ストーカー規制法を弁護士が解説|被害の対処法と相談基準

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ストーカー被害に悩んでいませんか?弁護士が解決した事例

「もう、これ以上一人で対応するのは限界だ…」
元交際相手からの執拗な連絡や理不尽な要求に、心身ともに疲れ果てていませんか。

当職が実際に解決したケースをご紹介します。ある男性は、交際相手に別れを告げたものの、相手が全く納得せず、日に何十回もの電話やLINEに悩まされていました。婚約の事実はないにもかかわらず、「婚約破棄だ、慰謝料を支払え」「今までのデート代やプレゼントを返せ」「職場に連絡する」といった不当な要求まで受けていたのです。

精神的に追い詰められた相談者は、ご自身での対応は不可能と判断し、当事務所にご依頼されました。
私は依頼を受け、直ちに代理人として相手方に連絡を取り、以下の点を冷静かつ丁寧に、毅然と伝えました。

  • 本日以降、相談者には絶対に連絡しないこと
  • 今後の窓口は弁護士になること
  • 交際の解消を了承してほしいこと
  • ストーカー行為は犯罪になり得ること
  • 法的に金銭の支払い義務は一切発生しないこと

すると、あれほど感情的だった相手方は私の話に耳を傾け、冷静さを取り戻し、「わかりました。諦めます」と、関係の清算に応じてくれたのです。

男女間のトラブルは、法律だけでは割り切れない感情的な対立が絡み合い、当事者同士では解決が困難になりがちです。しかし、法律の専門家である弁護士が第三者として介入することで、相手も冷静になり、関係をきっぱりと解消できる可能性があります。もしあなたが同じような苦しみを抱えているなら、決して一人で抱え込まないでください。

ストーカー行為等規制法の全体像を弁護士が解説

ストーカー被害からあなたを守るための強力な法律、それが「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、通称「ストーカー規制法」です。この法律は複雑に思えるかもしれませんが、その構造は「段階的」に理解すると、全体像を掴みやすくなります。

この法律は、まず加害者の特定の嫌がらせ行為を「つきまとい等」と定義します。そして、この「つきまとい等」が反復して行われると、より悪質な「ストーカー行為」として、重い処罰の対象となります。

これに対応して、警察の措置も段階的に強化されます。最初は口頭での「警告」、それでも止まなければ法的な拘束力を持つ「禁止命令」、そして最終的には「逮捕・刑事罰」へと進んでいきます。

このように、法律と警察の対応は、被害の深刻度に応じてステップアップしていく仕組みになっています。まずはこの全体像を理解し、ご自身の状況がどの段階にあるのかを客観的に把握することが、解決への第一歩となります。
男女間のトラブル全般については、男女トラブルの解決に関するページでも体系的に解説しています。

法律の目的:あなたの安全と平穏な生活を守るために

ストーカー規制法の第一の目的は、何よりも「被害者の保護」です。条文には「個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資する」と明記されています。これは、単に迷惑行為を取り締まるだけでなく、あなたの心と身体の安全、そして穏やかな日常を守ることを最優先に考えているという、法律からの力強いメッセージです。

この法律は、過去の痛ましい事件を教訓に、被害者を守るために作られました。決してあなたを孤独にはさせません。この法律は、あなたの確かな味方なのです。

規制される2つの行為:「つきまとい等」と「ストーカー行為」

ストーカー規制法を理解する上で最も重要なのが、「つきまとい等」と「ストーカー行為」という2つのキーワードの違いです。

  • つきまとい等:法律で具体的に定められた8つの類型の嫌がらせ行為に加え、位置情報無承諾取得等(GPS機器等を用いた位置情報の取得)やGPS機器を取り付ける行為等を指します。これらの行為は、たとえ1回だけであっても「つきまとい等」に該当する可能性があります。
  • ストーカー行為:上記の「つきまとい等」を、特定の相手に対して「反復して」行うことを指します。この「反復」が認定されることで、単なる嫌がらせから「ストーカー行為」という犯罪にエスカレートします。

