関係が破綻し、離婚や別居に至ったかどうかです。
| ケース | 慰謝料の相場 |
|---|---|
| 不貞行為が原因で離婚・別居する場合 | 100万円~300万円程度 |
| 離婚・別居はせず、婚姻関係を継続する場合 | 数十万円~100万円程度 |
なぜこれほど金額に差が出るのでしょうか。それは、慰謝料が「精神的苦痛に対する償い」だからです。不貞行為によって、長年築き上げてきた家庭が崩壊し、離婚せざるを得なくなった場合の精神的ダメージは、関係を修復できた場合と比べて遥かに大きいと評価されます。そのため、離婚に至るケースの方が慰謝料は高額になる傾向があるのです。
自動計算シミュレーターでは正確な金額は分からない理由
ウェブサイト上で見かける自動計算シミュレーターは、いくつかの質問に答えるだけでおおよその金額が提示されるため、手軽に感じるかもしれません。しかし、その結果を鵜呑みにするのは非常に危険です。
前述の通り、慰謝料の算定は単純な足し算や引き算ではありません。後ほど詳しく解説する様々な「算定要素」が、まるで複雑なパズルのように絡み合って金額が決まります。例えば、同じ「婚姻期間10年」でも、夫婦関係が円満だった場合と、すでに家庭内別居状態だった場合とでは、慰謝料額は全く異なります。
シミュレーターは、こうした個別の事情の濃淡や、当事者の感情的な対立といった、数値化できない要素までは考慮できません。あくまで参考程度に留め、ご自身の状況に即した適正な金額を知るためには、専門家である弁護士に相談し、多角的な視点から分析してもらうことが不可欠です。 
慰謝料額を左右する8つの重要な算定要素
それでは、具体的にどのような事情が慰謝料の金額に影響を与えるのでしょうか。ここでは、裁判所が慰謝料を算定する際に重視する8つの代表的な要素を解説します。これらの要素がご自身のケースでどのように評価されるかを考えることで、慰謝料の見通しを立てることができます。
1. 婚姻期間の長さ
婚姻期間が長いほど、慰謝料は増額される傾向にあります。
例えば、結婚20年の夫婦と結婚1年の夫婦とでは、不貞行為によって壊される平穏な結婚生活の価値が異なると考えられます。長い年月をかけて築いてきた信頼関係や家庭生活が裏切りによって破壊された精神的苦痛は、より大きいと評価されるためです。
2. 不貞行為の期間・回数・態様
不貞行為が悪質であるほど、慰謝料は高額になります。
具体的には、以下のような点が考慮されます。
- 期間・回数:一度きりの過ちよりも、長期間にわたって多数回、継続的に関係を持っていた方が悪質と判断されます。
- 態様:夫婦の自宅で不貞行為に及ぶ、計画的に密会を重ねるなど、配偶者を深く傷つけるような行為は、慰謝料の増額事由となります。
- 発覚後の関係:不貞行為が発覚した後も、関係を清算せずに密会を続けていたような場合は、極めて悪質とみなされます。
3. 不貞行為が原因で離婚・別居に至ったか
これは慰謝料額を決定づける最も重要な要素です。
先ほどの相場でもご説明した通り、不貞行為によって婚姻関係が完全に破綻してしまった場合、精神的苦痛は最大であると評価され、慰謝料は高額になります。一方で、最終的に夫婦関係を修復し、婚姻を継続する選択をした場合は、損害はある程度回復されたとみなされ、慰謝料は比較的低額になる傾向があります。
4. 未成年の子供の有無と影響
未成年の子供がいる家庭での不貞行為は、慰謝料の増額事由となり得ます。
不貞行為が原因で両親が離婚すれば、子供は多大な精神的ショックを受け、生活環境も大きく変わってしまいます。こうした子供への悪影響も、配偶者が受ける精神的苦痛の一部として考慮され、慰謝料額に反映されることがあるのです。特に、子供が幼いほど、その影響は大きいと判断される傾向にあります。
5. 不貞行為前の夫婦関係
不貞行為が始まる前から、すでに夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料が減額されたり、認められなかったりすることがあります。
例えば、長期間にわたって別居している、夫婦間の会話や性的交渉が全くないなど、客観的に見て「夫婦としての実態が失われている」状態であった場合です。法律上、このような場合に保護されるべき平穏な婚姻生活の利益は小さい、あるいは存在しないと判断されるためです。
ただし、単なる夫婦喧嘩や一時的なすれ違い程度では「破綻」とは認められません。相手方から「もう関係は壊れていた」と安易に主張されることも多いため、慎重な反論が必要です。
6. 不貞行為後の当事者の態度
不貞が発覚した後の、配偶者や不倫相手の態度は、慰謝料額に影響を与えます。
- 増額されるケース:嘘をつき続ける、証拠を隠滅しようとする、開き直って反省の色が見られない、暴言を吐くなど、不誠実な対応は慰謝料の増額事由となります。
- 減額されるケース:真摯に謝罪し、深く反省している態度は、減額方向に考慮されることがあります。
誠意ある対応がなされるかどうかは、被害者の感情を大きく左右するため、重要な判断要素とされるのです。
7. 当事者の社会的地位や支払い能力
慰謝料を支払う側の年収や資産といった経済力も考慮されます。
例えば、支払う側が高収入の医師や会社経営者である場合、慰謝料額は高くなる傾向があります。これは、同じ100万円でも、経済状況によってその重みが異なるためです。逆に、支払い能力が著しく低い場合には、裁判所も現実的に支払可能な範囲での金額を命じることが多くなります。
