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相続で何をすべきか分からない…弁護士が示す最初の一歩
「大切な家族が亡くなった…悲しみに暮れる間もなく、相続という言葉が頭をよぎるけれど、一体何から手をつけていいのか全く分からない」
今、あなたはこのように、途方に暮れるようなお気持ちでいらっしゃるのではないでしょうか。役所からの書類、聞き慣れない法律用語、そして迫りくる期限。やらなければいけないことの多さに、圧倒されそうになるのも無理はありません。
特に、他の相続人との関係や、予期せぬトラブルの可能性を考えると、その不安はさらに大きなものになるでしょう。大切な方を亡くされたばかりの精神的なご負担の大きい中で、これらすべてを一人で抱え込む必要はありません。
この記事では、相続問題に直面し、不安を抱えているあなたのために、弁護士が相続手続きの全体像を分かりやすく、そして丁寧にご案内します。この記事を最後までお読みいただければ、相続発生から完了までの「やることリスト」と、それぞれのステップで注意すべき点が明確になります。そして、複雑な手続きや難しい交渉を、私たち専門家がどのようにサポートできるのかをご理解いただけるはずです。
まずは深呼吸して、少しずつ全体像を掴んでいきましょう。あなたの不安が、少しでも和らぐことを願っています。
【全体像】相続手続きのやることリストとタイムリミット
相続手続きは、まるで長い旅路のようです。どの道を通って、いつまでにどこに到着すればよいのか。まずは全体の地図を広げて、全行程を把握することから始めましょう。ここでは、相続が発生してから手続きが完了するまでの流れを、時系列に沿ったチェックリスト形式でご紹介します。特に「期限」は重要なポイントですので、しっかり確認してくださいね。

死亡後すぐ(7日〜14日以内)に行う手続き
ご家族が亡くなられた直後は、悲しみに加え、葬儀の準備などで慌ただしい日々が続きます。そんな中でも、期限が非常に短い手続きがいくつかあります。まずは、以下の手続きを優先して進めましょう。
- 死亡診断書(死体検案書)の受け取り:医師から受け取ります。この後の手続きで何度も必要になる重要な書類です。
- 死亡届の提出(7日以内):故人の本籍地、死亡地、または届出人の所在地の市区町村役場に提出します。これを提出しないと火葬ができません。
- 火葬許可申請書の提出:死亡届と同時に役所に提出し、火葬許可証を受け取ります。
- 年金受給停止手続き(厚生年金は10日以内/基礎年金は14日以内):故人が年金を受給していた場合、年金事務所または年金相談センターで手続きが必要です(※マイナンバーが日本年金機構に収録済みの場合は、年金受給権者死亡届(報告書)の提出が原則不要となることがあります)。
- 健康保険証の返却など:故人が加入していた健康保険の種類に応じて、資格喪失の手続きや保険証の返却を行います。
この段階は、主に役所での事務手続きが中心となります。非常に慌ただしい時期ですが、一つひとつ着実にこなしていくことが大切です。
少し落ち着いたら(3ヶ月以内)に行うべきこと
葬儀などが一段落し、少しだけ時間ができたこの時期は、相続の方向性を決定づける極めて重要なステップに進みます。特に「3ヶ月」という期限は、絶対に覚えておいてください。
- 遺言書の有無の確認:故人が遺言書を遺していないか探します。公正証書遺言以外の場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。遺言書の有無によって、この後の手続きが大きく変わります。
- 相続人の調査・確定:故人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本等を取り寄せ、誰が法的な相続人になるのかを正確に確定させます。ご自身が知らなかった相続人が見つかるケースも少なくありません。
- 相続財産の調査:預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産もすべて調査します。
- 相続放棄・限定承認の検討(3ヶ月以内):調査の結果、マイナスの財産が多い場合などは、家庭裁判所で相続放棄の手続きを検討します。この手続きは、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に行う必要があり、非常に重要な期限です。
戸籍謄本を全国の役所から集める作業は思いのほか手間がかかりますし、財産の全容を把握するのも簡単ではありません。この段階から、専門家である弁護士にご相談いただくことで、スムーズかつ正確に手続きを進めることが可能になります。
遺産分割に向けて(4ヶ月〜10ヶ月以内)のステップ
相続人と財産が確定したら、いよいよ相続手続きの核心部分へと進んでいきます。ここからは、相続人間での話し合いが中心となり、専門的な判断が求められる場面が増えてきます。
- 所得税の準確定申告(4ヶ月以内):故人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わって確定申告を行います。
- 遺産分割協議:相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するのかを話し合います。残念ながら、この協議がまとまらず、相続トラブルに発展するケースが最も多いのが実情です。
- 遺産分割協議書の作成:協議で合意した内容を、法的に有効な書面として作成します。この書類は、後の不動産の名義変更や預貯金の解約手続きで必須となります。
- 相続税の申告・納付(10ヶ月以内):相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、税務署に相続税の申告と納税が必要です。
もし遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所での調停や審判といった法的な手続きに進むことになります。弁護士は、あなたの代理人として他の相続人との交渉を行ったり、調停や審判であなたの正当な権利を主張したりと、この段階で最も力を発揮することができます。
各種名義変更など(期限はないが速やかに行うべきこと)
