突然、警察署や検察庁などの捜査機関から電話が来て、話を聞きたいから来てくれと打診されることがあります。
この場合、何かの犯罪の被疑者として連絡があったのか、そうではなく参考人として連絡があったのかのどちらかになります。参考人であれば、証言を求められるだけですから逮捕のリスクはありませんが、被疑者としての連絡なのであれば逮捕リスクがあるため注意が必要です。
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まずは被疑事実を確認する
被疑者として連絡があった場合には、捜査機関からの呼び出しには応じたほうが無難です。もし、これを拒否した場合、逃亡のおそれがあると判断されて、逮捕状を請求される可能性があります。
そのため、基本的には捜査機関に協力することになります。また、何の件なのかを確認することは取調べ前の準備のためにも非常に重要です。いつ、どこで、何をしたという嫌疑なのか、罪名は何か、被害届は出ているのか、などを確認してください。
弁護士に相談する
捜査機関に出頭する前に、事前に弁護士に相談することをおすすめします。刑事弁護に詳しい弁護士であれば、相談者から事実関係を詳細に聞き取って、どのような言い回しをしたら良いかをアドバイスすることができます。
また、警察や検察庁では、聞き取り(取り調べ)の際に、必ず供述調書を作成しますから、供述調書作成時のポイントをまとめます。
① 黙秘権がある
憲法38条1項は「何人も自己に不利益な供述を強要されない。」と定め、黙秘権を保障しています。また、刑事訴訟法198条2項は「取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。」と定めています。
ですので、取調べに対しては、答えたい質問にだけ答えて、答えたくない質問に対しては答えないということもできますし、ずっと黙ったままでいることもできます。警察官からなぜ黙っているのかと聞かれたとしても、その理由を答える必要すらないでしょう。
② 署名押印拒否権がある
供述調書は、あなたの言ったことを警察官が書面にまとめるものですが、しょせん警察官の作文だということもできます。
そして、この供述調書に署名押印をしてしまうと、裁判のときに重要な証拠となります。裁判のときに、「やっぱりこの供述調書に書かれていることは間違いです。」と主張しても容易には認められないでしょう。
したがって、警察官から供述調書への署名・押印を求められても、気に食わなければこれを拒否することができます。供述調書に署名・押印する義務はないのです(刑事訴訟法198条5項)。もし、署名・押印する場合でも、内容はしっかりと確認してからにしてください。
③ 供述調書の内容は訂正してもらえる
もし、供述調書の内容を読んでいて、一部でも間違いがある場合には、遠慮なく警察官に対し、訂正を求めて、供述調書の記載を正しいものに直してもらってください。
これは増減変更申立権といって、刑事訴訟法198条4項は、取調官が供述調書を作成した後、「被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。」と定めています。
どこを訂正したらいいか分からない場合には、署名・押印を拒否して、「弁護士と相談してから決めます。」と言ってもらって大丈夫です。