8. 妊娠・中絶の有無
不貞関係の結果、不倫相手が妊娠したり、中絶したりした事実は、慰謝料を大幅に増額させる極めて重要な要因です。
これは、単なる肉体関係を超えて、新たな命に関わる事態にまで発展したことを意味します。このような行為が婚姻関係に与えるダメージは計り知れず、行為の悪質性も極めて高いと判断されるため、精神的苦痛は甚大であるとして、高額な慰謝料が認められる傾向が強いです。

【裁判例】慰謝料が高額/低額になったケースに見る判断基準
ここでは、実際の裁判例をもとに、どのような場合に慰謝料が高額になり、どのような場合に低額になるのかを見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせることで、より具体的なイメージが掴めるはずです。
高額慰謝料(300万円以上)が認められた事例
高額な慰謝料が認められるケースには、やはり「婚姻関係の破綻」や「行為の悪質性」といった要素が色濃く反映されています。
- 事例1:夫と不倫相手の不貞行為が原因で離婚。婚姻期間が約13年と長く、未成年の子供が2人いたこと、不貞行為が発覚した後も夫が反省せず家を出てしまったことなどが考慮され、不倫相手に対し300万円の支払いが命じられた。
- 事例2:約11年間にわたり不貞関係を継続し、その間に子供までもうけていた事案。妻に発覚後も関係を続けた悪質性から、夫と不倫相手の双方に対し、連帯して500万円の支払いが命じられた。
弁護士が語る解決事例:10年間の不貞の末、300万円を回収したケース
当事務所で過去に扱った解決事例(ご依頼者様の同意を得て、事案を特定できないよう一部変更しています)として、夫が実に10年もの長期間にわたって同じ相手と不貞関係を続けていたというものがありました。
ご依頼者様は長年、夫の裏切りに気づかず、平穏な家庭生活を送っていると信じていました。しかし、ある日突然、夫から離婚を切り出され、長年の不貞の事実を知ることになったのです。その精神的ショックは、筆舌に尽くしがたいものでした。調査の結果、不貞関係の中で極めて悪質性の高い事実があったことも判明しました。この事実は、ご依頼者様の心をさらに深く傷つけました。
私は、ご依頼者様の受けた精神的苦痛の大きさを、法的な主張として丁寧に積み上げました。
- 10年というあまりに長い不貞期間
- 妊娠・中絶という極めて悪質な事実
- これらの行為によって平穏な婚姻生活が根底から破壊されたこと
これらの点を強く主張し、不貞相手と粘り強く交渉を重ねた結果、最終的に300万円の慰謝料を支払わせることで合意に至りました。金額もさることながら、「相手にきちんと責任を取らせることができた」という事実が、ご依頼者様が新たな一歩を踏み出すための大きな力になったと感じています。この事例は、絶望的な状況でも、弁護士が介入し、法的な観点から「戦う」ことで、依頼者の尊厳と未来を守れることを示しています。
低額慰謝料(100万円以下)にとどまった事例
一方で、慰謝料が比較的低額になるケースもあります。請求する側も、される側も、どのような事情が減額につながるのかを知っておくことが重要です。
- 事例1:婚姻期間が約1年半と短く、不貞行為の回数も1回きりであった事案。不貞発覚後、夫婦関係は破綻せず、婚姻を継続していることなどから、慰謝料は50万円とされた。
- 事例2:不貞行為が始まる数年前から夫婦は別居しており、離婚調停を申し立てるなど、既に婚姻関係が破綻状態にあったと認定された。そのため、不貞行為による精神的苦痛は小さいとして、慰謝料は30万円にとどまった。
裁判例から学ぶべき「慰謝料算定のポイント」
これらの高額・低額事例を比較すると、裁判所が慰謝料を算定する上で、特に次の2つのポイントを重視していることが分かります。
- 不貞行為が婚姻関係の破綻に与えた影響の大きさ
- 不貞行為そのものの悪質性の高さ
ご自身のケースで慰謝料を請求(または減額を主張)する際には、この2つの軸に沿って、有利な事情を整理し、証拠に基づいて具体的に主張していくことが極めて重要になります。
慰謝料請求で悩んだら、まずは弁護士にご相談ください
ここまで不貞慰謝料の算定方法について解説してきましたが、「自分の場合はどうなるんだろう…」と、かえって混乱してしまった方もいらっしゃるかもしれません。配偶者の裏切りに深く傷つき、冷静な判断が難しい中で、一人で法的な手続きや交渉を進めるのは、精神的に大きな負担となります。
弁護士はあなたの状況を整理し、最善の戦略を立てます
弁護士に相談する最大のメリットは、あなたの感情的なお悩みを受け止めつつ、法的な観点から状況を客観的に整理できる点にあります。
- どの算定要素が有利に働くか、不利に働くか
- どのような証拠が有効か
- 慰謝料を最大化(または最小化)するために、どのような戦略で交渉すべきか
私たち専門家が介入することで、感情的な対立に陥りがちな当事者間の話し合いを、冷静かつ有利に進めることが可能になります。あなたに代わって相手方と交渉する「代理人」となることで、精神的な負担を大幅に軽減し、あなたは今後の生活の再建に集中することができるのです。
福岡で不貞慰謝料問題に強い弁護士をお探しの方へ
福岡フォワード法律事務所は、依頼者の正当な権利と尊厳を守るため、常に依頼者の味方として、積極的かつ誠実に法的サポートを提供することをお約束します。
