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パパ活トラブル|弁護士が解説する3つの典型パターンと対処法
近年、個人間で経済的な援助を伴う関係、いわゆる「パパ活」が広まる一方で、それに伴うトラブルのご相談も増えています。楽しいはずの関係が、一転して「お金を返せ」という要求や、関係解消をめぐるストーカー行為、さらには詐欺被害といった深刻な問題に発展してしまうケースは少なくありません。
この記事を読んでくださっているあなたも、今まさに相手との関係に悩み、誰にも相談できずに一人で不安な夜を過ごしているのかもしれませんね。大丈夫です、あなたは一人ではありません。
パパ活をめぐるトラブルは、大きく分けると以下の3つのパターンに分類できます。
- ①お金を返せと言われた:援助してもらったはずが、後から「貸したものだ」と返金を要求されるケース
- ②関係を終われずストーカー化:別れを切り出したら、執拗な連絡や脅迫が始まったケース
- ③詐欺かもしれない:「投資すれば儲かる」などの話に乗ってしまい、お金を騙し取られたケース
まずはご自身の状況がどれに当てはまるか、冷静に整理してみましょう。これらの問題は、感情的に対応するのではなく、法的な知識を持って適切に対処することで解決への道が開けます。この記事では、男女間のトラブル解決の専門家である弁護士が、具体的な対処法を分かりやすく解説していきます。
【パターン①】「お金を返せ」と言われた|返済義務の有無を判断する法的基準
パパ活トラブルで最も多いのが、「今まであげたお金を返せ」と言われる金銭トラブルです。関係が悪化した途端、相手の態度が豹変し、高圧的に返金を迫られると、多くの人は恐怖を感じてしまいます。「返さなければいけないのだろうか…」と悩む方も多いですが、法的にはどう判断されるのでしょうか。
金銭の返済義務があるかないかは、そのお金が「贈与」だったのか、それとも「貸付(消費貸借契約)」だったのかによって決まります。その判断の分かれ目となるのは、当事者の発言や、LINEのやり取り、借用書の有無といった客観的な証拠です。

原則、返済不要なケース(贈与・援助)
食事代やデートのお手当、プレゼント、生活費の援助として受け取ったお金は、原則として「贈与」にあたります(民法第549条)。贈与とは、当事者の一方が無償で財産を与える意思を示し、相手方がそれを受諾することで成立する契約です。口約束でも成立しますが、書面によらない贈与は各当事者が解除でき、履行が終わった部分については解除できません(民法第549条・第550条)。
そのため、後から相手が「あれは貸した金だ」と主張してきても、「貸した」という事実を証明する責任は相手側にあります。借用書がなく、LINEのやり取りなどにも「貸す」「借りる」「返す」といった文言がなければ、法的に返済義務を負う可能性は低いでしょう。
また、性的な関係の対価として金銭を受け取っていた場合、それは「不法な原因のために給付したもの」と判断されることがあります。これを不法原因給付(民法第708条)といい、この場合、原則として給付した側からの返還請求はできません(民法第708条)。ただし、不法な原因が受け取った側にのみある場合など、例外が問題となることがあります。
返済義務が生じる可能性があるケース(借金・詐欺)
一方で、以下のようなケースでは返済義務が生じる可能性があります。
- 「貸してほしい」「必ず返す」といったやり取りがあった場合:これは当事者間で「消費貸借契約」が成立していると見なされる可能性があります。借用書がなくても、LINEやメールでのやり取りが証拠となり、債権回収の対象となることがあります。
- 最初から騙すつもりでお金を受け取った場合:例えば、結婚する気もないのに「結婚資金を貯めたい」と嘘をついてお金を受け取ったようなケースは、詐欺にあたる可能性があります。この場合、不法行為として損害賠償義務を負うことになります。
安易な口約束が、後々大きなトラブルに発展するリスクがあることを理解しておく必要があります。
【解決事例】「貸した金だ」という主張を弁護士が退けたケース
ここで、当事務所で実際に解決した事例をご紹介します。
ご相談に来られたのは、風俗店で働きながら、お客さんの一人と店外でも会う、いわゆるパパ活関係にあった女性でした。彼女は、その男性から生活の窮状を心配され、数回にわたり合計100万円ほどの援助を受けていました。彼女からお金を要求したことは一度もなく、あくまで男性の「助けてあげたい」という好意によるものだと信じていました。
しかし、彼女が関係の解消を申し出た途端、事態は急変します。男性は「それなら今までのお金を全額返せ。あれは援助ではなく貸したものだ」と、強い口調で返還を迫ってきたのです。
