解決事例

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刑事事件

一審で1年8月の実刑、控訴審で執行猶予の逆転判決を勝ち取った事例

事案の概要

 日本全国のコンビニのATMから、偽造のキャッシュカードが用いられ、一斉にお金が引き出された事件です。総被害額は約20億とされており、首謀者、リーダー、出し子ら、事件関係者は全国に何十人もいるという大規模な詐欺事件でした。私は、その出し子の一人を弁護しました。

 私の依頼者は、リーダーとされる人物から、クレジットカードでの引き出しを指示されたとき、犯罪だとはまったく思わなかったので、無罪を主張したいのことでした。

 どう弁護するか悩みましたが、何度も依頼者と打ち合わせをした結果、無罪主張(否認事件)をすることに決め、法廷で戦いました。しかし、残念ながら、一審では、「違法性の認識はあった」と認定され、1年8月の有罪となりました。

 控訴審では、作戦を変更し、罪の成立を認める弁護方針(自白事件)に転換しました。また、自白事件として弁護する以上、被害弁償することが有効であると考えました。しかし、厳密な被害者はコンビニではなく、外国の銀行であったことから、検察官ですら、被害者の連絡先は知りませんでした。また、全国的にも、本事案で被害弁償をした弁護人はいないようでした。私は、外国の銀行の連絡先を懸命に調査して、連絡先を突き止めました。担当者とは、英語で示談交渉し、なんとか被害弁償をすることに成功しました。その結果、控訴審では、執行猶予の逆転判決を勝ち取ることができました。

ポイント

 自白事件でいくのか、否認事件で徹底的に争うのかは、依頼者と入念に打ち合わせを行って、慎重に決断することの大切さを痛感しました。また、絶対に依頼者を刑務所に入れさせないために、できることは全てやり、最後まであきらめずに弁護することが重要です。

強盗で現行犯逮捕されたが、2日で釈放させ、略式罰金を勝ち取った事例

事案の概要

 依頼者は、酒に酔った状態でタクシー運転手を殴り、タクシー代金を支払わずにそのまま逃げたことから、強盗で現行犯逮捕されました。強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役ですので、そもそも執行猶予の要件を満たさず、一発で実刑(刑務所)になってしまいます。また、被害者は怪我をしていたので、強盗致傷罪で起訴された場合には、「無期又は六年以上の懲役」とさらに刑が重くなり、裁判員裁判になってしまうという懸念もありました。

 私は、まずは依頼者の身柄の解放が大事であると考え、罪証隠滅や逃亡おそれはないこと、勾留に必要性はないことを、疎明資料を揃えて裁判官に訴えて交渉しました。その結果、裁判所は検察官の勾留請求を却下しました。もちろん、検察官は準抗告(異議申立て)しましたが、結果的に準抗告審でも弁護人の主張が認められて、依頼者は2日で釈放されることになりました。

 その後、私は被害者の代理人弁護士と示談交渉し、示談をすることに成功しました。示談の結果、依頼者は暴行罪に罪名落ちし、略式罰金となりました。

ポイント

 強盗罪のような重い罪名でも、あきらめることなく、依頼者の身柄解放活動を迅速に行う必要があります。弁護人がなにもしなければ、何カ月も勾留されてしまう事件でも、弁護人がきちんと仕事をすれば、早期の身柄解放は実現できます。

建造物等以外放火罪で逮捕されたが、2日で釈放させ、不起訴になった事例

事案の概要

 依頼者は、駐車場に停車中の車に放火したという容疑で逮捕されました。弁護人は家族の依頼ですぐに警察署に行き、依頼者と面会しました。依頼者は、当時かなり酒を飲んで酩酊していたものの、放火した事実はないとのことでした。

 私は、勾留の裁判を担当する裁判官に直接面談を申し込みました。依頼者は、燃えた車の所有者と知り合いではないから、罪証隠滅のおそれはないこと、仕事や家族がいるので逃亡のおそれはないことを主張し、勾留の必要性がないことを訴えました。その結果、裁判所は検察官の勾留請求を却下しました。もちろん、検察官は準抗告(異議申立て)をしましたが、準抗告審でも弁護人の主張が認められて、依頼者は2日で釈放されることになりました。