当事務所の大きな特徴は、原則として代表弁護士である私、秀﨑が、最初のご相談から事件の解決まで、責任をもって担当させていただくことです。事務員任せにすることは決してありません。ご依頼時には、ご希望に応じて緊急時の連絡手段を共有させていただき、緊密に連携を取りながら、スピーディーに事件を進めていきます。
弁護士は、決して敷居の高い存在ではありません。私たちは「弁護士はサービス業」であると考え、あなたが話しやすい雰囲気作りと、親身な傾聴を何よりも大切にしています。一人で抱え込まず、まずはあなたの胸の内をお聞かせください。私たちが、あなたが前へ進むための一歩を、力強くサポートします。
初回のご相談は原則無料です(ご予約の際にご確認ください)。土日祝日・夜間(21時まで)の法律相談をご希望の方も、まずはご予約のうえ、お気軽にお問い合わせください。
W不倫の注意点|発覚後のリスクと4者間慰謝料問題の解決策
W不倫(ダブル不倫)とは?通常の不倫との決定的な違い
「W不倫(ダブル不倫)」とは、既婚者同士が不倫関係になることを指します。しかし、その本質は単に「既婚者同士」という点だけではありません。最大の特徴は、不倫をした当事者2名とその配偶者2名、合計4名が関係者となり、それぞれの利害が複雑に絡み合うという点にあります。この「4者関係」こそが、通常の不倫問題とは一線を画す、W不倫の特殊性と難しさの根源なのです。
もしあなたが今、W不倫の問題で心を痛めているのなら、それは決して一人で抱え込めるような簡単な問題ではありません。この記事では、W不倫特有のリスクと、複雑に絡み合った糸を解きほぐすための具体的な解決策を、男女問題に詳しい弁護士が分かりやすく解説します。
登場人物は4人、利害関係が複雑に絡み合う
W不倫の問題を理解するためには、まず登場人物の関係性を正確に把握することが重要です。
- あなた(Aさん)と、あなたの配偶者(Bさん)
- 不倫相手(Cさん)と、その配偶者(Dさん)
この4人が登場人物です。仮に、あなた(Aさん)と不倫相手(Cさん)が不倫関係にあったとします。この場合、慰謝料を請求する権利を持つのは、不倫をされた側であるあなたの配偶者(Bさん)と、相手の配偶者(Dさん)の2人です。そして、請求される側は、不倫をしたあなた(Aさん)と不倫相手(Cさん)の2人になります。

つまり、BさんはAさんとCさんに対して、DさんはAさんとCさんに対して、それぞれ慰謝料を請求できる権利があるのです。誰が誰に請求し、誰が誰に支払うのか。そして、支払ったお金は最終的に誰が負担するのか。このように、複数の矢印が飛び交うことで、当事者だけでの話し合いは極めて困難になります。
なぜハマる?W不倫に陥りやすい人の心理と特徴
W不倫に陥るきっかけは様々ですが、いくつかの共通した心理的特徴が見られます。
- 家庭での不満や寂しさを共有できる:お互いに家庭を持つからこそ、配偶者への不満や子育ての悩みなどを深く共感し合え、急速に関係が深まることがあります。
- 「家庭を壊すつもりはない」という共通認識:お互いに家庭があるため、「本気ではない」「あくまで割り切った関係」という暗黙の了解が生まれやすく、罪悪感が薄れがちです。
- 同じ職場など、日常的な接点がある:毎日顔を合わせる職場の同僚などは、仕事の相談などを通じて自然と距離が縮まり、不倫関係に発展しやすい環境と言えます。
こうした心理的な背景から、「まさか自分が」と思っていた方が、気づかぬうちにW不倫の当事者になってしまうケースは少なくありません。ご自身の状況を客観的に見つめ直すことが、解決への第一歩となります。
W不倫が発覚したとき、絶対にやってはいけない3つのこと
W不倫が発覚した直後は、誰しも冷静ではいられません。しかし、感情的な行動は事態をさらに悪化させ、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。まずは落ち着いて、以下の3つの行動は絶対に避けてください。
感情のままに相手の配偶者に連絡する
最もやってしまいがちで、最も危険な行動です。怒りや悲しみのあまり、不倫相手の配偶者に直接連絡を取ってしまうと、どうなるでしょうか。
- 相手に「脅された」と主張され、逆に不利な立場に追い込まれる可能性がある。
- 感情的な発言を録音され、後の交渉で不利な証拠として使われる恐れがある。
- 相手方が冷静に弁護士を立てる時間を与えてしまい、交渉の主導権を完全に握られてしまう。
感情に任せた行動は、百害あって一利なしです。まずは専門家である弁護士に相談し、可能な対応を検討することが一般的に有効です。
証拠がないまま不倫相手と話し合う
不倫の事実を問い詰める前に、まずは客観的な証拠を確保することが極めて重要です。証拠がない状態で話し合いを始めても、「そんな事実はない」としらを切られたり、巧妙に言い逃れをされたりするだけです。それどころか、相手に警戒され、LINEの履歴を消去されたり、スマホを買い替えられたりするなど、証拠隠滅を図る時間を与えてしまいます。
法的に有効な証拠がどのようなものかについては、「不倫慰謝料請求で必要な証拠」のページでも詳しく解説していますが、まずは焦らず、冷静に証拠を集めることから始めましょう。
安易に念書や示談書にサインする