突然の要求に、彼女は「もらったものだと思っていたのに…」と大きなショックと不安に襲われ、当事務所の扉を叩きました。
私はまず、彼女が恐怖で混乱している心を落ち着かせながら、これまでの経緯を丁寧にヒアリングしました。お話を伺う限り、借用書はもちろん、返済を約束するような会話も一切なく、これは男性が彼女の歓心を買うための「贈与」であると確信しました。
そこで、私は代理人として相手の男性に直接お電話しました。そして、法的な観点から「借用書も返還の約束もない以上、これは贈与契約にあたります。したがって、法的な返済義務はありません」と、冷静に、しかし毅然と説明しました。すると、あれほど強硬だった男性も、法律の専門家からの説明には冷静にならざるを得なかったのでしょう、最終的にはこちらの主張を理解し、請求を諦めることに納得されました。
電話を切った後、結果を報告すると、彼女は心から安堵した表情を浮かべ、「本当に良かった…」と涙ぐんでおられました。この事例のように、当事者間では感情的になってしまう問題も、弁護士が間に入ることで、法に基づいた冷静な話し合いが可能になり、解決へと導くことができるのです。
参照:不法原因給付(民法708条)に関する最高裁判例(裁判所PDF)
パパ活における金銭トラブルは、個人間の債権回収として扱われることもあります。お困りの際はご相談ください。
【パターン②】関係が終われない|ストーカー・脅迫への対処法
金銭トラブル以上に心身を脅かすのが、関係解消をめぐるストーカー化や脅迫です。「別れるなら、これまでのことを職場や家族にバラす」「家は知っているんだぞ」といった脅し文句や、執拗な連絡、待ち伏せ行為は、単なる嫌がらせではなく、法的に罰せられるべき犯罪行為に該当する可能性があります。
具体的には、以下のような法律に触れる可能性があります。
- ストーカー規制法違反:つきまとい、待ち伏せ、連続した電話やSNSメッセージなど
- 脅迫罪:生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告知する行為
- 強要罪:脅迫や暴行を用いて、義務のないことを行わせる行為
このような行為を受けている場合、一人で抱え込まず、身の安全を確保することを最優先に行動してください。
警察庁の通達では、ストーカー行為等の解釈や運用基準が示されています。詳しくは、以下の資料もご参照ください。
参照:ストーカー行為等の規制等に関する法律等の解釈及び…(警察庁)
身の危険を感じたら、まず警察に相談を
具体的な危険を感じているのであれば、ためらわずに警察に相談してください。最寄りの警察署の生活安全課や、警察相談専用電話「#9110」が窓口となります。

相談に行く際は、できるだけ具体的な証拠を持っていくことが重要です。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 脅迫的な内容のLINEやメールのスクリーンショット
- 執拗な着信履歴の記録
- 恐怖を感じた会話の録音データ
- つきまとわれている様子の写真や動画
これらの証拠があれば、警察も状況を把握しやすく、警告や検挙といった具体的な対応を取りやすくなります。万が一、相手が逮捕されるような事態になっても、それはあなたの身を守るための正当な手続きです。
弁護士による「接触禁止」の警告・交渉
警察への相談と並行して、あるいは「警察沙汰にはしたくないが、行為をやめさせたい」という場合には、弁護士への依頼が非常に有効です。弁護士があなたの代理人となることで、あなたはもう相手と直接連絡を取る必要がなくなります。
弁護士は、まず内容証明郵便で相手方に対し、「依頼人への一切の接触を禁ずる」という警告書を送付します。この書面には、今後接触を続けた場合に想定される法的手続き(警察への告訴、損害賠償請求など)についても明記します。法的な専門家からの正式な警告は、相手に強い心理的プレッシャーを与え、状況によっては、相手方に心理的な抑止効果が生じ、ストーカー行為等が止まることもあります。
当事者同士では感情的になりがちな話し合いも、弁護士が間に入ることで冷静な示談交渉が可能になり、穏便な解決を目指すことができます。
【パターン③】詐欺かもしれない|男女別の被害手口と返金請求
パパ活の場が、悪質な詐欺の温床となっているケースもあります。ここでは、男女別に遭いやすい典型的な詐欺の手口と、騙し取られたお金を取り戻すための考え方について解説します。もし「自分も同じような目に遭ったかも」と感じたら、それは詐欺被害かもしれません。諦めずに専門家へ相談することが重要です。
男性が遭いやすい詐欺手口(先払い・頂き女子)
男性側が被害者となるケースで多いのが、以下の手口です。
- 先払い詐欺:「会う前に交通費を」「来月のお手当を先に」などと言われ、お金を振り込んだ途端に連絡が取れなくなる手口です。