 在宅捜査に切り替わり、依頼者は何度も取り調べのために呼び出され、別罪で再逮捕されるなどし、何カ月もの間、検察官との戦いが続きました。結果、証拠不十分で不起訴となりました。

ポイント

 放火罪のような重い罪名でも、あきらめることなく、依頼者の身柄解放活動を迅速に行った結果、早期の釈放ができた好例です。また、否認事件では、警察や検察官から、絶対に自白調書をとられないように依頼者を励まし続けることが大事になります。

強制わいせつ致傷罪で逮捕されたが、執行猶予判決を勝ち取った事例(裁判員裁判)

事案の概要

 依頼者は、早朝に路上を歩いていた被害者の女性に抱きつき、押し倒して陰部を触り、怪我をさせたとして、強制わいせつ致傷罪で逮捕されました(現在の不同意わいせつ致傷罪)。強制わいせつ致傷罪の法定刑は「無期又は3年以上の懲役」とされており、3年以下の判決を得なければ、一発で実刑(刑務所)になってしまいます。

 本件は裁判員裁判対象事件でしたので、公判前整理手続を何回も行い、弁護人主張と検察官主張とのすり合わせを行いました。自白事件ではありましたが、検察官手持ち証拠の開示(類型証拠開示請求)を求めて、犯行時の防犯カメラ映像や供述調書を一言一句徹底的に分析し、不同意にすべき箇所は不同意の意見を述べました。

 身柄解放活動も行いましたが、勾留請求の却下や保釈も一切認められませんでした。

 性犯罪においては、示談をすることが最も有効な弁護活動となります。しかしながら、被害者の女性は、弁護人限りであっても、連絡先の開示は拒否するとのことでした。私が、担当検察官を通じて粘り強く被害者の女性にお願いしてもらったところ、裁判が終わるギリギリ前に、検察官立ち合いのもとに、示談をすることができました。

 その結果、依頼者は無事に執行猶予判決をもらうことができました。

ポイント

 裁判員裁判は、通常の裁判と比較して量刑が重くなってしまう傾向があります。しかも、本件のような強制わいせつ致傷罪は、法定刑が強制わいせつ罪と比較して重いので、執行猶予がつきにくく、被害者の女性と示談することが必須となります。性犯罪の被害者は非常に傷ついており、かんたんに示談できるものではありませんが、弁護人が粘り強く活動することが重要になります。

600万円の詐欺事件で執行猶予判決を勝ち取った事例

事案の概要

 依頼者は、労働局に対し、休業した事実がないのに休業したと偽って虚偽の申請をし、約600万円の緊急雇用安定助成金を騙しとったとして、詐欺罪で逮捕、起訴されました。共犯者もいましたので、弁護人の身柄解放活動(勾留請求却下、勾留延長阻止、保釈請求)はことごとく裁判所からしりぞけられました。

 財産犯においては、被害者に被害を弁償し、被害を回復することが最も有効な弁護活動となります。しかし、依頼者が外に出なければ、お金を作ることは不可能であり、依頼者は逮捕されてから一度も釈放を許されることなく裁判を迎えてしまいました。

 被害弁償をすることなく、裁判が終わり、裁判所から判決宣告日を言い渡されました。ここで、私は3度目の保釈請求を行いました。裁判は終わっているので、証拠調べも終わっており、罪証隠滅のおそれはないので、結審後であれば保釈は認められやすい傾向があります。かくして依頼者は保釈され、判決日までの2週間、金策に奔走しました。結果、600万円を全額労働局に弁済することができました。

 私は、裁判所に弁論の再開(裁判のやり直し)を請求し、再度の証拠調べ請求と弁論を行いました。裁判所は、600万円全額の弁済を重く見て、執行猶予判決に書き直してくれました。