相手方から「これを認めれば穏便に済ませる」などと言われ、念書や示談書へのサインを求められることがあります。しかし、その内容を十分に理解しないまま安易にサインをしてはいけません。
一度書面に署名・押印してしまうと、法的な拘束力が生じ、後から「知らなかった」「無理やり書かされた」と主張しても、その内容を覆すことは非常に困難です。特にW不倫の場合、後述する「求償権」の放棄など、専門的な知識がないと理解できない不利な条項が含まれている可能性もあります。サインする前に可能な限り弁護士に相談することをお勧めします。
慰謝料はどうなる?W不倫の請求で知るべき「4者和解」
W不倫の慰謝料問題を解決する上で、鍵となるのが「4者和解」という考え方です。ここでは、W不倫特有の金銭問題である「求償権」のリスクと、その最善の解決策となりうる「4者ゼロ和解」について解説します。
慰謝料請求がループする?「求償権」のリスク
「求償権(きゅうしょうけん)」とは、少し難しい言葉ですが、W不倫問題を理解する上で非常に重要な権利です。不倫の慰謝料は、不倫をした2人が連帯して支払う義務を負います。そのため、例えばあなたの配偶者が、不倫相手から慰謝料200万円を全額受け取ったとします。これで解決したと思いきや、不倫相手は「2人でやったことなのだから、半分の100万円はあなたが負担すべきだ」と、あなたに対して支払いを求めてくる可能性があるのです。これが求償権です。
この求償権の存在を知らずに当事者同士で話を進めると、あとから自身が不倫相手から求償権を行使された場合に困ることになります。
また、当然のことながら、不倫相手の配偶者からあなたが請求されるリスクもあります。そうなると、「片方の夫婦間では解決したはずなのに、後からもう一方の当事者から請求が来た」というように、問題がいつまでも終わらない泥沼の状態に陥ってしまう危険性があります。
最も穏便な解決策「4者ゼロ和解」とは?
このような複雑な状況を、最も穏便に、かつ最終的に解決する方法の一つが「4者ゼロ和解」です。これは、関係者である4人全員が合意の上で、「お互いに慰謝料を請求しない」と取り決める解決方法です。
例えば、双方の夫婦がどちらも「離婚はしたくない」「関係を修復したい」と考えている場合、慰謝料の支払いでお金が動くと、それぞれの家計にダメージを与え、夫婦関係の再構築の妨げになる可能性があります。それならば、お互いに慰謝料請求権を放棄し、金銭的な負担なくこの問題を終わらせよう、というのがゼロ和解の考え方です。
もちろん、これは4人全員の合意があって初めて成立するものです。しかし、特に双方ともに離婚を望まない場合には、非常に有効で現実的な解決策となり得ます。
【参考事例】弁護士の交渉で、金銭負担ゼロの「4者和解」を実現
※以下は説明目的の仮想事例です。
当事務所にご相談に来られたのは、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されたAさん(妻)でした。Aさんのご家庭も、相手方のご家庭も、どちらも「離婚はしない」という意向でした。この状況でAさんが相手方の要求通りに慰謝料を支払ってしまうと、今度はAさんの夫が不倫相手に対して慰謝料を請求し、さらに不倫相手がAさんに求償権を行使する…という複雑な事態に陥る可能性がありました。
そこで私は、すぐに相手方の代理人弁護士と交渉を開始。双方の夫婦が離婚を望んでいないこと、慰謝料の支払いが双方の家計に与えるダメージ、そして何よりこの問題を早期に終結させることが全員にとって最善の利益であることを冷静に説きました。
粘り強い交渉の結果、最終的には関係者4名全員が納得する形で「お互いに慰謝料を請求しない」という4者ゼロ和解を成立させることができました。交渉により、当事務所の依頼者は金銭的負担を回避できた例があります(個別の事案により結果は異なります)。
このような複雑な交渉を当事者だけでまとめるのは至難の業です。専門家である弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、全員が納得できる着地点を見出すことができるのです。
あなたの望みは?状況別に見るW不倫の解決への道筋
W不倫問題の解決策は、あなたが今後どうしたいかによって大きく異なります。「離婚して再出発したい」のか、それとも「夫婦関係を修復したい」のか。ご自身の希望に合わせた解決の道筋を考えましょう。

ケース1:離婚して新たな人生を歩みたい場合
配偶者の不倫を許せず、離婚を決意した場合、解決すべき問題は多岐にわたります。
- 不倫をした配偶者と不倫相手への慰謝料請求
- 財産分与(夫婦で築いた財産をどう分けるか)
- 親権(未成年の子どもがいる場合)
- 養育費
W不倫が絡む離婚協議は、感情的な対立が激しくなり、当事者だけでの話し合いは困難を極めます。弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として相手方と冷静に交渉し、慰謝料や財産分与などであなたが正当な利益を得られるよう、法的な観点から全力でサポートします。
ケース2:夫婦関係を修復し、やり直したい場合
離婚はせず、夫婦関係を再構築したいと望むのであれば、前述した「4者ゼロ和解」が現実的なゴールとなります。そのためには、相手方夫婦も離婚を望んでいないことが前提となります。
