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SNS型投資詐欺に遭ったあなたへ、まずお伝えしたいこと
「もしかして、これは詐欺かもしれない…」
SNSの広告や、著名人をかたる人物からの誘いで始めた投資。最初は順調に利益が出ていたのに、いざ出金しようとすると応じてもらえない。あるいは、突然相手と連絡が取れなくなった…。今、この記事を読んでいるあなたは、そんな強い不安や焦りを感じているかもしれません。
私が投資詐欺の被害相談を受ける中で、特に強く感じるのは、「詐欺だと気付いた時点では、すでに相手との連絡が取れなくなっている」というケースが少なくないことです。
しかし、実際には、相手との連絡が続いている段階や、送金した直後であれば、金融機関への連絡、警察への相談、送金先口座の確認など、まだ取ることのできる対応があります。
「本当に詐欺なのか確信が持てない」「もう少し様子を見たい」と考えてしまうお気持ちは痛いほど理解できます。ですが、ことSNS型投資詐欺については、確信を持つまで待つことが必ずしも被害回復につながるわけではありません。
私は、投資詐欺の相談を受けた際には、返金の可能性を検討するより先に、まず「最後に送金したのはいつか」「どこへ送金したのか」「現在、相手と連絡が取れるのか」を確認するようにしています。
被害発覚直後は、返金方法を考えるより先に、被害をこれ以上拡大させないことと、残っている資金を少しでも保全するための対応を急ぐことが何よりも重要だからです。
どうか、一人で抱え込まないでください。この記事では、被害に遭った直後にあなたが取るべき具体的な行動を、福岡市で多くの刑事事件の弁護に携わってきた福岡フォワード法律事務所の代表弁護士秀﨑が丁寧に解説します。順を追って解説していきます。
送金直後に取るべき3つの初動対応
詐欺の可能性に気づいたら、まずは落ち着いて初動対応を進めることが重要です。犯人が資金を移動・出金する前であれば、口座凍結などの対応を取れる可能性があります。以下の3つの行動を速やかに検討してください。

ステップ1:これ以上の送金を絶対に止める
詐欺師は、あなたがお金を取り戻したいという心理につけ込み、さらなる送金を要求してきます。その手口は巧妙です。
- 「出金するためには、手数料として〇〇万円が必要です」
- 「利益が出ているので、税金の支払いが先に必要です」
- 「システムエラーを解除するための保証金を振り込んでください」
これらはすべて、真っ赤な嘘です。一度でも応じてしまうと、そのお金についても回収が難しくなる可能性があります。犯人からの甘い言葉や脅しに惑わされず、これ以上の送金は絶対にしないでください。これは、被害の拡大を防ぐための最も重要で、最初の一歩です。
もし、不当な請求にどう対応していいか分からなくなってしまったら、すぐに連絡を絶ち、次のステップに進みましょう。
ステップ2:金融機関と警察に連絡し、口座凍結を要請する
次に、送金してしまったお金を守るため、関係各所に連絡し、犯人の口座を凍結する手続きを取ります。連絡すべきは以下の3か所です。
- 振込先の金融機関(相手の銀行)
- ご自身が利用した金融機関(あなたの銀行)
- 警察相談専用電話「#9110」
まず、最も重要なのは振込先の金融機関への連絡です。振込明細書を手元に用意し、「SNSの投資詐欺に遭ったので、振り込め詐欺救済法にもとづいて口座の凍結をお願いします」と明確に伝えてください。銀行によっては、24時間対応の窓口を設けている場合もあります。一刻も早く電話しましょう。
次に、ご自身が利用した銀行にも同様の連絡を入れます。事情を説明し、何か対応できることがないか相談してください。
そして、警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署にも速やかに相談し、必要に応じて被害届の提出について確認してください。警察に相談し、事件として扱ってもらうことで、金融機関が口座凍結の手続きをスムーズに進めやすくなるという側面もあります。相談した警察署名と担当者名を控えておき、金融機関から尋ねられた際に伝えられるようにしておきましょう。
ステップ3:すべてのやり取りを証拠として保存する
今後の返金請求や警察の捜査において、証拠は重要な資料となります。犯人にブロックされて情報が消えてしまう前に、気づいた時点ですぐに以下の情報を保存してください。
- 相手とのやり取りの全記録
