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家族が逮捕された方へ。私が実現した勾留阻止と早期釈放の事例
「家族が警察に逮捕された」突然の連絡を受け、今、あなたは何が起きているのか理解できず、強い不安と混乱の中にいらっしゃるのではないでしょうか。「これからどうなってしまうのだろう」「仕事や学校は?」「とにかく早く家に帰してあげたい」…そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、どうか希望を捨てないでください。逮捕されたからといって、必ずしも長期間、身柄を拘束され続けるわけではありません。逮捕後のわずか72時間という限られた時間の中で、適切な弁護活動を行えば、「勾留」を阻止し、早期に家族の元へ取り戻せる可能性は十分にあります。
これは、単なる慰めや可能性の話ではありません。実際に私が経験し、実現してきたことです。
以前、ある方から「夫が逮捕された」と震える声でご依頼がありました。まさに時間との勝負でした。逮捕されると、警察は48時間以内に検察へ身柄を送り、検察は24時間以内に裁判所へ「勾留」を請求します。そして、ほとんどの場合、裁判所はこの請求を認めてしまうのです。そうなれば、まず10日間、延長されればさらに10日間、合計で最大23日間も警察署から出られないという深刻な事態に陥ります。
しかも、国選弁護人は基本的に勾留が決定した後に選任されるため、この最も重要な初動の段階では動けません。
そこで私は、裁判所が勾留を決定する前に、検察官と裁判官へ「勾留すべきではない」と働きかける方針を取りました。
具体的に何をしたか。まずご本人に「逃亡や証拠隠滅をしないことを誓います」という内容の誓約書を書いてもらいました。そして、ご家族からは身元引受書を、勤務先の上司の方からは「彼がいないと業務が滞る。一日も早い解放を願う」という嘆願書をいただきました。これらを集め、私自身が「勾留の要件である『逃亡や罪証隠滅のおそれ』は、抽象的な可能性ではなく具体的な危険性でなければならないが、本件にはそれがない」という点を法的に、かつ説得的に論じた意見書を作成しました。
しかし、書面だけでは足りません。私は勾留を判断する裁判官に直接面談を申し込み、口頭でも「彼を社会に戻すべき理由」を熱意をもって訴えました。その結果、裁判官は検察官の勾留請求を却下。ご依頼者の夫は無事に釈放され、ご家族の元へ帰ることができたのです。
この記事では、この事例のように、絶望的な状況からご家族を救い出すための具体的な弁護活動について、詳しく解説していきます。刑事事件の全体像については、刑事事件で体系的に解説しています。
勾留が決まるまでの72時間。知っておくべき逮捕後の流れ
ご家族の早期釈放を実現するためには、まず「今、何が起きているのか」を正確に把握することが不可欠です。漠然とした不安は、正しい知識を持つことで、具体的な行動へのエネルギーに変わります。特に「逮捕後72時間」は、その後の運命を左右する極めて重要な時間です。

「逮捕」と「勾留」は違う。身体拘束が長期化する分岐点
多くの方が混同しがちなのですが、「逮捕」と「勾留」は全く異なります。この違いを理解することが、全ての始まりです。
- 逮捕:捜査機関が被疑者の身柄を確保し、取り調べ等を行うための手続きです。逮捕後は、(典型的には)警察が48時間以内に検察へ送致し、検察は被疑者を受け取ってから24時間以内、かつ身体拘束から72時間以内に勾留請求をするか釈放するかを判断します。
- 勾留:裁判官が「さらなる捜査のために身柄拘束が必要」と判断した場合に許可される、長期の身体拘束です。原則10日間、延長が認められるとさらに通算10日まで延長され、合計で20日間となるのが基本です(事件類型により例外あり)。
つまり、「勾留」が決まってしまうと、ご家族が逮捕された後、社会から長期間隔離されてしまうことを意味します。会社を無断で休み続ければ解雇されるかもしれません。学校にも行けません。家庭生活にも計り知れない影響が及びます。この「勾留」という決定こそが、身体拘束が長期化する重大な分岐点なのです。
検察官が勾留請求し、裁判官が勾留を決定する
勾留は、自動的に決まるわけではありません。次のような二段階のプロセスを経て決定されます。
- 検察官による勾留請求:警察から身柄を受け取った検察官が、取り調べを行った上で「身柄拘束を続ける必要がある」と判断した場合に、裁判所に対して勾留を請求します。
- 裁判官による勾留決定:検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者本人と面談(勾留質問)し、本当に勾留が必要かどうかを審査して最終的な判断を下します。
この流れから分かるように、私たちの弁護活動は、まず検察官に「勾留請求すべきではない」と働きかけ、最終的には裁判官に「勾留を許可すべきではない」と説得することがゴールとなります。この二段階の関門を突破するために、私選弁護士は時間との闘いの中で、専門的な活動を展開するのです。
勾留請求を却下させる、私選弁護士の3つの弁護活動
では、具体的に私選弁護士は、限られた72時間の中でどのようにして勾留請求の却下を目指すのでしょうか。ここでは、私が実際に行っている3つの重要な弁護活動について、その目的と内容を詳しくご説明します。
① 意見書を作成し「勾留の要件を満たさない」と主張する
まず、弁護士は検察官や裁判官に対して、「勾留すべきではない」という法的な主張をまとめた「意見書」を作成・提出します。これは、私たちの主張の根幹をなす非常に重要な書面です。
法律上、勾留が認められるには、少なくとも「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」があり、さらに次のいずれかがあることが根拠として問題になります。