この場合、弁護士は4者全員の利害を調整し、全員が納得できる和解契約書を作成する役割を担います。感情的になりがちな当事者の間に専門家が入ることで、冷静な話し合いが可能となり、スムーズな合意形成を目指せます。「二度と会わない」といった接触禁止の条項を盛り込むなど、将来の不安を取り除くための取り決めをすることも重要です。
W不倫問題は弁護士への早期相談が解決の鍵
ここまでお読みいただき、W不倫問題がいかに特殊で複雑か、お分かりいただけたかと思います。登場人物が4人もいるため、当事者だけで解決しようとすると、かえって問題をこじらせ、泥沼化させてしまうケースが後を絶ちません。
もしあなたが今、W不倫の問題で悩んでいるのなら、どうか一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で私たち弁護士にご相談ください。
W不倫のお悩みは、まず弁護士にご相談ください
複雑な4者交渉を有利に進められる
弁護士は、法律の専門家であると同時に、交渉のプロフェッショナルです。4者の複雑な利害関係を正確に把握し、法的な根拠に基づいて、あなたにとって最も有利な解決策を導き出すための交渉戦略を立てることができます。
特に4者和解のような高度な交渉では、弁護士の存在が不可欠です。感情的な対立に巻き込まれることなく、冷静かつ戦略的に交渉を進め、最善の着地点を目指します。
精神的な負担を大幅に軽減できる
W不倫問題は、心身ともに大きなストレスを伴います。相手方やその配偶者と直接やり取りをすることは、精神的に非常に辛いものです。
弁護士にご依頼いただければ、弁護士が交渉窓口を担うことで、当事者間の直接交渉を避けられる場合があります。これにより精神的負担の軽減が期待できることがあります(効果は個別事情により異なります)。当事務所は依頼者の負担軽減を重視し、迅速かつ丁寧な対応を心がけています。
当事務所は土日祝日および平日夜間(〜21時)に相談受付を行う場合があります。詳しくはお問い合わせください。あなたが前へ進むための一歩を、全力でサポートします。
不貞慰謝料を請求されたら?減額交渉と弁護士相談の全知識
不貞慰謝料を請求されたあなたへ|まずは深呼吸してください
「不貞慰謝料として〇〇万円支払え」
ある日突然、内容証明郵便や弁護士からの手紙が届いたら、誰でも冷静ではいられないでしょう。頭が真っ白になり、心臓がバクバクして、これからどうなってしまうのかと、強い不安と恐怖に襲われているのではないでしょうか。
そのお気持ち、痛いほどよくわかります。しかし、どうか一人で抱え込まないでください。あなたは今、人生の大きな岐路に立たされていますが、決して一人ではありません。
この記事は、単に法律の知識を解説するためだけのものではありません。突然の出来事に動揺し、誰にも相談できずにいるあなたの心の負担を少しでも軽くし、冷静に、そして有利に問題を解決するための「道しるべ」となるために書きました。
私たち福岡フォワード法律事務所は、これまで多くの男女トラブルのご相談を受けてきました。その経験から断言できるのは、パニックになって誤った対応をしてしまうことが、何よりも事態を悪化させるということです。
大丈夫です。まずは一度、深呼吸をしてください。そして、この記事をゆっくりと読み進めてください。あなたが今何をすべきで、何をすべきでないのか、具体的な道筋がきっと見えてくるはずです。
慰謝料を支払う前に!最初に確認すべき4つの重要ポイント
相手方の請求を鵜呑みにして、言われるがままにお金を支払う必要はありません。感情的に対応する前に、まずは「そもそも慰謝料を支払う法的な義務があるのか?」を冷静に確認することが重要です。以下の4つのポイントをご自身の状況と照らし合わせてみてください。もしかしたら、支払いを拒否できたり、大幅に減額できたりするかもしれません。

1. 不貞行為は本当にあったか?(肉体関係の有無)
慰謝料請求が認められる大前提は、法律上の「不貞行為」があったことです。そして、法律上の不貞行為とは、基本的には「配偶者以外の異性と自由な意思で肉体関係を持つこと」を指します。
二人きりで食事に行ったり、デートをしたり、手をつないだりしただけでは、原則として不貞行為にはあたりません。したがって、肉体関係が一切ないのであれば、慰謝料の支払い義務は発生しない可能性が高いでしょう。
ただし、キスや抱擁など肉体関係に準ずるような行為が繰り返し行われ、その態様が悪質である場合など、例外的に慰謝料が認められるケースも稀にあります。裁判で不貞行為を立証するには、客観的な証拠が必要となります。
2. 相手が既婚者だと知っていたか?(故意・過失)
不貞行為による慰謝料は、専門的には「不法行為に基づく損害賠償請求」といいます。これが認められるためには、あなたに「故意」または「過失」があったことが必要です。
つまり、「相手が既婚者であることを知っていた(故意)」、あるいは「注意すれば既婚者だとわかったはずなのに不注意で気づかなかった(過失)」という場合でなければ、支払い義務は生じません。
例えば、相手が「独身だ」と嘘をついていて、それを信じさせるために巧妙な工作(指輪を外す、家族の話をしない等)をしていた場合、「既婚者だと知らなかったし、知らなかったことに過失もない」と主張できる可能性があります。ただし、単に「知らなかった」と主張するだけでは不十分で、客観的な状況からそう信じてもやむを得ないといえるかが重要になります。
3. 相手の夫婦関係は既に破綻していなかったか?
