大麻で逮捕されたら?弁護士が改正後の流れと対処法を解説

大麻で逮捕されたらどうなる?法改正で使用罪が新設

もし、あなたやあなたの大切なご家族が大麻で逮捕されてしまったら、まず何が起こるのでしょうか。逮捕という非日常的な事態に、頭が真っ白になり、これからどうなってしまうのかと強い不安に襲われているかもしれません。

特に、2024年12月12日に施行された「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」により、大麻等は「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬として規制され、不正な「使用」(施用)も犯罪となりました。これにより、大麻をめぐる状況は以前よりも格段に厳しくなったと言えます。

しかし、絶望する必要はありません。適切な対応を早期に知ることで、最悪の事態を回避できる可能性は十分にあります。一人で悩まず、まずはご自身の置かれた状況を正確に理解することから始めましょう。この記事では、薬物事件の弁護活動に注力する弁護士が、法改正後の流れと具体的な対処法を分かりやすく解説します。

2024年法改正の重要ポイント:「使用罪」の新設と罰則強化

今回の法改正で最も重要な点は、大麻の「使用罪」が新たに設けられたことです。これまで、「吸うだけなら捕まらない」という誤った認識が広まっていましたが、その考えはもう通用しません。法改正により、大麻等を不正に使用(施用)した場合、7年以下の拘禁刑という厳しい罰則が科される可能性があります。

なぜ「使用罪」が新設されたのでしょうか。これは、若者を中心に大麻の乱用が広がり、薬物依存やそれに伴う犯罪の増加が社会問題となっていることが背景にあります。つまり、今回の法改正は、社会全体で大麻の乱用を防ぎ、特に若者を薬物の危険から守るという強い意志の表れなのです。

この変更により、大麻に関する捜査はより一層厳しくなることが予想されます。これまで以上に、早期の対応が重要になったと言えるでしょう。

(参考:政府広報オンライン「大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介し …」

大麻が心身と社会に与える深刻な影響

法的なリスクはもちろんですが、大麻が薬物として心身に与える影響の深刻さも正しく理解する必要があります。「依存性がない」「体に害はない」といった情報は誤りです。特に、脳が発達段階にある若年層が使用した場合、認知機能の低下や精神疾患のリスクを高めることが科学的に指摘されています。

大麻が脳に与える短期的な影響(集中力低下、記憶障害)と長期的な影響(依存症、精神疾患リスク)を解説した図解。

具体的には、記憶力や学習能力、問題解決能力といった重要な脳の働きに長期的なダメージを与える可能性があります。また、大麻の使用をきっかけに、より危険な薬物へと手を出してしまうケースも少なくありません。

薬物依存は、個人の健康だけでなく、家族関係や仕事、社会生活全体を破壊しかねない深刻な問題です。法的な問題と健康の問題、両面から大麻との関係を断ち切ることの重要性を認識することが、再スタートへの第一歩となります。

(参考:厚生労働科学研究成果データベース「脳の機能的・解剖学的側面から見た大麻の有害性に関する …」

逮捕後の流れと期間|いつまで拘束されるのか

逮捕という突然の出来事に、「いつまでこの状況が続くのか」と先の見えない不安を感じていることでしょう。ここでは、逮捕されてから起訴・不起訴の判断が下されるまでの流れを時系列で解説します。この「地図」を理解することで、ご自身の現在地と、次に行うべきことが見えてくるはずです。もしご家族が逮捕されてしまった場合も、この流れを把握しておくことが重要です。

逮捕から送検まで(最大72時間):家族とも会えない孤独な時間

逮捕されると、まず警察署の留置施設に身柄を拘束され、取調べを受けることになります。逮捕から48時間以内に警察は事件を検察官に引き継ぎ(送検)、検察官は送検から24時間以内、つまり逮捕から合計72時間以内に、被疑者の身柄拘束を続ける「勾留」を裁判所に請求するかどうかを判断します。

この最初の最長72時間は、弁護士以外が面会できることは稀です。外部との連絡を絶たれた孤独な環境で、厳しい取調べに一人で立ち向かわなければならないのです。しかし、弁護士だけは、この期間でも自由に接見(面会)し、法的なアドバイスを送ることができます。

この72時間の対応が、その後の勾留を防ぎ、最終的な処分を左右する極めて重要な分岐点となります。不用意な発言が不利な証拠とならないよう、警察の取調べが本格化する前に、一刻も早く弁護士に相談することが不可欠です。