- 定まった住居がないこと
- 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること
- 逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること
実務上、特に重要となるのが「罪証隠滅のおそれ」と「逃亡のおそれ」です。意見書では、ご本人がこの2つの要件に当てはまらないことを、具体的な事実を挙げて論理的に主張していきます。
例えば、以下のような事情を具体的に示し、「だから、身柄を拘束しなくても大丈夫です」と説得するのです。
- 定職に就いており、失う社会的信用が大きい(逃亡のおそれは低い)
- 同居する家族がおり、その監督が見込める(逃亡のおそれは低い)
- 被害者や共犯者と接触する可能性がない(罪証隠滅のおそれは低い)
- 本人が深く反省しており、捜査に協力する意思を示している
これらの事実を法的な視点で整理し、説得力のある書面を作成することが、勾留阻止に向けた第一歩となります。最終的に前科をつけたくないと考えるなら、この初動が極めて重要です。

② 誓約書や身元引受書を揃え、客観的な証拠を提出する
意見書で述べた主張は、単なる「言い分」であってはなりません。その主張が真実であることを裏付ける「客観的な証拠」を添付することで、意見書の説得力は飛躍的に高まります。
そのために、ご家族にもご協力いただき、以下のような書類を迅速に収集・作成します。
- 本人の誓約書:ご本人が「逃亡や証拠隠滅をしないこと」「捜査には誠実に応じること」などを自筆で誓約する書面です。本人の反省の態度を示す上で重要です。
- ご家族の身元引受書:ご家族が「本人を監督し、責任をもって出頭させます」と約束する書面です。安定した監督環境があることを裁判官にアピールできます。
- 勤務先の嘆願書や在籍証明書:会社の上司や同僚から「彼/彼女は仕事に不可欠な存在です」といった書面をもらうことで、社会的基盤がしっかりしていることの証明になります。
- その他:持ち家の登記簿謄本や賃貸借契約書なども、生活の拠点があることを示す証拠となります。
これらの書類は、単なる紙切れではありません。ご本人やご家族の「社会の中で更生したい」という真摯な思いを裁判官に伝えるための、何よりの証拠となるのです。事件の内容によっては、早期の示談交渉を進めることも、勾留を回避する上で非常に有効な手段となり得ます。
③ 裁判官と直接面談し、釈放すべき情状を訴える
書面を提出するだけが弁護活動ではありません。私が特に重視しているのが、勾留の判断を下す裁判官と「直接会って話す」ことです。
意見書や証拠書類だけでは、どうしてもご本人の人柄やご家族の想いといった、人間的な側面は伝わりにくいものです。そこで私は、裁判官に直接面談を申し込み、釈放すべき情状を熱意をもって訴えかけます。
例えば、
「ご本人は深く反省しており、二度と過ちを繰り返さないと涙ながらに誓っています」
「ご家族も献身的に支える覚悟で、すでに具体的な監督計画を立てています」
「彼が勾留されれば、会社が倒産の危機に瀕し、多くの従業員が路頭に迷うことになります」
といった、書面からは読み取れない「生きた情報」を伝えることで、裁判官の心証に働きかけるのです。これは、まさに「情熱とスピード感」を信条とする当事務所の姿勢を体現する活動であり、機械的な手続きで終わらせない、人間味のある弁護の核心部分だと考えています。どのような事件別の弁護方針を立てるにせよ、この直接対話の機会を追求します。
なぜ国選弁護人では間に合わないのか?
「弁護士なら、国が選んでくれる国選弁護人で良いのでは?」と思われるかもしれません。もちろん、国選弁護人の先生方も非常に熱心に活動されています。しかし、「勾留阻止」という時間との勝負においては、制度上の大きな壁が存在します。
国選弁護人が選任されるのは、原則として「勾留が決定した後」です。
つまり、私たちがここまで解説してきた「勾留が決まる前の72時間」における弁護活動は、国選弁護人では物理的に間に合わないケースがほとんどなのです。逮捕直後、まだ勾留されるかどうかが決まっていない段階で、ご本人やご家族の依頼を受けて迅速に動けるのは、私選弁護人だけです。
「あと一日早く相談していれば、勾留されずに済んだかもしれない…」そんな悔しい思いをしないためにも、逮捕の連絡を受けたら、一刻も早く私選弁護士に相談することが、早期釈放に向けた重要な一歩になり得ます。
ご家族に今できること、弁護士への相談という選択肢
ご家族が逮捕されたと知り、いてもたってもいられない気持ちだと思います。しかし、無力感に苛まれる必要はありません。ご家族だからこそ、できることがあります。
例えば、
- 身元引受人になる準備をする。
- 本人の勤務先に連絡を入れるべきか、弁護士と相談して方針を決める。
- 本人が反省の意を示すための資料(日記や手紙など)があれば準備しておく。
など、弁護士のサポート役として重要な役割を担っていただくことができます。警察や検察に呼び出された場合も、慌てず弁護士に相談してください。
そして、何よりも重要で、今すぐできる最も効果的な行動は、「刑事事件に精通した私選弁護士に相談する」ことです。
時間との勝負である勾留阻止の弁護活動は、スタートが早ければ早いほど、打てる手が増え、成功の可能性も高まります。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは専門家である私たちにお話しください。あなたと、そして大切なご家族のために、私が持つ知識と経験を踏まえ、可能な限り迅速にサポートします。
さあ、勇気を出して一歩を踏み出しましょう。まずは弁護士にご相談ください。