ポイント

 被害弁償や示談は、判決が出るその日まで諦めてはならないことを痛感する事例です。弁護人は、依頼者がお金の用意ができたならば、すぐに被害者に送金する段取りや、裁判所に対して証拠化して立証する準備を事前に備えて、すぐに動けるようにしておく必要があります。

男女トラブル

風俗トラブル 90万円を請求され、交渉した結果、0になった事例

事案の概要

 依頼者は、風俗店に勤めており、お店に来た常連のお客さんから来店時にたびたびお金の援助を受けていました。依頼者いわく、自分からお金を求めたことはなく、生活に困っている話をしたら、あくまでお客さんがお金を渡してきたのでもらっていたとのことでした。すると、突然、お客さんが、お金を返すように要求してきたので、その対応を私に依頼されました。

 私は、相手方に電話して、返還の約束や借用書はないこと、依頼者としてはあくまで贈与(もらったもの)という認識であるので、返還することはできないことを説明して交渉したところ、相手方は請求しないことを了承してくれました。

ポイント

 人からお金を渡してもらった場合、それを返還する義務が法律上あるか否かは、返還約束があるかによります。返還約束があれば消費貸借契約、なければ贈与契約となります。そして、返還約束を立証するのはメールや借用書ということになります。もちろん、倫理的に返したほうがよいという話はあると思いますが、真にもらったものであれば、あとから返せと言われた場合、戦うことになります。男女間では、このような金銭がからむトラブルは頻発しますので、相手方とこじれる前に、弁護士へのご相談をおすすめします。

婚約破棄 200万円を請求され、裁判で戦った結果、30万円に減額できた事例

事案の概要

 依頼者(女性)は、2年ほど交際した彼氏と半同棲をしており、結婚の話も出ていましたが、ある性的な問題から交際を解消することを決め、彼氏に交際解消を告げました。ところが、彼氏まったく納得しませんでした。そして、彼氏は弁護士に依頼をし、婚約破棄に基づく損害賠償として、同棲していた家の退去費用や婚約指輪代、慰謝料などで合計200万円を請求してきました。

 私は、そもそも婚約はしていないこと、仮に婚約していたとしても合意解消したこと、仮に一方的な婚約破棄だとしても、性的な問題が理由であるので、婚約破棄には正当な理由があること(違法性はないこと)を主張し、請求を完全に拒否しました。

 相手弁護士から訴訟提起されましたので、訴訟でも上記理由を主張して徹底的に争いました。個人的には判決を取りたかったのですが、依頼者が早期解決を希望しましたので、30万円で裁判上の和解をして決着しました。

ポイント

 婚約破棄は不法行為に基づく、あるいは債務不履行に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。しかし、婚約成立といえるかは様々な事情を総合考慮して決まりますし、仮に婚約破棄だとしても、正当な理由があれば、違法性がないので損害賠償義務は負いません。

本件では、正当な理由があると考えましたので、訴訟では徹底的に主張立証を行いました。

200万円の請求に対して30万円での和解は、個人的には勝訴的和解であると思っています。

貞操権侵害 150万円を請求され、交渉して戦った結果、30万円に減額できた事例

事案の概要

 依頼者は、マッチングアプリで相手方の女性と出会い、複数回にわたり性交渉をしました。

 しかし、依頼者はじつは既婚者でした。その後、相手方の女性に、依頼者が既婚者であることが発覚し、相手方が依頼した弁護士から貞操権侵害に基づく150万円の損害賠償請求を受けました。

 私は、性交渉時に依頼者が既婚者であることはまったく問題となっていなかったこと、二人の交際は真摯な交際ではなかったこと、むしろ依頼者は真摯な交際はできないことを相手方に伝えていること、結婚の願望を伝えることは一切なかったこと、性交渉があった期間は3か月という短期間にすぎないことを根拠に、貞操権侵害は成立しないことを主張しました。粘り強く交渉を重ねた結果、30万円で示談することができました。

ポイント

 貞操権侵害は、交際に至る経緯、結婚を前提とした交際か否か、既婚者であることが話題になったか、交際期間など複数の事情を総合的に考慮して、損害賠償の義務があるかどうかを判断します。これらの考慮要素を具体的事案に当てはめて依頼者に有利になるよう主張して交渉した結果、低額で和解することに成功しました。

