ここでは、相手方(不倫相手の配偶者)から慰謝料請求以外の要求を受けた場合について解説します。
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謝罪の要求
相手方(不倫相手の配偶者)は、自分の大切なパートナーを奪われた(裏切られた)ことから、非常に怒っています。そのため、強く謝罪を要求してくることも頻繁にあります。謝罪だけならまだいいのですが、土下座の強要や、暴力を受けるといったこともしばしばあります。
法的には謝罪を強制させることはできません。もちろん、謝罪したことで相手方の怒りの感情が収まったり、謝罪したことが、裁判所から評価されて慰謝料の減額要素となったりすることもあるでしょう。
しかし、あなたにも言い分があるでしょうし、上記のような強要罪、暴行罪などのトラブルを誘発するリスクもあります。したがって、謝罪対応は弁護士に任せたほうがいいでしょう。
求償権の放棄
あなたが不貞行為に基づく慰謝料を支払った場合、その半分くらいは不倫相手の負担分であるとして、不倫相手にその額を請求することができます。
不貞行為に基づく慰謝料請求権の法的性質は、不真正連帯債務といって、あなたと不倫相手が二人一緒になって相手方(不倫相手の配偶者)に不法行為を働いたので、あなたと不倫相手が二人一緒に負っている連帯債務ということになります。
そのため、片方が全額を支払った場合には、もう片方の連帯債務者に、「あなたの負担分を支払ったから私に払ってよ」という権利が生まれます。これを求償権といいます。
相手方(不倫相手の配偶者)から、求償権を放棄するように要求されることがあります。これは、求償権を行使されてしまうと、相手方が離婚しない場合には、せっかく支払ってもらった慰謝料が、あとから求償権の行使という形で、同じ家計から半分出て行ってしまうことになるため、それを避けたいということが理由です。逆に、相手方が離婚する場合にはそのような要求はされないことが多いです。
この場合、求償権を放棄する義務はありませんが、求償権を放棄する代わりに、慰謝料の額を半分にしてくれという交渉ができますので、求償権の放棄は、減額交渉の有力なカードとなります。
接触禁止
相手方(不倫相手の配偶者)としては、あなたと配偶者が再び会ってしまうことを非常に懸念していますので、接触禁止の要求は当然の要求であるともいえます。
しかし、一切の接触禁止に応じてしまうと、例えば、あなたが不倫相手と同じ職場であった場合には、接触を一切しないということが現実的に難しいことから、「合理的な理由なく」「正当な理由なく」接触しないという留保を求める必要があります。
なお、同じ職場である場合には退職を要求されることもありますが、これは応じる必要がありません。しかし、相手方が納得しないこともありますから、部署移動を会社に相談してみるとか、示談書に「業務上やむを得ない場合を除き接触しない」などの条件を入れて交渉する必要があります。
違約金
相手方(不倫相手の配偶者)が、あなたが不倫相手と再度会った場合には1回あたり100万円を支払え、などという違約金を要求してくることがあります。違約金は、裁判手続では通常は認められません。
また、せっかく慰謝料を支払って示談したのに、あとから、「再び会ったから100万円払え」などと言われると、会ったか会ってないかで紛糾し、紛争が再燃することになりますので、違約金条項は入れないほうがベターです。どうしても入れないといけない場合には、違約金が発生する条件を明確に定め、金額も常識的な金額にすることが必要となります。