あなたが不貞関係を持つ前から、相手の夫婦関係がすでに修復不可能なほど冷え切って破綻していた場合、慰謝料の支払い義務が認められないか、認められても大幅に減額される可能性があります。
なぜなら、不貞慰謝料は「円満な夫婦生活を送る権利」という法的な利益を侵害したことに対する賠償だからです。すでにその利益が失われている(夫婦関係が破綻している)のであれば、あなたの行為によって新たな損害は生じなかった、と考えられるためです。
「婚姻関係の破綻」が認められやすいケースとしては、
- 長期間にわたって別居している
- 離婚調停や離婚訴訟を申し立てている
- 家庭内別居が続き、夫婦としての実態が全くない
などがあります。ただし、単に「夫婦仲が悪いと聞いていた」「よく喧嘩していた」という程度では、法的な意味での「破綻」とは認められないことがほとんどですので、注意が必要です。
4. 請求はいつ来たか?(時効の確認)
不貞慰謝料の請求権には、「時効」という法律上の期限があります。この期限を過ぎてしまうと、相手は慰謝料を請求する権利を失います。
時効には2つのパターンがあります。
- 損害および加害者を知った時から3年
具体的には、請求者(不貞をされた配偶者)が「不貞行為の事実」と「不貞相手が誰か(あなたのこと)」の両方を知った時から3年です。 - 不貞行為の時から20年
たとえ請求者が不貞の事実に気づいていなくても、最後の不貞行為があった時から20年が経過すると、請求権は消滅します。
もし、相手が3年以上前に不貞の事実を知っていたことが明らかであれば、時効を主張して支払いを拒否できる可能性があります。これも重要な反論の一つになります。
請求された金額は妥当?不貞慰謝料の相場と減額要素
相手から請求された金額を見て、その大きさに愕然としているかもしれません。しかし、その金額は相手方の感情的な言い分が上乗せされた、法外なものであるケースが少なくありません。まずは裁判になった場合の客観的な相場を知り、冷静に判断しましょう。
慰謝料の相場は50万~300万円が目安
不貞慰謝料の金額は、法律で明確に決まっているわけではありません。個別の事情を総合的に考慮して判断されますが、裁判になった場合の相場は概ね以下のようになっています。

| 夫婦関係の結果 | 慰謝料の相場 |
|---|---|
| 不貞が原因で離婚した場合 | 100万円 ~ 300万円 |
| 離婚はしないが、別居に至った場合 | 50万円 ~ 150万円 |
| 離婚も別居もしていない場合 | 50万円 ~ 100万円 |
請求額がこの相場を大きく超えている場合は、減額交渉の余地が十分にあると言えるでしょう。
交渉の切り札!慰謝料の主な減額・増額要素
慰謝料の最終的な金額は、様々な事情によって変動します。以下の要素は、減額交渉を進める上での重要な「カード」になります。ご自身の状況に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
| 減額されやすい要素 | 増額されやすい要素 |
|---|---|
| 不貞行為の期間が短い、回数が少ない | 不貞行為の期間が長い、回数が多い |
| 真摯に謝罪し、反省の態度を示している | 謝罪せず、開き直るなど不誠実な態度 |
| 相手の夫婦の婚姻期間が短い | 相手の夫婦の婚姻期間が長い |
| 不貞関係が始まる前から夫婦仲が悪かった | 円満な夫婦関係を破壊した |
| 相手(不貞した配偶者)が積極的に誘ってきた | こちらが主導して不貞関係を迫った |
| 社会的地位や収入が低い | 相手夫婦に未成年の子どもがいる |
| すでに社会的制裁を受けている(退職など) | 不貞の結果、妊娠・中絶させた |
これらの要素を具体的に主張することで、感情論ではない、根拠のある減額交渉が可能になります。
【実践編】慰謝料の減額交渉を有利に進める3ステップ
ここからは、実際にどのように交渉を進めていけばよいかを具体的に解説します。感情的な対応やその場しのぎの約束は絶対に禁物です。冷静に、そして戦略的に交渉を進めるための3つのステップを覚えておきましょう。
ステップ1:書面で冷静に回答する(内容証明郵便など)
相手から電話やメールで請求された場合でも、その場で即答するのは避けましょう。まずは「書面で回答しますので、少しお時間をください」と伝え、一度冷静になる時間を作ることが重要です。
書面で回答することには、
- 感情的な言い争いを避けられる
- こちらの主張を正確に伝え、記録に残せる
- 法的根拠に基づいた主張を整理できる