この区別を理解することで、ご自身の受けている被害が法的にどの段階にあるのかを判断する、一つの基準とすることができます。

ストーカー規制法の全体像を図解。つきまとい等からストーカー行為へエスカレートし、警察の警告、禁止命令、逮捕・刑事罰へと法的措置が強化される流れを示している。

【一覧】ストーカー規制法で禁止される具体的行為

では、具体的にどのような行為が「つきまとい等」として法律で禁止されているのでしょうか。ご自身の受けている被害がこれらに当てはまるか、確認してみてください。近年では、ネットやGPSを利用した手口も規制対象となっています。

身体的なつきまとい・監視に関する行為(1号〜4号)

これらは、被害者の行動の自由を直接的に脅かし、「常に見られている」という恐怖を与える行為です。

  • つきまとい・待ち伏せ・押しかけ(1号):通勤ルートで待ち伏せする、自宅や職場の前でうろつく、行く先々に現れるといった行為が該当します。
  • 監視していると告げる行為(2号):「今日の服装は〇〇だったね」「今、〇〇にいるでしょ?」などと連絡し、相手の行動を監視していることを気づかせる行為です。
  • 面会・交際の要求(3号):断っているにもかかわらず、面会や復縁、交際などを執拗に要求する行為です。
  • 著しく粗野・乱暴な言動(4号):自宅の前で大声を出したり、車のクラクションを鳴らし続けたりするなど、乱暴な言動で不安を煽る行為を指します。

非接触型の嫌がらせに関する行為(5号〜8号)

物理的な接触がなくても、精神的に被害者を追い詰める陰湿な行為も明確に禁止されています。

  • 無言電話、連続した連絡(5号):電話をかけてきて何も言わずに切る、拒否しているのに何度も電話やメール、SNSのメッセージを送りつける行為です。ブロックしても別のアカウントで連絡してくるケースも含まれます。
  • 汚物などの送付(6号):汚物や動物の死体など、不快感や嫌悪感を与えるものを自宅や職場に送りつける行為です。
  • 名誉を害する行為(7号):SNSやインターネットの掲示板で誹謗中傷したり、事実無根の悪評を職場に伝えたりするなど、社会的評価を貶める行為です。
  • 性的羞恥心を害する行為(8号):わいせつな写真や文章を送りつけたり、電話で卑猥な言葉を告げたりする行為が該当します。

【法改正】GPS等による位置情報の無承諾取得

2021年の法改正により、以下の行為も新たに規制対象となりました。これは現代的なストーカー手口に対応したもので、物理的な接触がなくても、常に行動を把握される恐怖から被害者を守るための重要な改正です。

  • GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得:相手の承諾なく、その所持するスマートフォンや自動車にGPS機器を取り付け、位置情報を取得する行為。
  • 承諾なくGPS機器等を取り付ける行為:位置情報を取得する目的で、相手の持ち物にGPS機器などを取り付ける行為そのものも禁止されています。

参照:警察庁「ストーカー事案の概況」

ストーカー行為への対抗措置と罰則

「つきまとい等」が続いた場合、法律は被害者を守るために段階的な対抗措置を用意しています。事態の深刻度に応じて、措置も強力になっていきます。

第1段階:警察による「警告」

被害者の申し出に基づき、警察が加害者に対して「つきまとい等をこれ以上続けてはならない」と口頭または書面で注意する行政上の措置です。これ自体に法的な強制力はありませんが、警察が事案を公式に認知したという記録が残り、加害者への心理的なプレッシャーとなります。また、後に述べる「禁止命令」を出すための前提となる重要なステップです。

第2段階:公安委員会による「禁止命令」

警察からの「警告」に従わず、さらに「つきまとい等」を繰り返すおそれがある場合に、都道府県の公安委員会が発令する、より強力な行政処分です。この命令には法的拘束力があり、違反した場合はそれ自体が刑事罰の対象となります。「つきまとい等の禁止」や「連絡の禁止」などが命じられ、有効期間は原則1年ですが、延長も可能です。この命令が出されることで、被害者の安全は大きく前進します。

最終段階:逮捕と刑事罰(拘禁刑・罰金)

「ストーカー行為」そのものや、「禁止命令」への違反は犯罪として処罰の対象となります。決して軽い罪ではありません。これらは刑事事件として扱われ、加害者は厳しい法的制裁を受けることになります。

行為罰則
ストーカー行為をした者1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
禁止命令等に違反してストーカー行為をした者2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金
禁止命令等に違反した者(ストーカー行為に至らない場合)6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
ストーカー行為等に関する罰則

参照:ストーカー行為等の規制等に関する法律

弁護士への依頼を検討すべき判断基準とは?