遺産分割協議がまとまり、誰がどの財産を受け継ぐかが決まったら、最後の仕上げとして各種の名義変更手続きを行います。これには法的な期限がないものも多いですが、放置すると後々トラブルの原因になりかねませんので、速やかに行いましょう。
- 不動産の相続登記:法務局で不動産の名義を故人から相続人へ変更します。相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則として「不動産を相続で取得したことを知った日」から3年以内に申請が必要となり、怠ると過料の対象となる可能性があります(施行日前に開始した相続で未登記の場合も、経過措置により一定の期限までに申請が必要です)。
- 預貯金の解約・名義変更:金融機関で手続きを行います。遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書などが必要です。
- 株式や投資信託の名義変更:証券会社で手続きを行います。
- 自動車の名義変更:運輸支局で手続きを行います。
- その他、ゴルフ会員権や電話加入権などの名義変更も必要に応じて行います。
これらの手続きは司法書士が専門とすることも多いですが、遺産分割の段階から弁護士にご依頼いただければ、提携する司法書士と連携し、ワンストップで対応することも可能です。
こんな時どうする?弁護士が解決する相続の3大お悩みケース
相続手続きの全体像が見えてきても、実際に自分の身に降りかかると、教科書通りには進まないことがほとんどです。ここでは、多くの方が直面する具体的なお悩みのケースを取り上げ、弁護士がどのように問題を解決に導くのかをご紹介します。
ケース1:他の相続人と話がまとまらない・揉めている
「長男だから多くもらうのが当然だ」「親の介護を一番頑張ったのは私なのに」…。お金が絡むと、これまで仲の良かった兄弟姉妹でも、感情的な対立が生まれてしまうことは少なくありません。
当事者同士で話し合うと、どうしても過去の不満などが噴出し、冷静な議論が難しくなりがちです。そんな時こそ、弁護士の出番です。
弁護士があなたの代理人として間に入ることで、感情的なぶつかり合いを避け、法律という客観的なルールに基づいた話し合いのテーブルを整えることができます。それぞれの主張を法的に整理し、相手方と粘り強く交渉することで、お互いが納得できる妥当な解決策を探ります。
過去には、なかなか遺産分割協議に応じてくれなかった相続人に対し、粘り強く説得や交渉を重ね、最終的には無事に協議をまとめることができた事例もございます。もし話し合いでの解決が難しい場合でも、家庭裁判所での調停や審判に移行し、最後まであなたの正当な権利を守るために寄り添い、戦います。第三者が入ることで、精神的なご負担を大幅に軽減できることも、大きなメリットと言えるでしょう。

ケース2:相続人が誰か分からない・行方不明の人がいる
遺産分割協議は、相続人全員の参加が絶対条件です。一人でも欠けていれば、協議を成立させることはできません。そのため、最初に行う「相続人調査」は、手続きの土台となる非常に重要な作業です。
この調査では、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を収集する必要があります。これらを読み解くことで、例えば「前妻との間に子がいた」「認知している子がいた」など、ご家族も知らなかった相続人が判明することがあります。
弁護士にご依頼いただければ、この煩雑な戸籍収集を「職務上請求」という権限で行うことができ、ご自身で集めるよりもスムーズに進めることが可能です。
さらに、相続手続きが困難を極めるのは、相続人が判明してもその方と連絡が取れないケースです。
私が過去に取り扱った事案では、相続人の一人が海外に居住しており、かつ住所が不明という非常に難しい状況がありました。この時は、大使館に照会をかけるという手段を用いて住所を突き止め、無事に連絡を取ることができました。また、別の事案では、相続人の一人が長年行方不明で、出生の時期から考えるとおそらく亡くなっていると思われるものの、遺族が死亡届を出していないため、戸籍上は生存したままとなっており、遺産分割協議ができない状態でしたが、「失踪宣告」という法的な申立てを行い、その方を法律上死亡したものとみなすことで、残りの相続人で遺産分割協議を成立させた経験もございます。
このように、一般の方では対応が難しい特殊なケースでも、弁護士は法律的な知識と経験を駆使して、解決への道筋を見つけ出します。
ケース3:故人の銀行口座が凍結されてしまった
金融機関は、口座名義人が亡くなった事実を知ると、その口座を「凍結」します。これは、相続人が確定する前に、一部の相続人が勝手にお金を引き出してしまうといったトラブルを防ぐための措置です。
しかし、これにより葬儀費用や当面の生活費の支払いに困ってしまうケースも少なくありません。凍結を解除し、預貯金を引き出すためには、原則として「遺産分割協議書」と「相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書」などを金融機関に提出する必要があります。相続人が多かったり、遠方に住んでいたりすると、これらの書類をすべて揃えるのは大変な手間と時間がかかります。
弁護士にご依頼いただければ、相続人調査から遺産分割協議書の作成、そして各金融機関とのやり取りまで、一連の手続きをすべて代行することが可能です。いわば「ワンストップサービス」で、あなたの負担を大きく減らすことができます。

また、遺産分割協議が成立する前でも、当面の資金が必要な場合には、他の相続人の同意がなくても一定額まで預貯金を引き出せる「預貯金の仮払い制度」というものがあります。こうした制度の活用も含め、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案します。
参照:法務省|相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について
相続手続きを弁護士に依頼する費用と相談の準備
「弁護士に相談してみたいけど、費用がいくらかかるか心配…」そう思われる方も多いでしょう。ここでは、弁護士に依頼する際の費用や、相談をよりスムーズに進めるための準備についてご説明します。
弁護士費用の内訳と相場は?