不貞慰謝料請求 交渉で300万円を獲得した事例

事案の概要

 依頼者は、妻が不貞をしたので、不貞相手に慰謝料請求したいとの希望でした。不貞相手は、依頼者の子供が通う高校の教師でした。私は相手方に交渉を試みたところ、すぐに相手方も弁護士に依頼して応戦してきました。

 本件では、まだ離婚には至っていないものの、不貞の回数が多いこと、相手方に経済力があること、妻が相手との不貞を自認していること、学校教師であり、生徒の親に手を出したという悪質ともいえる事案であること、という依頼者に積極的な事情が多数ありました。

 他方で、不貞慰謝料の相場は、離婚した場合で100~200万ほどと言われることもあります。

 交渉では、相手方の減額主張にひるむことなく徹底して戦った結果、不貞慰謝料の相場としては、比較的高額な300万円を勝ち取ることができました。

ポイント

 本件では依頼者はかなり怒っており、譲歩はしたくないという意向がありました。弁護士が依頼者の気持ちに寄り添い、むやみに妥協することなく徹底して交渉した結果、よい結果が得られた好例です。

わいせつ行為に対する損害賠償請求 交渉で250万円を獲得した事例

事案の概要

 私は、相手方の男性社員に不法行為に基づく損害賠償請求として300万円を請求するとともに、相手方が勤務する会社にも、使用者責任に基づく同額の損害賠償を請求しました。

 相手方、相手方会社は弁護士に依頼しましたので、その弁護士と粘り強く交渉した結果、250万円を獲得することに成功しました。

ポイント

 依頼者は(女性)、仕事の取引先の男性社員から、懇親会後の帰りのタクシー内で下半身を触られるなどのわいせつ行為を受けました。相手方の男性社員はかなりお酒に酔っていたようですが、いくら酒に酔っていたとはいえ、わいせつ行為をしていいという理由にはなりません。依頼者は深く傷つき、それが原因で会社も退職することになりました。

 会社が雇用している従業員が、業務上の過程において被害者に損害を与えた場合、会社もその従業員と連帯して損害賠償の責任を負います(民法715条)。本件では、懇親会後の帰りのタクシー内であり、業務中ではありません。しかし、「業務」とは、業務そのものに限らず、それに関連する飲み会などのイベントで起きた不法行為であっても、使用者の管理監督下にあるといえる場合には、使用者責任を問えることになるので、不法行為が発生した具体的状況を分析することが重要になります。

債務整理

任意整理 月返済額20万→8万円に減額した事例

事案の概要

 依頼者は、消費者金融やクレジットカード会社から慢性的に借入を繰り返し、8社で総額500万円、月返済額は20万円ほどまで膨れ上がっていました。返済に遅れはないものの、返済金を他社の借入金で補填する、いわば自転車操業状態でしたので、借金は利息とともにまるで雪だるまのように膨らんでいっており、なんらかの債務整理を行う必要がありました。

 自己破産も視野に入るほどの総負債額ですが、任意整理を行うと月返済額は約8万円にまで減額することが可能でした。そして、依頼者は、月8万円であれば、なんとか返せるとのことでした。しかも、任意整理をすると、基本的に利息がなくなりますので、今後の返済金はすべて元金に充当されるので、どんどん借金は減っていき、完済までのゴールが見えてきます。

 依頼者は、私の説明に、そんなうまい話があるのかと、最初は半信半疑でしたが、最終的にはお任せいただき、無事に全社利息カットで和解ができ、月返済額は8万円になりました。

ポイント

 債務整理では、まずは任意整理ができるかを検討します。債務状況や業者によっては、月返済額が大幅に減額になるケースもありますから、任意整理をした場合に、月返済見込額はいくらになりそうかを弁護士に相談してみるといいでしょう。