SNSのダイレクトメッセージ、LINEやその他のチャットアプリのトーク履歴など、最初から最後までのすべてのやり取りをスクリーンショットで保存します。特に、相手から送金を指示された箇所は重要です。 - 相手のアカウント情報
アカウント名、ID、プロフィールページのURL、アイコン画像など、相手を特定できる情報はすべてスクリーンショットに残しておきましょう。 - 送金の記録
銀行の振込明細やインターネットバンキングの取引履歴、暗号資産を送金した場合は取引ID(TxID)がわかる画面などを保存します。 - 詐欺サイトや広告
きっかけとなったSNS広告、誘導された投資プラットフォームのサイト画面、グループ名なども、URLと共にスクリーンショットで記録してください。
これらの証拠は、多ければ多いほど有利になります。少しでも関係があるかもしれないと思ったら、ためらわずに保存する癖をつけましょう。
被害金を取り戻すための2つの法的ルートと現実的な限界
初動対応を終えた後、次はいよいよ被害金を具体的に取り戻すための手続きを検討します。しかし、ここからは専門的な知識が必要となり、また、残念ながら必ず全額が戻ってくるわけではない、という厳しい現実も直視しなければなりません。特に、銀行振込と暗号資産での送金では、その後の展開が大きく異なります。このテーマの全体像については、債権回収で体系的に解説しています。

ルート1:口座凍結と「被害回復分配金」による返金
ステップ2で要請した口座凍結が成功し、その口座にお金が残っていた場合、「振り込め詐欺救済法」という法律にもとづいて、被害者に資金が分配される可能性があります。
大まかな流れは以下の通りです。
- 金融機関が口座を凍結する。
- 預金保険機構がホームページで、被害回復分配金の申請手続きが始まったことを知らせる公告を行う。
- 被害者は、公告期間内に金融機関に対して申請手続きを行う。
- 口座に残っていた残高から、被害額に応じてお金が分配される。
この制度の最大のメリットは、詐欺の犯人が誰か特定できなくても、振込先口座に一定の残高があり、所定の申請手続きを行えば返金を受けられる可能性がある点です。だからこそ、犯人がお金を引き出す前の迅速な口座凍結が非常に重要になるのです。
ただし、デメリットもあります。口座の残高がゼロ、あるいはごくわずかしか残っていなければ、返金は期待できません。また、他にも多くの被害者がいる場合は、残高を被害額に応じて按分(あんぶん)するため、被害額の一部しか戻ってこないケースがほとんどです。被害回復分配金の支払を受けるまでには、少なくとも半年以上かかるのが一般的です。
参照:預金保険機構の公告ページ
ルート2:犯人側への損害賠償請求による返金
被害回復分配金だけでは被害額に満たない場合や、口座に残高がなかった場合には、詐欺の犯人や関係者に対して、民事上の損害賠償請求を行うという方法があります。
請求の相手方として考えられるのは、詐欺の実行犯はもちろんですが、振込先の口座を提供した名義人も含まれます。自分の口座が犯罪に使われることを安易に許したとして、共同不法行為者としての責任を追及できる可能性があるからです。安易な口座売買は、それ自体が犯罪なのです。
弁護士に依頼すれば、「弁護士会照会」という制度を使い、金融機関に対して口座名義人の氏名や住所といった情報を開示するよう求めることができます。これにより、請求相手を特定できる可能性があり、判明した情報をもとに、内容証明郵便の送付や訴訟(裁判)といった法的手続きを検討していくことになります。
ただし、この方法にも限界があります。相手を特定できたとしても、その人物に支払い能力(資力)がなければ、たとえ裁判で勝訴したとしても、現実にお金を回収することは困難です。
【要注意】暗号資産での送金は返金が極めて困難な理由
近年、SNS型投資詐欺では、銀行振込ではなく暗号資産(仮想通貨)での送金を指示されるケースが急増しています。もし、あなたが暗号資産で送金してしまった場合、残念ながら被害金の回収は極めて困難と言わざるを得ません。その理由は、主に以下の3つです。
- 相手の特定が不可能に近い(匿名性)
暗号資産の送金先は、英数字の羅列である「ウォレットアドレス」として表示されます。銀行口座のように画面上で名義人を確認できるとは限らず、送金先が海外取引所や個人ウォレットを経由する場合、持ち主の特定は難しくなることがあります。 - 国境を越えて資金が移動してしまう(追跡困難)
送金された暗号資産が海外の取引所や個人のウォレットに移転されると、日本国内だけの手続きでは追跡や保全が難しくなる場合があります。 - 法的な強制執行が及ばない(制度の未整備)