「警察には相談したけれど…」「この恐怖はいつまで続くのだろう…」そんな不安を抱えているなら、弁護士への相談を具体的に検討すべきタイミングかもしれません。以下のような状況に一つでも当てはまる場合は、専門家である弁護士の力が大きな助けとなります。

ストーカー被害について弁護士に相談する女性。専門家である弁護士が親身に話を聞き、法的な解決策を提示している。

警察に相談しても状況が改善しない

警察に相談し、加害者に「警告」が出されたにもかかわらず、嫌がらせが止まらない。あるいは、警察の目をかいくぐるように手口がより巧妙化・陰湿化した。このような場合、強制力のない警告だけでは限界があります。弁護士が介入し、「禁止命令」の申し立てや刑事告訴といった、より強力な法的措置を迅速に進めることで、膠着状態を打破できる可能性があります。

身の危険や恐怖を強く感じている

加害者の言動がエスカレートし、「殺すぞ」といった直接的な脅迫を受けたり、自宅への侵入を試みられたりするなど、身体に危害が及ぶかもしれないという強い恐怖を感じている場合、事態は極めて深刻です。これは緊急性が非常に高いサインであり、直ちに弁護士に相談すべきです。弁護士は、あなたの安全確保を最優先に考え、裁判所への接近禁止の仮処分申し立てなど、迅速な法的防衛手段を講じることができます。

加害者との直接のやり取りを避けたい

加害者とこれ以上、一切関わりたくない。顔も見たくないし、声も聞きたくない。精神的な負担が限界に達しているなら、弁護士に依頼する大きなメリットがあります。弁護士はあなたの「代理人」として、加害者との全ての交渉や連絡の窓口となります。以後の連絡窓口を弁護士に一本化するよう求めることで、本人への直接連絡が減ることが期待できます。法的な盾の後ろで、あなたは精神的な平穏を取り戻すことに専念できるのです。「もう一人で戦わなくていい」という安心感は、何物にも代えがたいものです。

慰謝料請求など民事的な解決も視野に入れている

ストーカー被害によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料、恐怖からやむなく引っ越した費用、心療内科への通院費など、金銭的な賠償を求めたいと考えている場合、その交渉や法的手続きは弁護士の専門領域です。警察は犯罪の捜査や取り締まりを行う機関であり、個人の損害賠償問題には介入しません。刑事的な追及だけでなく、民事訴訟を通じて加害者の法的責任を問い、金銭的な救済も得たいと考えるなら、弁護士への依頼は不可欠です。適切な慰謝料請求を行うためには、専門的な知識が求められます。

ストーカー被害で弁護士ができること

弁護士に依頼すると、具体的にどのようなサポートを受けられるのでしょうか。それは単なる法律相談に留まらず、あなたの安全と平穏な日常を取り戻すための、包括的な支援活動です。

被害者に代わる交渉窓口(代理人活動)

弁護士が介入する最初のステップとして、加害者に対し「受任通知」という書面を送付します。これは「被害者の代理人に弁護士が就任しました。今後の連絡はすべて弁護士を通して下さい。本人への直接の連絡は固く禁じます」という内容の通知です。通常、内容証明郵便で送付することで、相手方に対して正式に意思を伝え、以後の連絡窓口を弁護士に一本化するよう求めることができます。この一通の書面が、鳴り止まなかった電話やメッセージを法的に遮断する、強力な防波堤となるのです。

警察への被害申告・告訴状の作成と提出

「警察にうまく説明できるか不安…」という方もご安心ください。被害状況や集めた証拠を法的な観点から整理し、的確に警察へ伝えることで、警察も事態の深刻さを理解し、迅速な対応が期待できます。また、加害者に刑事罰を求める意思が固い場合には、単なる被害届ではなく、被害状況や証拠を整理した上で、必要に応じて「告訴状」を作成・提出し、刑事事件としての対応を求めます。これにより、刑事事件化を強力に後押しすることが可能です。

禁止命令の申立て・接近禁止の仮処分

あなたの安全を法的に確保するため、専門的な手続きを代行します。ストーカー規制法に基づく「禁止命令」を公安委員会に申し立てる手続きはもちろん、事態が切迫している場合には、裁判所に対して民事の「接近禁止の仮処分」を申し立てるという、より迅速な手段を講じることも可能です。これらの手続きは複雑ですが、弁護士に任せることで、あなたは安心して生活の再建に集中できます。