- 頂き女子:恋愛感情や同情心を巧みに利用し、「親の借金が…」「手術費用が必要で…」などと様々な嘘をついて、高額な金銭を騙し取る手口です。
これらの行為は、最初から騙す意図があったことを立証できれば、詐欺罪(刑法第246条)に該当する可能性があります。返金を求めるには、相手とのやり取りの履歴や振込記録などが重要な証拠となります。ただし、相手が既婚者であることを隠して関係を持っていた場合、逆に相手の女性から貞操権侵害で訴えられるリスクもゼロではないため、慎重な対応が必要です。
女性が遭いやすい詐欺手口(投資・振込詐欺)
女性側が被害者となるケースでは、パパ活相手の社会的地位や経済力を信じ込ませて行われる詐欺が目立ちます。
- 投資詐欺:経営者などを装い、「絶対に儲かる」「君だけに教える特別な情報だ」などと持ちかけ、偽の投資話で高額な資金を騙し取る手口です。
- 振込詐欺:お手当を振り込んだように見せかけた偽のスクリーンショットを送り、「システムエラーで組戻しになったから、手数料を立て替えてほしい」などと言ってお金を騙し取る手口です。
- 食い逃げ:高級レストランで飲食した後、男性が姿を消し、高額な飲食代を女性に支払わせる手口です。
特に、うまい儲け話には注意が必要です。相手の身元が不明な場合、お金を取り戻すのは困難になるケースもありますが、弁護士が介入し、相手の情報を調査することで返金請求が可能になる場合もあります。
パパ活トラブルを弁護士に相談する流れと費用
「弁護士に相談するのは初めてで不安…」「費用はどれくらいかかるんだろう?」と感じる方も多いと思います。ここでは、実際に当事務所にご相談いただいた際の一般的な流れと費用の目安についてご説明します。事前に流れを知っておくことで、安心して法律相談に臨んでいただけるはずです。
ご相談から解決までの3ステップ
パパ活トラブルのご相談から解決までは、おおむね以下の3つのステップで進みます。
ステップ①:法律相談(現状整理と見通しの説明)
まずは、あなたがおかれている状況を詳しくお聞かせください。弁護士が、LINEのやり取りなどの証拠を拝見しながら、法的な問題点を整理します。その上で、返済義務の有無、相手の行為の違法性、今後の見通し、考えられる解決策などを具体的にご説明します。
ステップ②:受任・相手方への通知
ご依頼いただくことになりましたら、委任契約を締結します。その後、弁護士は直ちに「受任通知」という書面を相手方に送付します。この通知には「今後は一切、本人に直接連絡せず、弁護士を窓口とすること」を明記します。この時点で、相手方が本人への直接連絡を控えるようになり、精神的な負担が軽減されることがあります。
ステップ③:交渉・法的手続き
弁護士があなたの代理人として、相手方と具体的な解決に向けた交渉を開始します。金銭の返還請求であればその取り下げを求め、ストーカー行為であれば即時中止を要求します。交渉で解決しない場合は、裁判所を通じた調停や訴訟といった法的手続きも視野に入れて対応を進めていきます。
弁護士費用の目安
弁護士に依頼する際の費用は、大きく分けて「相談料」「着手金」「成功報酬」があります。
- 相談料:法律相談の際に発生する費用です。
- 着手金:弁護士に正式に依頼する(委任契約を結ぶ)際に、最初にお支払いいただく費用です。結果にかかわらず返金されないのが一般的です。
- 成功報酬:事件が解決した際に、その成功の度合いに応じてお支払いいただく費用です。「相手からの請求を0円にできた」「〇〇万円を回収できた」といった成果に対して発生します。
具体的な金額は事案の複雑さによって異なりますが、当事務所ではご相談の際に必ず明確な費用のお見積もりを提示し、ご納得いただいた上で契約を進めますのでご安心ください。より詳しい費用については、こちらの弁護士費用のページをご覧ください。
まとめ|一人で抱え込まず、まずは弁護士にご相談ください
パパ活をめぐるトラブルは、その関係性の特殊さから、友人や家族にも相談できず、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、この記事で解説してきたように、金銭の要求、ストーカー行為、詐欺被害といった問題は、法的な知識を持って冷静に対処すれば、解決できる可能性が十分にあります。
相手からの不当な要求に怯えたり、泣き寝入りしたりする必要はありません。弁護士は、法律の専門家であると同時に、あなたの正当な権利を守るための「味方」です。
私たちが介入することで、あなたはもう相手と直接顔を合わせたり、連絡を取ったりする必要はなくなります。まずは、あなたが今抱えている不安や恐怖を、私たちに話してみませんか。その一歩が、平穏な日常を取り戻すための大切なきっかけになることがあります。