仮に相手を特定できたとしても、暗号資産がすでに移転されている場合や、秘密鍵・保管先を把握できない場合には、差押えや換価の実効性に限界があります。そのため、強制的な回収は難しいケースがあります。
ブロックチェーン技術によって取引の履歴自体は追跡できますが、「誰が」その取引を行ったのかが分からない以上、返金を求める相手が誰なのかを突き止めることができないのです。この点が、暗号資産による被害回復を難しくする大きな要因です。
弁護士への相談を考える|費用と依頼するメリット
「自分一人で手続きを進めるのは不安だ」「少しでもお金を取り戻す可能性を上げたい」と感じたら、弁護士への相談を検討するタイミングです。
弁護士に依頼することで、以下のようなサポートが期待できます。
- 金融機関への口座凍結要請のサポート
- 警察への被害届提出の同行・助言
- 弁護士会照会による口座名義人の調査
- 内容証明郵便の作成・送付による返金交渉
- 訴訟(裁判)手続きの代理
複雑で精神的な負担も大きい手続きを、専門家として代行・サポートしてくれるのが最大のメリットです。しかし、弁護士に依頼しても、すべての事案で回収できるわけではありません。前述の通り、暗号資産のケースや、相手口座に残高がない場合など、ご依頼いただいても回収が難しい事案も正直に存在します。また、弁護士費用を考えると、被害額によっては「費用倒れ」になってしまうリスクも考慮しなければなりません。
だからこそ、まずは一度、法律相談を利用してみてください。その際には、ステップ3で保存した証拠を一式持参すると、相談がスムーズに進みます。あなたの状況で、どのような手段が考えられるのか、回収の現実的な見込みはどのくらいか、費用はいくらかかるのか、弁護士が客観的な視点からアドバイスします。その上で、正式に依頼するかどうかを決めればよいのです。
焦る心につけ込む「二次被害」に遭わないために
被害に遭い、「何とかしてお金を取り戻したい」と必死に情報を探しているあなたの元に、「被害金を必ず取り戻せる」といった甘い言葉で近づいてくる業者も存在します。このような勧誘は、二次被害につながるおそれがあります。

被害相談を受ける中で、もう一つ注意していただきたいと感じるのが、「被害金を取り戻します」という業者からの勧誘です。
一度詐欺被害に遭った方は、「何とかお金を取り戻したい」という気持ちが強くなっています。その心理につけ込み、「特殊なルートがある」「海外の捜査機関と連携している」「必ず取り戻せる」などと説明し、さらに着手金や調査費用などを要求する業者には注意が必要です。
もちろん、正当な弁護士業務や調査サービスまで否定するものではありません。しかし、「必ず返金できる」「100%回収できる」など、結果を過度に断定する説明を受けた場合には、契約を急がず、慎重に確認することをお勧めします。
法律上、相手方と金銭の返還交渉を行ったり、法的な手続きを代理したりできるのは、弁護士(や一部の司法書士)に限られています(弁護士法72条)。
投資詐欺の被害者は、すでに一度、相手の言葉を信じて財産を失っています。だからこそ、被害回復を求める場面で、もう一度同じことが起きないようにする必要があります。
被害回復を急ぐ気持ちは当然ですが、「誰に依頼するのか」「何を根拠に回収できると言っているのか」「追加でいくら費用がかかるのか」を確認したうえで判断することが大切です。
まとめ|一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください
SNS型投資詐欺に遭ってしまったら、パニックになるのは当然です。しかし、まずは落ち着いて、この記事でお伝えした初動対応を実践してください。
- 【止める】これ以上の送金を絶対に止める
- 【連絡する】金融機関と警察に連絡し、口座凍結を要請する
- 【保存する】すべてのやり取りを証拠として保存する
この初期行動が、1円でも多くのお金を取り戻すための鍵を握っています。
その後の法的な手続きは、複雑で専門的な知識が必要です。ご自身の状況でどのような選択肢があるのかを知るためにも、一人で悩み続けるのではなく、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。
当事務所は、「ご依頼者様が人生の困難を乗り越え、前に進もうとすることを最大限サポートしたい」という想いで設立しました。被害状況や証拠関係を確認し、取り得る対応を一緒に検討します。
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