弁護士費用は、ご依頼いただく内容によって異なりますが、一般的に以下のような内訳になっています。
- 相談料:法律相談の際に発生する費用です。当事務所では初回相談は無料でお受けしています。
- 着手金:ご依頼いただく際に、最初にお支払いいただく費用です。結果にかかわらず、返金されないのが一般的です。
- 報酬金:事件が解決した際に、その成功の度合いに応じてお支払いいただく費用です。「得られた経済的利益の〇%」といった形で計算されることが多いです。
- 実費:戸籍謄本の取得費用、裁判所に納める印紙代、郵便料金、交通費など、手続きを進める上で実際にかかった費用のことです。
例えば、遺産分割協議の代理交渉を依頼する場合、着手金として数十万円、報酬金として確保できた遺産額(経済的利益)の十数%程度が目安となることが多いです。ただし、これはあくまで一般的な例であり、事案の複雑さによって費用は変動します。
当事務所では、ご依頼いただく前に必ずお見積もりを提示し、費用について丁寧にご説明いたしますので、ご安心ください。詳しくは相続などの弁護士費用(福岡フォワード法律事務所)のページもご覧ください。
弁護士と司法書士、どちらに相談すべき?
相続手続きの専門家として、弁護士の他に司法書士もいます。どちらに相談すればよいか迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
両者の最も大きな違いは、「争いごと(紛争)を扱えるかどうか」です。
- 司法書士:主に不動産の相続登記など、書類作成や申請手続きの専門家です。相続人間で揉め事がなく、合意が円満にできている場合の手続き代行を得意とします。
- 弁護士:交渉、調停、訴訟などの紛争解決手続きにおいて、あなたの代理人として活動できます(※司法書士にも、簡易裁判所での一定の訴訟など、対応できる手続きがあります)。
したがって、「すでに他の相続人と揉めている」あるいは「揉める可能性が高い」という状況であれば、迷わず弁護士にご相談ください。最初から弁護士に依頼しておけば、万が一交渉が決裂して調停や裁判になった場合でも、スムーズに移行することができます。
初回相談の前に準備しておくと良いものリスト
弁護士への相談は、手ぶらでお越しいただいても全く問題ありません。しかし、もし可能であれば、以下の様な資料をご準備いただくと、より具体的で的確なアドバイスが可能になります。
- 故人の情報がわかるもの:戸籍謄本、住民票の除票など
- 相続財産に関する資料:
- 不動産:登記簿謄本(全部事項証明書)、固定資産税納税通知書
- 預貯金:通帳や残高証明書
- その他:株式の取引報告書、生命保険証券、借金の契約書など
- 相続人関係がわかるメモ:簡単な家系図のようなものを手書きで作成いただくだけで十分です。
- 遺言書:もし見つかっていれば、その現物またはコピー
もちろん、これらの資料がすべて揃っていなくても大丈夫です。「何から集めればいいかすら分からない」という段階から、私たちが丁寧にサポートしますので、ご安心ください。
まとめ|複雑な相続手続きは、一人で悩まず弁護士へご相談ください
ここまで、相続手続きの全体の流れと、弁護士がどのようにお手伝いできるかについて解説してきました。
相続手続きは、単に事務的な作業が多いだけでなく、多くの手続きに期限が設けられています。そして何より、大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、他の相続人と財産について話し合わなければならないという、精神的なご負担が非常に大きいものです。
その複雑な道のりを、どうか一人で歩もうとしないでください。私たち弁護士は、法律の専門家として、あなたの正当な権利を守ることはもちろん、あなたの代理人として交渉の矢面に立ち、精神的な負担を肩代わりするパートナーでもあります。
「何から話せばいいか分からない」という状態でも構いません。あなたの不安な気持ちを、まずはお聞かせください。そこから解決への道は始まります。福岡フォワード法律事務所は、あなたが困難を乗り越え、未来へ向かって新たな一歩を踏み出すことを、全力でサポートいたします。
