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飲酒運転をしてしまったあなたへ|まず知っておくべきこと
「一瞬の気の緩みで飲酒運転をしてしまった…」「逮捕されて、これから自分の人生はどうなってしまうのだろう…」
今、この記事を読んでいるあなたは、計り知れない不安と後悔の念に苛まれていることと思います。ご家族のこと、仕事のこと、そして何より今後の人生がどうなるのか分からず、いても立ってもいられない心境かもしれません。
まずお伝えしたいのは、あなたは一人でこの困難に立ち向かう必要はないということです。
飲酒運転は、決して許されることではありません。しかし、犯してしまった過ちに対して、法的な手続きに沿って適切に向き合い、真摯に反省することで、社会復帰への道筋を立て直すことは可能です。
この記事では、刑事事件の弁護活動に注力する弁護士が、飲酒運転で問われる責任の全体像から、逮捕後の具体的な手続きの流れ、そして今後の対応で弁護士ができることまで、分かりやすく解説します。
先の見えない暗闇の中にいるように感じられるかもしれませんが、この記事を読み終える頃には、今後の見通しと、あなたが「今すぐやるべきこと」が明確になるはずです。まずは落ち着いて、正しい知識を身につけることから始めましょう。それが、あなたの人生を再建するための、重要で確実な第一歩となります。
飲酒運転で問われる「3つの重い責任」とは?
飲酒運転をしてしまった場合、あなたは社会的に3つの異なる側面から責任を問われることになります。それは「刑事責任」「行政責任」「民事責任」です。これらはそれぞれ独立した手続きで進められ、科されるペナルティも異なります。まずは、この3つの責任の全体像を把握することが重要です。飲酒運転を含む刑事事件の全体像については、【刑事事件】で体系的に解説しています。

① 刑事責任:懲役や罰金など国の刑罰
刑事責任とは、飲酒運転という犯罪行為に対して、国が科す「刑罰」を受ける責任のことです。これは警察や検察による捜査を経て、刑事裁判によって内容が決定されます。具体的には、「懲役刑(刑務所に収容される)」や「罰金刑」が科される可能性があり、飲酒運転が単なる交通違反ではなく、社会の安全を脅かす重大な犯罪として扱われることを意味します。
② 行政責任:免許の停止や取消し
行政責任とは、運転免許に関する処分のことです。これは刑事罰とは別に、都道府県の公安委員会によって下されます。具体的には、一定期間運転ができなくなる「免許停止(免停)」と、運転資格そのものを失い、再取得が必要となる「免許取消し」の2種類があります。この処分は、交通違反の点数制度に基づいて決定されます。
③ 民事責任:被害者への損害賠償
民事責任とは、飲酒運転によって事故を起こし、他人に損害を与えてしまった場合に、その損害を金銭で賠償する責任を指します。これは、被害者との間での個人的な責任です。例えば、相手を怪我させてしまえば治療費や慰謝料、車を壊してしまえば修理費などを支払う義務が生じます。特に人身事故の場合、賠償額は非常に高額になるケースも少なくありません。
【行政処分】免許取消しと免許停止の違いと基準
飲酒運転が発覚した場合、運転免許には必ず重い処分が下されます。ここでは、多くの方が混同しがちな「免許停止」と「免許取消し」の決定的な違いと、その基準について解説します。
免許停止:一定期間、運転資格が停止される
免許停止とは、その名の通り「一定期間、運転免許の効力が停止される」処分のことです。定められた期間が満了すれば、再び運転することが可能になります。例えば、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上0.25mg未満の「酒気帯び運転」で、過去に免許停止などの前歴がない場合、違反点数は13点となり「90日間の免許停止」処分が下されます。なお、所定の講習(免許停止処分者講習)を受けることで、停止期間が短縮される場合があります。
免許取消し:運転資格を失い、再取得が必要になる
免許取消しは、免許停止よりもはるかに重い処分です。これは「運転免許そのものを取り消され、運転資格を完全に失う」ことを意味します。再び車を運転するためには、「欠格期間」と呼ばれる一定期間が経過した後に、一から運転免許試験を受け直して合格しなければなりません。
例えば、まっすぐ歩けないなどアルコールの影響で正常な運転ができない状態と判断される「酒酔い運転」(違反点数35点)や、アルコール濃度が高い酒気帯び運転(0.25mg以上で25点)の場合、初めての違反であっても一発で免許取消しとなります。欠格期間は違反点数や前歴等により定められ、酒気帯び運転(0.25mg以上)では原則2年、酒酔い運転では原則3年(いずれも前歴なしの場合)となり、累積点数等によっては最長10年となることもあります。
【刑事処分】問われる罪と罰則の重さ
飲酒運転は、道路交通法違反にとどまらず、人の命を奪う危険性のある悪質な行為として、厳しい刑事罰が定められています。事故の有無や態様によって、適用される罪名と罰則は大きく異なります。

人身事故がない場合:酒酔い運転・酒気帯び運転
まず、人身事故を起こしていない場合でも、飲酒運転そのものが処罰の対象となります。
- 酒酔い運転:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