民事再生 借金1200万→240万に減額した事例

事案の概要

 依頼者は、度重なる車の購入などの浪費で、住宅ローン(2700万)以外の借金が1200万ありました。1200万もあると任意整理をやっても月返済見込額は20万ほどになって支払いができませんし、かといって自己破産をすると住宅が競売により失ってしまうので、民事再生を選択することになりました。

 他方、太陽光のローンが400万ほど残っていたため、もう1社反対意見を出されると、民事再生ができないリスクがありました(小規模個人再生では、総債務額の過半数を超える債権者が反対意見を出すと認可決定が出ません)。

 そこで、反対意見が出せない給与所得者再生で申し立てることにしました。可処分所得は240万を下回っており、清算価値も同額を下回っていましたので、負債総額ベースで、1200万の一般債務が、240万まで減額されました。また、3年の再生計画だと月6万7000円の返済になるのですが、家計がかなり苦しかったので、「特別の事情」があるとして4年の再生計画を認可してもらうことができました。

ポイント

 住宅を持っており、住宅を維持したい人は、債務整理では民事再生を選択すると、住宅は残せて、住宅ローン以外の一般債務を大幅に圧縮することが可能になります(基本的には5分の1になります)。民事再生は3年間で支払っていけるかどうかの「履行可能性」が非常に大事ですので、家計表を作成し、弁護士とよく相談して、方針を選択するとよいでしょう。

民事再生 自営で借りた1000万が200万に減額した事例

事案の概要

 依頼者は、脱サラして、居酒屋を開業しました。しかし、思うように客が来ず、開業資金で借りた日本政策金融公庫の借金や、人件費、家賃、仕入れ代などの経費がかさんで銀行借り入れも増え、ご相談時には総負債額は合計1000万ほどになっていました。他方で、住宅を所有しており、家族と住んでいますので、破産はできません。かといって、自営を辞めて再就職するにしても、新しい勤務先での就労実績がないので民事再生も履行可能性の観点からは微妙でした。しかも、本件でも単独過半数債権者がいましたので、反対意見が出ると認可決定が出ない小規模個人再生は選択することができませんでした。

 私は、給与所得者再生で申し立てをし、新勤務先での就労実績はまだないが、継続して安定した給料が出る見込みが高いことを、勤務先の労働契約書や給与明細書などで詳しく説明しました。その結果、再生委員もつくことなく、無事に認可決定が下りて、200万に減額することに成功しました。しかも、「特別の事情」があるとして、5年の再生計画を認めてもらえました。

ポイント

 就労実績が乏しい人でも、民事再生を認めてもらうことはできます。ここは申立代理人である弁護士の腕の見せ所といってもいいでしょう。ところで、最近、この依頼者から電話があり、「無事に完済しました、先生のおかげです。」との連絡が入りました。債務整理をお手伝いした弁護士としては一番うれしい瞬間の一つです。

自己破産 投資を理由に借りた350万が免責された事例

事案の概要

 依頼者は、SNSで知り合った氏名不詳の者から投資の儲け話を持ち掛けられ、これを信じて、アコムやプロミスなどの消費者金融から合計350万を借りて、相手方が指定した銀行口座に振り込みました。その後、相手方は音信不通となり、もちろん配当などもなく、借金だけが残りました。依頼者はなんとか毎月返済していましたが、突然会社を解雇され、支払不能に陥りました。弁護士と相談した結果、自己破産を申し立てることを決断しました。

 自己破産手続においては、浪費や投資などが借入れの理由だと、免責不許可事由になっています。本件では、詐欺被害の可能性が高いですが、詐欺を立証するのは難しく、依頼者も投資をするつもりで借入れをしているわけですから、どうしても免責不許可事由には該当してしまいます。そこで、裁量免責事由があるかどうかが焦点になりました。

 依頼者は、儲け話に乗ってしまったことを真摯に反省し、新しい就業先を見つけて生活を再建しようと努力している姿勢を管財人や裁判所に評価してもらえました。その結果、無事に免責を認めてもらうことができました。