勾留決定と勾留延長(最大20日間):身柄拘束が長期化するリスク

検察官が「身柄を拘束し続けないと、証拠を隠したり、関係者と口裏を合わせたりする恐れがある」と判断した場合、裁判所に勾留を請求します。そして、裁判官がこれを認めると、原則として10日間の勾留が決定されます。

大麻事件では、共犯者や入手ルートに関する捜査が必要となるため、この「証拠隠滅や口裏合わせの懸念」を理由に勾留されやすい傾向にあります。さらに、捜査が終わらない場合は、さらに最大10日間の勾留延長が認められる可能性があります。つまり、逮捕から起訴されるまで、最大で23日間も社会から隔離されてしまうリスクがあるのです。

これだけ長期間にわたり身柄を拘束されれば、会社や学校を解雇・退学になったり、家族との関係が悪化したりと、日常生活に計り知れないダメージが及びます。弁護士は、勾留請求がなされた際に、勾留の必要性がないことを裁判官に訴える意見書を提出するなど、早期の身柄解放に向けた活動を迅速に行います。

起訴・不起訴の判断:前科がつくかどうかの最終分岐点

最大20日間の勾留期間が終わるまでに、検察官は被疑者を起訴するか、不起訴にするかを最終的に判断します。「起訴」されれば刑事裁判が開かれ、有罪となれば前科がつくことになります。一方、「不起訴」となれば、その時点で事件は終了し、前科がつくこともなく身柄は解放されます。

大麻事件の起訴率は近年4割台とされており(例:令和5年(2023年)の大麻取締法違反の起訴率は44.1%)、決して低くはありません。しかし、初犯であること、所持量がごく微量であること、深く反省し再犯の可能性が低いことなどが考慮されれば、「起訴猶予」という形で不起訴処分となる可能性も十分にあります。

弁護士は、検察官が判断を下す前に、ご本人やご家族が作成した謝罪文や反省文、薬物依存の治療を開始した証拠などを提出し、二度と罪を犯さないことを具体的に示します。こうした弁護活動が、不起訴処分を獲得し、あなたの未来を守ることに繋がるのです。

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大麻所持の故意を否認する場合の弁護活動と判例

「これは自分の大麻ではない」「大麻だとは知らなかった」――。このように、大麻を所持していたことの「故意」を否認するケースは少なくありません。しかし、安易な否認はかえって状況を悪化させる危険も伴います。ここでは、故意を争う場合の法的な考え方と、専門的な弁護活動について解説します。

「違法薬物との認識」が争点となる判例の考え方

故意を否認する上で、非常に重要な判例の考え方があります。それは、「所持していた物が『大麻』であると確定的に認識していなくても、『何らかの違法な薬物だろう』という程度の認識があれば、故意は認められる」というものです。

例えば、「友人から『気分が良くなるハーブだ』と渡された」というケースを考えてみましょう。この場合、「大麻」という名前は聞いていなくても、それが法に触れる類の物である可能性を認識していれば、裁判では「故意があった」と判断される可能性が高いのです。そのため、「大麻だとは知らなかった」という主張だけで無罪を勝ち取るのは、決して簡単ではありません。

(参考:衆議院「第201回国会 法務委員会 第12号」

【弁護士の実例】故意を争い不起訴を獲得したケース

先日、大麻所持の容疑で逮捕された方からご相談を受けました。その方は、一貫して「私の大麻ではない」と容疑を否認されていました。

しかし、先ほどご説明した判例の考え方からすると、取調べでの供述は極めて慎重に行わなければなりません。供述の仕方一つで、「違法薬物かもしれない」という認識があったと判断され、意図せずして「故意」を認めさせられてしまう危険があるからです。

私は、すぐに留置場へ駆けつけ、ご本人と何度も接見を重ねました。そして、取調べでどのように話すべきか、どのような供述が不利に働きうるのか、具体的なアドバイスを徹底して行いました。ご本人は、孤独な取調べ室で私の助言を胸に、慎重に供述を続けました。

その結果、検察官は「故意を認めるに足る十分な証拠がない」と判断し、最終的にその方は不起訴処分となり、無事に釈放されたのです。これは、早期に弁護士が介入し、適切な防御方針を立てたことが功を奏した事例と言えるでしょう。

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共同所持を否認する場合の注意点

友人や知人と一緒にいる時に大麻が発見され、「共同所持」の容疑をかけられるケースもあります。車の中にあった、部屋に置いてあったなど、状況は様々です。

警察の取調室で厳しい表情の刑事から取り調べを受ける、不安げな若い男性。

たとえ自分のものではなくても、「その場に大麻があることを認識し、それを利用できる状態にあった」と判断されると、共同所持が成立してしまう可能性があります。特に、安易に友人をかばうような供述をしたり、曖昧な返事をしたりすると、自分も罪を認めたと解釈されかねません。