アルコール濃度にかかわらず、ろれつが回らない、まっすぐ歩けないなど「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」で運転した場合に成立します。 - 酒気帯び運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上検出された場合に成立します。
これらは物損事故のみを起こした場合や、検問などで発覚した場合に適用される罰則です。
人身事故がある場合①:過失運転致死傷罪
飲酒運転中に前方不注意などで人身事故を起こし、相手に怪我をさせたり死亡させたりした場合、「過失運転致死傷罪」が適用される可能性があります。法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金」です。飲酒をしていたという事実は、刑の重さを決める際に極めて不利な事情として考慮されるため、通常の交通事故よりも厳しい処分が下される可能性が非常に高くなります。
人身事故がある場合②:危険運転致死傷罪
飲酒運転による人身事故の中でも、特に悪質・危険なケースには、さらに重い「危険運転致死傷罪」が適用されます。これは、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」によって人を死傷させた場合に成立します。
法定刑は、人を負傷させた場合で15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役(最高で20年)と、過失運転致死傷罪とは比べ物にならないほど重く、初犯であっても実刑判決(刑務所に行くこと)となる可能性が極めて高い、重大犯罪です。
どのような状態が「正常な運転が困難」と判断されるかについては、蛇行運転を繰り返したり、赤信号を認識できずに交差点に進入したりするなど、客観的に見て著しく運転能力が低下している場合が該当します。
(参照:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)
飲酒運転で逮捕された後の流れ【時間との勝負です】
飲酒運転で現行犯逮捕されると、どのような手続きが進むのでしょうか。逮捕後の流れは法律で厳格に定められており、まさに時間との勝負になります。ご自身の状況を正確に把握するため、時系列で見ていきましょう。
① 逮捕・取調べ(最大72時間)
逮捕されると、まず警察署で取調べを受けます。警察は逮捕から48時間以内に、事件を検察官に引き継ぐ(送致する)かどうかを判断します。そして、送致を受けた検察官は、24時間以内に、被疑者の身柄拘束を続ける「勾留(こうりゅう)」を裁判所に請求するか、釈放するかを決定します。
この逮捕後の最大72時間は、その後の運命を左右する極めて重要な期間です。実務上、逮捕から勾留が決まるまでの間は、ご家族の面会が認められない運用となることが多く、本人と接見できるのは弁護士に限られるのが一般的です。しかし、弁護士であれば、ただちに接見(面会)に行き、取調べにどう対応すべきか法的なアドバイスを送ることができます。もしご家族が逮捕された場合、一刻も早く弁護士に連絡することが重要です。
② 勾留決定(最大20日間)
検察官の請求をうけて、裁判官が「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があると判断すると、「勾留」が決定されます。勾留期間は原則として10日間ですが、捜査の必要がある場合にはさらに10日間延長されることがあり、最大で20日間、警察署の留置場で身柄を拘束され続けることになります。この間、会社や学校に行くことはもちろんできません。弁護士は、勾留の必要性がないことを裁判官に主張し、勾留決定を阻止したり、決定に対する不服申し立て(準抗告)を行ったりして、早期の身柄解放を目指します。
③ 検察官による起訴・不起訴の決定
最大20日間の勾留期間が終わるまでに、検察官は事件を刑事裁判にかける「起訴」にするか、裁判にかけずに事件を終了させる「不起訴」にするかを最終的に決定します。不起訴処分となれば、刑事裁判は開かれず、前科がつくこともありません。したがって、不起訴処分を獲得することは、弁護活動における最大の目標の一つとなります。
起訴には、法廷で裁判が開かれる「公判請求」と、書面のみの審理で罰金刑を求める「略式起訴」があります。弁護士は、示談の成立や本人の反省といった事情を検察官に伝え、不起訴処分や、少なくとも略式起訴で済むよう働きかけます。
④ 刑事裁判(起訴後)
検察官によって起訴(公判請求)されると、刑事裁判が開かれます。日本では、確定裁判における無罪確定者の割合は非常に低く(例:令和5年は0.04%)、起訴された場合は有罪となる可能性が高いといえます。裁判では、最終的にどのような刑罰を科すか(実刑判決か、執行猶予付き判決か、罰金の額はいくらかなど)が言い渡されます。弁護士は、法廷で被告人に有利な証拠を提出し、反省の情や更生の意欲を具体的に示すことで、刑が少しでも軽くなるよう、特に執行猶予付き判決を目指して最後まで全力で弁護活動を行います。
より具体的な手順については、勾留の回避や早期釈放に向けた弁護活動のポイントをご覧ください。
飲酒運転で弁護士に相談するメリット|処分を軽くするために
「弁護士に相談しても、やってしまったことは変わらないのでは…」と思われるかもしれません。しかし、弁護士が早期に介入することで、今後の処分が大きく変わる可能性があります。飲酒運転事件において、弁護士に依頼する具体的なメリットをご説明します。

被害者がいる場合、迅速に示談交渉を進められる