ポイント

 本件では、借入理由がすべて投資目的であったため、民事再生も選択の余地がありました。民事再生には免責不許可事由はないからです。しかし、解雇されたばかりだと、どうしても履行可能性の判断が難しくなってしまいます。そこで、思い切って自己破産手続を選択し、投資目的ではあるものの、詐欺被害であることを陳述書で主張することによって、裁量免責を勝ち取ることもでき、再スタートを切ることに成功しました。

過払金 消費者金融から500万円を回収した事例

事案の概要

 貸金業者は、取引の途中で途中完済があり、契約が切り替わっているので、途中完済前の取引によって発生した過払金は時効消滅しているから、200万ほどしか返せないと主張してきました。

 取引の分断がある場合、分断が認められると時効の関係で過払金は大きく目減りすることになります。そのため、一連計算が認められるかどうかが焦点になります。

 依頼者は、平成の初期から消費者金融から借りては返しを繰り返し、25年ほど取引をしたのちに完済しました。過払金があるのではないかと考え、私が依頼を受けて取引履歴をその貸金業者から取り寄せて計算したところ、過払利息込で約600万ほど過払金が発生していることが判明しました。早速、貸金業者に返還請求をしたところ、十分な回答を得ることはできなかったため、訴訟提起しました。

 私は、一連計算が認められる根拠(空白期間、第2取引がはじまる経緯、第1・第2取引間の契約内容の異同)を説得的に主張し、過払金元金のほぼ満額である500万円を回収することに成功しました。

ポイント

 平成20年よりも前から消費者金融やクレジットカード会社から借り入れをしていたことがある人は迷わず弁護士に相談することをおすすめします。また、リスクをおそれて安易に低額で和解せずに、満額回収にこだわって戦うことが重要です。

債権回収

弁護士が債務者の事務所に取り立てに行き、50万円を回収した事例

事案の概要

 依頼者は、ある金融業者から不動産担保ローンで借入れをし、完済しました。ところが、完済時に、本来は支払う必要のない違約金を請求され、やむなく300万を多めに支払ってしまいました。この依頼者は、別の弁護士に依頼をし、訴訟した結果、裁判所は、払う必要のない金員を請求したのは不法行為だと認定し、300万の勝訴判決を得ました。しかし、その金融業者は支払うことなく、執行も空振りにおわり、約5年が経過しました。

 あきらめることが出来ない依頼者は、私のところに相談に来ました。私は、その金融業者や代表者を徹底的に調査し、預金口座の債権執行や動産執行などを申し立てましたが、すべて空振りに終わりました。

 私もあきらめが悪い弁護士ですので、飛行機に乗って、その金融業者の事務所に乗り込みに行くことにしました。その金融業者の事務所内で、社長からは、1円も払わないと突っぱねられましたが、あきらめずに1~2時間ほど交渉した結果、最終的には50万円を回収することに成功しました。依頼者は大変喜んでおりました。

ポイント

 弁護士は、通常相手方の自宅や事務所に乗り込むことはほとんどないと思います。しかし、訴訟や執行などの法的手段を講じても回収ができない場合には、直接相手方と会って話をしてみるというのは、有効な回収手段になりうることを示した事例だと思います。

不当解雇に基づく損害賠償として560万を回収した事例

事案の概要

 依頼者は、勤め先の会社から解雇を言い渡されました。依頼者いわく、就業規則上の解雇理由には該当しないので、損害賠償を請求したいとのことでした。

 私は、依頼を受けて、相手方の会社に対し、本件解雇は、合理的理由のない不当解雇であるから、労働契約法上無効であり、雇用契約上の地位があることを主張するとともに、解雇に応じるかわりに解決金の支払いを交渉しました。また、単に通知書を送りつけて交渉するだけではなく、相手方の社長と直接面談をして、相手方の言い分も聞きつつ、交渉を重ねました。結果的には、不当解雇に基づく解決金としては相当高額である560万円を支払ってもらうことが出来ました。

ポイント

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を乱用したものとして無効になります(労働契約法16条)。突然、会社を解雇された人は、解決金を支払ってもらえる可能性がありますので、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