慰謝料請求など民事訴訟の対応

ストーカー行為は、あなたの心を深く傷つける不法行為です。その精神的苦痛に対しては、慰謝料を請求する正当な権利があります。また、仕事を休まざるを得なかった場合の休業損害、治療費、調査費用、引っ越し費用なども損害として認められる可能性があります。弁護士は、証拠に基づいて適切な損害額を算定し、加害者との交渉や民事訴訟を通じて、被害の金銭的な回復を目指します。これは、あなたの受けた苦しみを法的に認めさせ、債権回収まで責任を持って遂行するということです。

被害を証明するために。今すぐできる証拠の集め方

警察や弁護士に相談する際、客観的な証拠は何よりも強力な武器となります。「証拠がないから…」と諦める必要はありません。今この瞬間からでも、ご自身の身を守るためにできることがあります。

ストーカー被害の証拠として保存されたスマートフォンのメッセージ履歴と、手書きの記録メモ。被害を証明するための重要な証拠収集のイメージ。

メール・SNS・着信履歴の保存

加害者からのメール、LINE、X(旧Twitter)のDMなどは、決して削除せず、すべてスクリーンショットで保存してください。その際、相手のアカウント名(ID)、メッセージの内容、送受信した日時が必ず一枚の画像に収まるように撮影するのがポイントです。メッセージの内容だけでなく、その頻度や深夜・早朝といった時間帯も、嫌がらせの執拗さを示す重要な証拠となります。

つきまとい等の日時・場所・内容の記録

手帳やスマートフォンのメモアプリで構いませんので、日記形式で記録をつけましょう。重要なのは「いつ、どこで、誰に、何をされたか」を客観的な事実として記録することです。例えば、「〇月〇日午後〇時〇分、自宅マンションのエントランスで待ち伏せされた」「〇月〇日、会社からの帰り道、〇〇交差点で後をつけられた」というように、できるだけ具体的に記載します。感情的な記述よりも、淡々とした事実の積み重ねが、被害の継続性を証明する上で極めて有効です。

写真・動画・音声の録音

身の安全を最優先した上で、もし可能であれば、証拠を形に残しましょう。待ち伏せされている様子、自宅のドアノブにかけられた不審な物などを、スマートフォンのカメラで撮影・録画します。脅迫的な電話は、通話録音アプリなどで音声を記録してください。これらの視覚・聴覚に訴える証拠は、被害の悪質性を伝える上で非常に高い説得力を持ちます。ただし、決して相手を挑発したり、危険を冒してまで撮影したりしないでください。

第三者の目撃証言

もし、つきまとい行為などを家族や友人、同僚、マンションの管理人などが見ていた場合、その証言は極めて価値のある証拠となります。可能であれば、いつ、どこで、何を見たのかを具体的に書面に残してもらうようお願いしてみましょう。あなた以外の第三者の客観的な視点が加わることで、被害の信憑性は格段に高まります。一人で抱え込まず、信頼できる人に状況を話しておくことは、証拠確保の観点からも非常に重要なのです。

まとめ|一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください

ストーカー被害の渦中にいるとき、出口の見えない暗闇にいるような恐怖と孤独を感じてしまうのは当然のことです。しかし、あなたは決して一人ではありません。

この記事で解説したように、あなたを守るための「ストーカー規制法」という強力な法律があり、警察や弁護士という頼れる専門家がいます。特に弁護士は、あなたの代理人として前面に立ち、加害者との接触を完全に断ち切る「盾」となり、法的な手続きを駆使してあなたの安全と権利を守る「武器」となることができます。

恐怖から一歩を踏み出すことは、大変な勇気が必要です。しかし、その一歩が、あなたの平穏な日常を取り戻すための最も確実な道筋です。福岡フォワード法律事務所は、ご依頼者様が人生の困難を乗り越え、前に進むことを全力でサポートするという理念を掲げています。あなたの悩みを、私たち自身の悩みとして受け止め、情熱とスピード感をもって解決に導きます。

もう一人で悩み、苦しむ必要はありません。まずは、あなたの状況をお聞かせください。そこから、未来を切り拓く道が始まります。

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