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個人間の債権回収とは
個人が個人に対して有している債権を回収することをいいます。
個人間の債権回収の特徴
個人間の債権回収で一番多い類型は、貸したお金を返してくれないという、消費貸借契約に基づく返還請求だと思います。
たとえば、「友人(あるいは知人、交際相手)に頼まれて、断り切れずに100万円を貸したが、まったく返済がない。」「お金を預けてくれれば、投資として運用して配当金を回すと言われて、300万円を預けたが、まったく配当がない。」「出会い系サイトで知り合った人に頼まれてお金を貸したが音信不通になってしまった。」といった事件は、毎日のように至る所で起きています。
個人間の債権回収の特徴として、
- 借用書等の客観的な証拠に乏しいこと
- 相手方の氏名や連絡先が不明であること
- 相手方と連絡がついても返済方法が分割払いになる場合には、返済が途切れないよう、長期間にわたって相手方を管理する必要があること
といったことが挙げられます。
① 借用書等の客観的な証拠に乏しいこと
借用書がない場合には、貸し付けた金額をまず特定する必要があります。相手方に銀行振込により貸し付けている場合には、通帳や振込明細の照合を行います。
また、現金手渡しにより貸し付けている場合には、依頼者が書き留めたメモや、相手方とのメールやLINEなどのやりとりから特定作業をすすめます。また、依頼者が貸し付ける直前に自身の銀行口座からまとまった金額を引き出している場合にも証拠になり得ます。
そもそも、貸付金の回収は(消費貸借契約に基づく返還請求)、依頼者と相手方との間で、「返還の約束」があることが必要です。
仮に、返還の約束がない場合には、贈与契約であると反論されてしまうリスクがあります。そのため、メールやLINEのやりとりを細かく分析し、返済する意思を示すような相手方の発言を丁寧に拾っていく必要があります。
② 相手方の氏名や連絡先が不明であること
近年、SNS(出会い系サイトやインスタグラムなど)での出会いの増加にともない、SNSで知り合った住所、氏名が不詳の相手方にお金を貸す事例が増えています。相手方の氏名や連絡先を特定しないことには、弁護士も交渉ができないので、まずはその調査から入ります。
しかしながら、SNSの運営元に照会して、相手方の連絡先等を調べることは非常に難しいのが実情です。他方、携帯電話番号が判明している場合には、弁護士会照会という手続を使い、携帯電話会社に、相手方の氏名、住所を回答するよう照会することができます。
また、相手方の銀行口座が判明している場合には、同じく弁護士会照会という手続で、銀行に、相手方の氏名、住所を回答するよう照会することができます。
また、氏名、旧住所は把握しているが、転居しており、現在の住所は分からないといった場合には、職務上請求という手続を使い、市町村役場から相手方の住民票の除票を取り寄せて、転居先を調べることができます。
③ 完済まで相手方を管理する必要があること
たとえ相手方と連絡がついて、相手方が返済の意向を示して示談書にサインしたとしても、その後返済が途絶えてしまうといったことはよくあります。そのため、弁護士が完済するまで粘り強く相手方に督促をし続け、返済状況を管理する必要があります。
具体的には、毎月の返済を弁護士の預り金口座に入金してもらうことで、弁護士が相手方の入金状況を毎月管理し、遅れた場合には、相手方に連絡して入金するように督促をするようにします。
この場合、回収した金額について弁護士費用の成功報酬のパーセンテージを差し引かせていただき、残りをご依頼者様にお戻し致します。