医療過誤に基づく損害賠償として1200万円を回収できた事例

事案の概要

 依頼者は、目の病気のために、病院で手術をしたところ、病院側のミスで、薬剤が目に入り、視力が低下し、角膜移植手術を受けなければならないという後遺症が残りました。病院側が依頼した弁護士の賠償提示額は850万円でありましたが、依頼者は到底納得できずに、私に依頼をされました。

 私は、まずは別の医師に医療照会をかけて、依頼者の後遺症の程度について意見書を書いてもらい、依頼者の後遺症の程度、慰謝料、逸失利益、そして将来における角膜移植手術の手術代、入院費用などを積算しました。そして、相手方の弁護士と何度も交渉を重ねた結果、最終的には1200万円の賠償金を支払ってもらうことが出来ました。

ポイント

 交通事故でもそうですが、治療終了後に後遺症が残った場合には、後遺障害に基づく慰謝料、逸失利益を別途見積もる必要があります。これらは、不法行為そのものに対する慰謝料や治療費とは全く別の損害賠償項目です。自身が負った後遺傷害が、後遺障害等級表の第何級に該当するのか(1級~14級まであります)、そして、それにより将来にわたって失われる収入(逸失利益)はどのくらいかを積算し、相手方から適正な賠償額を獲得することが極めて重要になります。

請負契約の工事代金850万円を回収した事例

事案の概要

 依頼者である会社は、相手方会社から発注を受けて、複数の電気工事を行い、また機械を納品しました。しかしながら、工事代金・機械代金の金額に争いがあり、相手方会社は支払をしませんでした。

 電気設備事業、建設事業などの業界の特殊性として、工事の進捗に応じて納品する部材や、それを構成する部品の変更が頻繁に生じるため、契約当初の契約金額と、工事施工後の金額が大幅に増減することがあります。そのため、訴訟では、工事施工後の金額について、当事者の合意があったといえるか、工事代金の単価が適正だといえるのか、という点が争点となりました。

 2年ほど訴訟で戦った結果、最終的には850万円を回収することに成功しました。

ポイント

 このような専門訴訟では、弁護士はおろか裁判所も、業界の特殊性や専門的な知見を有していません。また、証拠資料も膨大なものになります。そのため、裁判所にそのまま提出しても、すべて読んでくれないか、読んでくれたとしても理解してもらうことは至難の業です。 私は、まずは自分が理解しないと裁判所を説得できないので、何十回も依頼者と打ち合わせを重ねて、理解できるように努め、わかいやすい準備書面を書くように工夫しました。非常に大変な訴訟でしたが、よい結果が出て本当によかったです。

貸金450万円を一括で回収した事例

事案の概要

 依頼者である女性は、知人に頼まれて、450万円を貸し付けました。しかし、案の定、返済はまったくなく、音信不通となりました。幸い、借用書があったので、消費貸借契約の成立の立証は容易であったことから、私は依頼を受けてすぐに訴訟提起することにしました。

 訴訟では、相手方は争ってこなかったので、すぐに勝訴判決を得ました。同時に、相手方が、まもなく勤務先を退職するという情報を依頼者から得ました。判決には仮執行宣言をつけてもらいましたので、判決確定前に退職金を差し押さえようと債権差押命令を申し立てました。

 すると、相手方の親族から私に連絡があり、第三者弁済をするから、差押えは取り下げてほしいとお願いされました。差押でも第三者弁済でも、支払ってもらえるなら同じことですので、私はこれに応じることにし、結果的に450万円を一括で回収することができました。

ポイント

 貸金の債権回収では、返還約束の立証が重要であることから、借用書があることがポイントになります。まずは任意交渉を試みますが、交渉が奏功しない場合、相手方と連絡が取れない場合には、すぐに訴訟提起に踏み切ります。勝訴判決後は、債権執行ができるようになりますが、財産がそもそもない場合には、判決は絵にかいた餅になることもしばしばです。しかし、本件のように勤務先が判明している場合には給料の差押ができますし、勤務先に迷惑をかけたくないという人は、親族にお願いして一括で払ってくれるというケースもたまにあります。

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