人身事故や物損事故を起こしてしまった場合、被害者の方との示談が成立しているかどうかは、検察官や裁判官が処分を決める上で最も重視する事情の一つです。しかし、加害者本人やご家族が直接交渉しようとすると、被害者の感情を逆なでしてしまい、かえって交渉が難航するケースが少なくありません。
弁護士が代理人として間に入ることで、被害者の方の気持ちに配慮しつつ、冷静かつ法的に適切な内容での話し合いが可能になります。示談が成立し、被害者から「加害者を許す」という意思(宥恕)を示していただければ、不起訴処分や執行猶予付き判決につながる可能性が格段に高まります。
逮捕・勾留からの早期釈放を目指せる
逮捕・勾留によって身柄拘束が長引けば、会社を解雇されたり、家庭が崩壊したりと、社会生活に計り知れないダメージを受けます。弁護士は、逮捕直後の段階から検察官や裁判官に対し、意見書を提出するなどして「逃亡や証拠隠滅のおそれはない」ことを法的に主張し、勾留されないよう、また勾留されても早期に釈放されるよう働きかけます。一日でも早く日常生活を取り戻すために、弁護士の活動は不可欠です。
本人に有利な事情を主張し、執行猶予を目指す
万が一、刑事裁判になってしまったとしても、執行猶予付き判決を得ることができれば、刑務所に入ることなく社会生活を継続できます。弁護士は、最終的な判決を少しでも軽くするために、本人に有利な事情(情状)を法廷で効果的に主張します。
実際に当職が担当した事件で、飲酒運転で対向車に衝突し、相手に怪我を負わせて起訴された方がいらっしゃいました。この事案では、私は裁判で以下の点を具体的に主張しました。
- 任意保険によって被害者の治療費が支払われていること
- すでに免許取消処分を受けていること
- 事故を起こした車を廃車にし、二度と運転しない環境を整えていること
- 同居のご家族が、今後飲酒をしないよう厳しく監督することを法廷で誓約したこと(情状証人)
これらの有利な事情を最大限主張した結果、ご依頼者様は無事に執行猶予付きの判決を得ることができました。これは、専門家である弁護士が、法的な観点から有利な事情を整理し、説得的に主張したからこそ得られた結果です。
飲酒運転でお困りの方は、福岡フォワード法律事務所へご相談ください
飲酒運転に関するよくあるご質問
最後に、飲酒運転に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. 飲酒運転の車の同乗者も罪に問われますか?
A. 状況によっては、罪に問われる可能性があります。
運転者がお酒を飲んでいることを知りながら車に同乗した場合、同乗者にも重い罰則が科せられます。
- 運転者が酒酔い運転の場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 運転者が酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
同様に、飲酒運転をすると知りながら車を貸した人や、運転することを知りながらお酒を提供した人にも、運転者本人と同等レベルの厳しい罰則が定められています。飲酒運転は、決して運転者だけの問題ではないのです。
Q. 罰金はいくらくらいになりますか?分割払いは可能ですか?
A. 酒気帯び運転で30〜50万円程度が相場ですが、分割払いは原則認められません。
罰金の額は、アルコール濃度や運転の態様、前科の有無など個別の事情によって変動しますが、酒気帯び運転で数十万円、酒酔い運転ではさらに高額になるのが一般的です。そして、罰金は原則として一括で納付する必要があり、事情によっては納付方法の相談ができる場合もありますが、一般に分割納付が認められないケースも多いです。期限までに納付できない場合は、労役場留置となることがあります(換算額は事件ごとに裁判で定められます)。なお、罰金は税金などとは性質が異なるため、自己破産をしても免除されることはありません。
Q. 家族が飲酒運転で逮捕されました。すぐに何をすべきですか?
A. 何よりもまず、刑事事件に精通した弁護士に相談してください。
前述の通り、逮捕後の72時間は、その後の人生を左右する極めて重要な期間です。この間に本人と自由に面会できるのは弁護士だけです。ご家族が警察や検察に呼び出された場合も同様です。一刻も早く弁護士に依頼することで、本人への的確なアドバイス、早期釈放に向けた弁護活動、会社への対応など、ご家族だけでは困難な問題を全面的にサポートできます。とにかく迅速に行動することが、最善の結果につながります。
まとめ|飲酒運転は人生を壊す重大な犯罪です。今すぐご相談を
飲酒運転は、「刑事」「行政」「民事」という3つの重い責任を同時に負うことになる、極めて悪質な犯罪です。ひとたび事故を起こせば、被害者の人生はもちろん、あなた自身の人生、そして大切なご家族の未来までをも一瞬で破壊してしまいます。
もしあなたが飲酒運転で逮捕されてしまったのなら、残された時間は決して多くありません。逮捕後の手続きは刻一刻と進んでいきます。不安と後悔の中で一人で悩み続けていても、事態は好転しません。
私たち福岡フォワード法律事務所は、「ご依頼者様が人生の困難を乗り越え、前に進もうとすることを最大限サポートしたい」という強い想いを持って、日々の弁護活動に取り組んでいます。
あなたの未来を諦めないでください。専門家である弁護士に相談することが、未来を切り開くための、そして人生を再建するための確かな第一歩です。まずは勇気を出して、私たちにご連絡ください。あなたの状況に応じて、できる限りのサポートに努めます。