といったメリットがあります。回答書には、まず謝罪の気持ちを示した上で、「請求内容については、法的な妥当性を含めて検討中です」と伝え、減額を求める理由(前述の減額要素など)を簡潔に記載します。この回答書を、配達証明付きの内容証明郵便で送付すれば、相手にこちらの真摯な姿勢が伝わり、交渉のテーブルに着きやすくなります。
ステップ2:減額の根拠を示し、具体的な金額を提示する
交渉の場で、ただ「お金がないので支払えません」と繰り返すだけでは、相手の感情を逆撫でするだけです。大切なのは、「なぜその金額が妥当なのか」という客観的な根拠を示すことです。
「裁判例における慰謝料の相場は〇〇円程度であること」「私たちのケースでは、不貞期間が短いといった減額要素があること」などを具体的に主張し、こちらから支払可能な妥当な金額を提示します。ご依頼を受けた場合、証拠の状況を精査した上で依頼者の利益を最大限守るための交渉を行います。
ステップ3:合意内容は必ず「示談書」に残す
交渉がまとまり、支払う慰謝料の金額や支払方法が決まったら、その内容を必ず「示談書」という法的な書面にして残さなければなりません。口約束は「言った、言わない」のトラブルの原因となり、非常に危険です。
示談書には、以下の項目を必ず盛り込みましょう。
- 合意した慰謝料の金額、支払期日、支払方法
- 清算条項(これ以上の金銭請求はしないという約束)
- 接触禁止条項(今後、お互いに接触しないという約束)
特に重要なのが「清算条項」です。この一文があることで、将来再び同じ問題で追加の請求をされることを防ぐことができます。示談書は法的な効力を持つ非常に重要な書類ですので、内容に不備がないよう、弁護士に作成を依頼するのが最も安全で確実です。 
絶対にやってはいけない!事態を悪化させるNG行動ワースト3
突然慰謝料を請求され、パニックになると、ついやってしまいがちな行動があります。しかし、それがあなたの立場をさらに悪化させてしまうかもしれません。ここでは、絶対に避けるべきNG行動を3つご紹介します。
第1位:請求を無視・放置する
恐怖のあまり、届いた手紙を見なかったことにしたり、電話に出なかったり…。「無視」が最もやってはいけない行動です。無視を続けると、相手は「誠意がない」と激怒し、話し合いでの解決を諦め、すぐに裁判(訴訟)を起こしてくる可能性が非常に高くなります。
裁判になれば、時間も費用も余計にかかる上、最終的には裁判所からの支払命令が下され、給与や財産を差し押さえられるリスクさえあります。誠実に対応することが、結果的に傷を浅くする最善の道なのです。
第2位:感情的に反論・逆上する
「そっちの夫婦関係がもともと悪かったせいだ!」「美人局(つつもたせ)だろう!」などと感情的に反論したり、逆上したりするのは絶対にやめましょう。請求者も配偶者に裏切られ、深く傷ついています。その相手に攻撃的な態度をとれば、交渉は即座に決裂し、相手の憎しみを増幅させるだけです。
たとえあなたに言い分があったとしても、まずは冷静に相手の話を聞き、法的な根拠に基づいて話し合う姿勢が不可欠です。不誠実な態度は、裁判になった際に慰謝料の増額事由と判断されるおそれもあります。
第3位:その場で念書や示談書にサインしてしまう
相手に呼び出され、その場で「慰謝料〇〇万円を支払います」といった念書や、相手方が作成した示談書へのサインを求められることがあります。どんなに強い口調で迫られても、その場で安易にサインをしてはいけません。
一度書面に署名・押印してしまうと、たとえ法外な内容であっても、その約束を覆すことは極めて困難になります。「専門家に相談してからお返事します」と伝え、必ず書面を持ち帰りましょう。その一言を言う勇気が、あなたの未来を守ります。
弁護士への相談が解決への最短ルートである理由
ここまでご自身で対応する方法を解説してきましたが、正直なところ、法的な知識のない方が、感情的になった相手と対等に交渉するのは至難の業です。多くの場合、弁護士に依頼することが、心身の負担を減らし、最も良い結果を得るための最短ルートとなります。
精神的なストレスから解放される
弁護士にご依頼いただければ、その瞬間から弁護士があなたの「代理人」となり、相手方との交渉の窓口はすべて弁護士に一本化されます。あなたはもう、相手からの厳しい追及の電話やメールに怯える必要はありません。交渉の矢面に立つという計り知れない精神的ストレスから解放され、平穏な日常を取り戻すことができるのです。
私たち福岡フォワード法律事務所では、ご依頼者様に弁護士直通の連絡先をお伝えし、夜間や休日でも連携が取れる体制を整えています。いつでも頼れる法的な盾となり、あなたを全力でお守りします。