共同所持を否認する場合は、その大麻が誰のもので、どのような経緯でその場にあったのか、客観的な事実関係を冷静に説明する必要があります。ここでも、取調べに一人で臨むのは非常に危険です。弁護士の助言のもと、慎重に対応することが重要です。

起訴された場合の刑罰と執行猶予の可能性

残念ながら起訴されてしまった場合、どのような刑罰が科されるのでしょうか。特に多くの方が気にされる「執行猶予」が付く可能性について解説します。大麻事件は被害者がいないため、示談による解決が難しい犯罪類型です。だからこそ、裁判での弁護活動がより重要になります。

初犯(単純所持)の場合の量刑相場

大麻事件で最も多い、営利目的のない単純所持で初犯のケースでは、事案によっては執行猶予が付く判決となる場合があります。

ただし、単に初犯だからといって自動的に執行猶予が付くわけではありません。裁判では、以下の点などが総合的に考慮されます。

  • 所持していた大麻の量が微量であること
  • 深く反省し、二度と大麻に手を出さないと誓っていること
  • ご家族など、監督してくれる環境が整っていること
  • 薬物依存の治療を開始するなど、再犯防止に向けた具体的な行動を起こしていること

弁護士は、これらの有利な事情を裁判官に説得的に主張し、執行猶予付きの寛大な判決を求めます。

再犯や営利目的で実刑となるケース

一方で、実刑判決となり刑務所に収監されるリスクが非常に高くなるケースもあります。それは、「再犯」「営利目的」の場合です。

執行猶予期間中に再び大麻で検挙された場合、執行猶予が取り消されて前回の刑が執行される可能性があり、さらに今回の事件でも実刑となれば別途刑が科される可能性があります。また、営利目的(販売目的など)で所持していたと判断されると、初犯であっても実刑判決となる可能性が格段に上がります。これは、大麻の乱用を社会に広める行為であり、極めて悪質だと考えられているためです。

軽い気持ちで再犯に及んだり、お金欲しさに営利目的で関わったりすることは、あなたの人生に回復困難なダメージを与えます。薬物との関係を完全に断ち切る強い意志が求められます。

弁護士に依頼するメリットとタイミング

ここまで読んでいただき、大麻事件において弁護士の役割がいかに重要か、お分かりいただけたかと思います。最後に、弁護士に依頼する具体的なメリットと、その最適なタイミングについてまとめます。特にご家族が逮捕された場合、外にいるご家族が弁護士を探し、依頼することが、ご本人の未来を救う鍵となります。

逮捕直後が勝負:早期の身柄解放と有利な処分を目指す

繰り返しになりますが、大麻事件は「逮捕直後の72時間」が勝負です。このゴールデンタイムに弁護士が介入することで、以下のような大きなメリットが生まれます。

  1. 勾留の阻止:早期に身柄が解放され、社会生活へのダメージを最小限に抑えられる可能性が高まります。
  2. 不利な供述の防止:取調べへの適切なアドバイスにより、意図せず自分に不利な供述調書が作成されるのを防ぎます。
  3. 不起訴処分の獲得:検察官に対し、起訴すべきでない理由を早期から働きかけ、前科がつく事態を回避できる可能性が高まります。

時間が経てば経つほど、打てる手は少なくなっていきます。迷っている時間はありません。とにかく一刻も早く、弁護士に相談することが重要です。

再犯防止へのサポート:薬物依存からの脱却

私たちの役割は、単に刑事手続きを有利に進めることだけではありません。ご依頼者様が薬物との関係を完全に断ち切り、人生を再スタートさせるためのサポートも、弁護士の重要な使命だと考えています。

法律事務所で依頼者の話に真摯に耳を傾ける弁護士。再犯防止へのサポートを象徴する。

具体的には、薬物依存の治療を専門とする医療機関や、同じ悩みを持つ人々と支え合う自助グループなど、更生を支援してくれる専門機関と連携し、ご本人に合った回復プログラムをご提案します。こうした再犯防止への具体的な取り組みは、裁判官に「本気で更生しようとしている」という姿勢を示すことにも繋がり、執行猶予などの有利な判決を得る上でも非常に有効です。

法的な解決の、さらにその先にある「社会復帰」までを見据えて、私たちはあなたに寄り添い続けます。

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