適正な金額まで慰謝料を減額できる可能性が高い
弁護士は、法律の専門家として、過去の裁判例や法的な根拠に基づき、冷静かつ論理的に交渉を進めます。感情論に流されることなく、あなたのケースにおける減額要素を的確に主張し、相手方の請求の弱点を突くことで、慰謝料を適正な金額まで減額できる可能性が格段に高まります。
【弁護士による解決事例】300万円の請求が40万円になったケース
ご依頼者様は、不貞相手の配偶者が依頼した弁護士から300万円という高額な慰謝料を請求され、どうすればよいかわからず当事務所にご相談に来られました。
私はすぐにご依頼者様の代理人として相手方と交渉を開始しました。交渉の過程で、①不貞関係が始まる前から相手方夫婦の関係は相当程度悪化していたこと、②ご依頼者様の不貞相手にも責任の半分があるため、将来その半分を請求する権利(求償権)を放棄することなどを粘り強く主張しました。
その結果、相手方もこちらの主張に理解を示し、最終的には300万円の請求を40万円まで大幅に減額する内容で和解を成立させることができました。ご依頼者様は精神的な苦痛から解放されただけでなく、経済的な負担も大きく軽減され、新たな一歩を踏み出すことができました。
※個別の事案により結果は大きく異なります。過去の事例はあくまで一例であり、同様の結果を保証するものではありません。
将来のトラブルを未然に防ぐことができる
当事者同士で示談書を作成した場合、法的に不備があり、後から「やはり納得できない」と追加の請求をされたり、約束を破られたりするトラブルが後を絶ちません。弁護士が関与すれば、清算条項や接触禁止条項など、将来のあらゆるリスクを想定した、法的に完璧な示談書を作成します。これにより、問題を完全に、そして未来永劫にわたって終結させ、将来の不安を断ち切ることができるのです。
もし少しでも不安を感じていらっしゃるなら、まずは無料相談で状況をお聞かせください。あなたにとって最善の解決策を一緒に考えます。
福岡フォワード法律事務所の弁護士費用
弁護士に相談したいと思っても、やはり気になるのは費用面だと思います。当事務所では、ご相談者様が安心してご依頼いただけるよう、明確でわかりやすい料金体系を採用しています。詳しくは弁護士費用のページもご覧ください。
初回相談は無料|まずはお気軽にご相談を
「こんなことを相談していいのだろうか」「依頼するか決めていないのに…」とためらう必要は一切ありません。当事務所では、初回のご相談は無料でお受けしています。まずは費用のご心配なく、現状をありのままお話しください。弁護士には守秘義務がありますので、ご相談内容が外部に漏れることは絶対にありません。相談したからといって、無理に依頼を勧めることもありませんので、ご安心ください。
慰謝料減額に注力した料金プラン
当事務所では、慰謝料を請求された方のために、経済的メリットが分かりやすい料金プランをご用意しています。着手金は抑え、報酬金は「実際に減額できた金額の19.8%」という形で設定しているため、弁護士費用を支払った結果、ご自身の持ち出しが増える「費用倒れ」のリスクを最小限に抑えることができます。まずは無料相談の際に、あなたのケースでの費用総額の見込みを丁寧にご説明いたします。
まとめ|一人で悩まず、未来へ踏み出すための一歩を
突然の不貞慰謝料請求は、本当に辛く、苦しい出来事です。しかし、正しい知識を持って、冷静に、そして毅然と対応すれば、必ず乗り越えることができます。
この記事でお伝えした重要なポイントは以下の通りです。
- まずは冷静に! 支払い義務があるか4つのポイントを確認する。
- 相場を知る! 相手の請求額が妥当か客観的に判断する。
- NG行動は避ける! 「無視」「感情的な反論」「その場でのサイン」は絶対にしない。
- 専門家を頼る! 弁護士への相談が、精神的・経済的負担を最も軽減する近道。
一人で悩み、眠れない夜を過ごすのは、もう終わりにしましょう。私たち福岡フォワード法律事務所は、その名の通り、あなたがこの困難を乗り越え、未来へ力強く「Forward(前進)」するため、全力で戦うパートナーです。
あなたの悩みは、私たちの悩みです。その重荷を、どうか私たちに分けてください。最初の一歩を踏み出す勇気を、私たちが全力でサポートします。
弁護士ドットコムにインタビューが掲載されました
先日、弁護士ドットコムに弁護士秀﨑のインタビュー記事が掲載されましたので、ご覧いただければ幸いです。
▼リンク先URL
https://www.bengo4.com/search/263821#interview
